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被害発生と次なるステップ

「第2、第3戦艦隊は全速前進!僚艦を守れ!」



イサリビの指示を受けた第2、第3戦艦隊を構成する〈ふそう型戦術打撃戦艦〉と〈こんごう型高機動巡洋戦艦〉計18隻は、後方の巨大なエンジンノズルから光を放ちつつ艦隊最前列へと即座に移動し、フロントシールドを最高出力で展開する。



万全の備えをした彼女達へ、敵艦隊の放ったビーム粒子が猛スピードで迫り来る。


『『『『総員、衝撃に備え!!!』』』』


各艦艦長の命令が重なった数瞬後…彼女達の姿が閃光に包み込まれた。


放たれたビームと展開されたシールドがお互いにエネルギーを削り合い、削られたエネルギーは光として放出され、さらに一定以上のエネルギーを失ったビーム粒子は次々と霧散していく。


双方の壮絶な削り合いの後、ビーム粒子は全て宇宙空間に散らされ、シールドは減衰率と言った形で影響が現れた。


これで終わりならば、各艦に被害が出ることはほとんど無い。しかし、現代戦における一斉砲火はビーム粒子と同時に実体弾(低速高威力攻撃)も放たれる。


艦船にとって真に脅威となるのは、まさしくそれらの攻撃だ。


現在各種兵器で採用されているシールドは、本来実体弾の方が容易に防ぐことが出来る。しかしビーム攻撃により出力が減衰すると、反応炉直結のシールドジェネレーターの場合、火器へもエネルギーを回しているため回復が間に合わず実体弾、特に速度の比較的速い電磁加速砲弾やシールド減衰装置を搭載したミサイルの貫通を許してしまうのだ。


貫通を許した結果…宇宙戦に置いて最も威力のある攻撃、純粋な運動エネルギーが牙を剥く。


ビーム攻撃が長けているのはシールドの著しい減衰効果及び、実体に対する貫通力であるため、艦船に対する破壊力はあまり高くない。反対に…



ロイヤル艦隊を構成する一隻の Edinburgh(エディンバラ)級ミサイル巡洋艦が放った一発の〈シースクア艦対艦ミサイル〉は、敵艦の反応炉から発生する巨大なエネルギー放射を頼りに敵艦へと猛進する。


無論大和連邦側も黙っているはずは無く、即座に役に立たないシールドを解除、各艦から〈11式艦対空誘導弾〉を発射し、さらに完全自律制御の対空電磁加速砲〈灯籠〉及び対空粒子砲〈行灯〉で迎撃を開始する。


その迎撃網は凄まじく、数千発あった電磁加速砲弾やミサイルはみるみる内に数を減らし、イサリビ艦隊に達する頃には100発も残っていなかった。だがそれは被害がゼロということを意味しない。


先ほど放たれたシースクアも大和連邦軍の迎撃網を突破し艦隊内部へ侵入、一隻の〈もがみ型高速巡洋艦〉へと向かっていく。


周囲の艦船からは対空砲火が放たれるが、誤射を防ぐためのシステムが仇となり捉え切ることができない。


先ほど放たれたシースクアは回避機動を取ったこともあり最終速度12km/sの超高速でもがみ型に着弾、被弾箇所付近の複合装甲全てを吹き飛ばし、強靭な艦体を破壊しながら停止する。


被弾したもがみ型は基礎構造に深刻なダメージを受け、さらに各種兵器に被害が及んだことにより艦体のあちこちで誘爆が発生。おまけに《《本来は危険極まりない代物である》》反応炉にも余波が及んでしまう。


そんな不運に不運が重なった結果、艦長が退艦命令を出すよりも先に、もがみ型は1000m級の艦体を震わせ、蒼い閃光と共に爆散した。



さらに彼女と同じような最期の光はイサリビ艦隊の各所で瞬いており、被害は決して軽微ではないことを物語っている。



「司令!今の攻撃により、巡洋艦4、駆逐艦2、フリゲート6轟沈!第2、第3戦艦隊も中大破多数!」



「クソッ、やはり防ぎ切れなかったか…だが…!えちごCICより〈ひうち〉及び〈あさひ〉に達す!もう敵は一斉砲火出来ない、再び艦隊最前列に出て《《能動防御行動》》を取れ!」


『『了!』』


指示を受けて再び艦隊最前列へと出てきたあまぎ型防護巡洋戦艦の2隻…彼女らが取った行動は先ほどとは異なるものだった。


艦隊各所から直径10m程の円盤が付いた無人機を発進させ、艦隊前方を覆うように配置させる。


2隻が無人機の放出を始めて10数秒後、ロイヤル艦隊から再び攻撃が放たれた、しかしそれは先ほどの一斉砲火とは違い、放たれるタイミングがバラバラなものであった。


二桁を超える艦船の攻撃タイミングを完璧に合わせるのは簡単な事ではない。先ほどの攻撃は既に攻撃指令が出ていたからこそ、イサリビ艦隊の攻撃を受けても一度は一斉砲火を行うことが出来た。だが今は、艦隊内部に混乱が生じ統制を取ることは出来ない。


そのような攻撃程度、防げないあまぎ型(防護巡洋戦艦)ではない。





******************************************





あまぎ型防護巡洋戦艦 3番艦ひうちCIC





〈えちご〉のそれより些か狭く、機器も少ない〈ひうち〉のCIC。その真ん中に腕組みをして仁王立ちする男が居た。


ひうち艦長、〔ケイイチロウ・トウノ〕だ。


トウノが鋭い目つきで睨みつけているモニターに、敵艦が発砲する様子が映し出される。


その様子を見て、トウノは一言告げた。


「《《天岩戸》》を起動や、来るで」


彼の言葉を聞いた担当士官達は、天岩戸を構成する〈無人防御ビット〉の管制を開始する。そして一条のビームが散開した防御ビットの間を抜けようとした…その時だった。


ビームが通過する一点の最寄りの防御ビットが超高速で移動、《《ひうち本体と同出力のシールド》》を展開し、ビームを防いだ。



《天岩戸、能動防御を開始》



防御開始を示す機械音声が響くと同時に、散発的に向かってくる敵弾を〈ひうち〉と〈あさひ〉は次々防ぎ止めていく。


シールドジェネレーター自体はひうち本体に搭載されており、防護ビット自体はそのエネルギーを中継しているだけのため、防護ビットの展開したシールドがビームを防いで減衰したとしても即座に出力を回復させることができる。さらにひうち本体に火器は迎撃用の対空砲数門しか搭載されていないため、シールドの堅牢さは並の戦艦の比ではない。



そしてこの機能、[天岩戸]を使用した能動防御こそあまぎ型の本領であり、《《防護(巡洋)戦艦》》として他国の艦船を圧倒する最も大きな要因である。


「ひうちCICよりえちご、敵攻撃はワイらが全て引き受ける。ワテらを気にせんと、攻撃続行を!」


『わかった、頼んだぞ』


「了!」


それだけ話して通信を切ると、トウノはCICの艦長席に座り推移する戦局を見守るのだった。








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