わさび農家のわさらーと、隣のわさこ
掲載日:2025/12/24
その村の空気は、いつもどこか鼻の奥をくすぐるような、爽やかで鋭い香りに包まれていました。
「わさらー!またそんなところでわさびを眺めてるの?」
声をかけたのは、隣の家に住む幼馴染のわさこ。どこにでもいるような、少しお転婆で、太陽のような明るさを持つ「一般的」な女の子です。
対する私は、前世の記憶を持ってこの世界に転生してきた少女、わさらー。この村一番の歴史を誇るわさび農家の娘として生まれ、今は冷たい湧き水に足を浸しながら、青々と茂るわさび田を管理するのが日課でした。
「眺めてるんじゃないわ。対話してるのよ、わさびと」
「相変わらず変な子。ほら、おばさんから預かったおにぎり。一緒に食べよ?」




