第一章【始まりと旅立ちの島】第90話 諦めない
皇歴1830年11月 騎士団応接室
リオ、リサ、ラオルの3人は、騎士団応接室に呼ばれていた。そこには王室秘書ミリル、騎士団団長ラエル、副団長ボルク、冒険者ギルド長ディオ、商業者ギルド長ゴラリア、ギルド本部長ランバルトが詰めていた。古代遺跡の観光資源、ダンジョンの運営、それらに伴う商業の報告確認などである。
ラエル団長:
「アグエスの多大なる協力によって、我が帝国魔法騎士団の戦闘力は大幅に向上することが出来た。これは、リオから提示された仮説を元に、検証実施し、魔力枯渇からの回復が、総魔力量増加に最も寄与すると断定できた。アグエスの皆に改めて礼を言う。ありがとう。また、ランバルト本部長の協力によって、総魔力量を測定し、数値化する事が可能になった。また、ダンジョンの階層とその数値がなぜか適合している事も発見できた。
ダンジョンの一般開放が予定より速まってしまったが、増加する冒険者や商人による経済活動が活発になり、リンデ国の財政状況は大きく改善している。」
秘書ミリル:
「リンデ王カシュキ様より、リオ、リサ、ラオル、この3名に勲章を与え。また、この3名は、リンデ国認定の冒険者としてドラニス帝国領内のすべての冒険者ギルドに発付する事となった。」
ランバルト本部長:
「リオ、リサ、ラオル。おめでとう。これで、その国に行っても最上級の待遇を受けることが出来る。また、各国の王との面会や、禁則地への立ち入りも可能になる。」
リオ、リサ、ラオル:
「ありがとうございます。」
リオ:
「禁則地に立ち入り許可がでるのですか。であれば湖の祠への立ち入りも可能なのでしょうか。」
ランバルト:
「可能ではある。があの場所は立ち入らない方が良いだろう。あの祠には、魔獣などと言う獲物など何もないからだ。話せば長くなるので、日を改めて説明するが、それでいいか?」
リオ:
「解りました。改めてでお願いいたします。」
ランバルト:
「ディオ、冒険者ギルドからの報告を頼む。」
冒険者ギルド長ディオ:
「現在確認できているダンジョンの攻略階層ですが、30階層を突破したのは1チームのみです。多くは19階層までで足止めを食っているのが現状です。」
ランバルト:
「20階層では、A級以上だからな、今は仕方ないだろう。ところで、アグエスはどこまで潜ったのだ?」
リオ:
「49階層までです。50階層にはまだ入っていません。」
ディオ:
「それは賢明だな。50階層は、魔の階層とも言われている。全滅か壊滅というのが今までの挑戦結果だからな・・・・。リオ、49階層まで突破したのか?」
リオ:
「ギリギリ何とかと言うか・・・・。」
ラエル:
「アグエスの実力は折り紙付きですね。皆さんはいままで騎士団の指南役としてダンジョンで経験を積まれました。一般開放された現在、そして騎士団の強化にご協力頂け、その指南役を解除させて頂き、冒険者としてダンジョンを進めたいのではありませんか?」
リオ:
「その事なのですが、実は考えがまとまっております。今冒険者の多くは、踏破記録を競い合いながらダンジョンで多くの経験を積んでいます。こおで私たちがいきなり49階層を突破していると公開されると、やる気に水を差す事にもなります。また、現時点で50階層を突破する実力はありません。ゆえに、指南役として後1年を過ごさせていただきたいのですが。」
冒険者ギルド長ディオ:
「リオ、お前がそれで良いのなら、冒険者ギルドとしても何の問題も無い。」
リオ:
「ありがとうございます。このまま、騎士団枠の中でダンジョンでの経験を積ませて頂きます。」
ラエル:
「50階層突破を諦めていない。って事かな? ではこれからもよろしく頼む。」




