第一章【始まりと旅立ちの島】第85話 正当な権利者
下段につながる通路んも瓦礫を除去しつつ、奥へと進んだ先に、大きな講堂の様な空間が広がった。ちょうど玉座の真下に位置するこの空間には、大きな石柱が8本その外側に壁と石像が並んでいた。中央には3個の魔石が床に2m間隔で正三角形に配置されている。
ラエル団長:
「転移の魔石だ。ここがダンジョンの入り口になる。」
ゴラリア:
「大量の瓦礫を撤去した甲斐がありましたね。」
ラエル団長:
「この場所に直接アクセスできる通路を作っていただけないでしょうか?」
ゴラリア:
「え?直接つながる通路ですか?私が?」
ラエル団長:
「そうです。他でもないゴラリアさんにお願いしています。」
ゴラリアは少し下を向いて小さくうなずきました。
リサ:
「今度は土木建築家ですね、ゴラリアさん^^」
ゴラリアは、土魔法を使い、地上までの通路の作成に入った。大きなトンネルを作りながら、回収した瓦礫を再錬成し、トンネルの壁に煉瓦を積み重ね、ところどころに光の魔石を配置した。地上まで繋げるのには、2日ほどの時間を要する。
その間、ラエル、ボルク、ソフィアの3人は、講堂の中央に設置されている魔石を調べていた。
ソフィア:
「空間の魔石で間違いないですね。手前の魔性がダンジョンへの空間転移です。右側も同じくダンジョンへの空間転移、左側は戻ってくる為の転移を受ける魔石です。」
ラエル団長:
「手前と右と、たぶん手前が入り口で、右が攻略した場所まで飛べる魔石だろう。ちょっと行ってみるか。」
ボルク:
「そうですね。アグエスの3人も、ダンジョンに入るぞ。いままでダンジョンの経験は無いだろう。基本的な事を教えるから、ついてこい。」
リオ:
「ゴラリアさんは・・・どうしますか?」
ボルク:
「ゴラリアさんも一緒に来てもらいたい。今後のダンジョン運営に重要な事を一緒に確認してもらいたい。」
ゴラリアに少し笑顔が戻ったが、釈然としない気持ちが顔に出ていた。
ダンジョンへの侵入は、この空間魔石に魔力を流すことによって転移する。転移された場所が第1階層になる。第1階層のどこかに転移魔石が2個配置されており、一つは第2階層へもう一つは講堂へつながっている。講堂に戻った場合、右側の魔石から、戻った位置の階層へ転移する。一度新しい階層へ転移すれば、その階層に設置されている転移魔石を探し出さないと、戻っては来れない。戻るか進むかは、体力、魔力、食料、水など、十分に考慮して検討しなくてはいけない。また、10階層毎に、ボスと言われるより強い魔獣が現れる。階層は、ダンジョンの規模によって異なるが、ドラニス帝国内にあるダンジョンは概ね50歳層まで確認されている為、リンデ国のダンジョンもそれと同じである可能性が高い。
ゴラリア:
「1~9階層までは、Bランク単独で制覇かのうですね。10階層のボスは、Bランクのパーティーなら問題なさそうです。11階層から19階層まではAランク、20階層のボスはAランクパーティーって所でしょう。時間も掛かりましたし、一旦戻りましょうか。」
ラエル:
「そぷだな、そうしよう。それと、我々騎士団員がこのダンジョンで訓練を行い、回収した物品すべて、冒険者ギルドへ納める事になる。その収益で、やってもらいたい事がある。」
ゴラリア:
「全てですか・・・。」
ラエル:
「我々騎士団は、民の税によって給料を頂いている。なので拾得物はすべてギルドに譲渡し、その収益で、リンデの街を大きくしてもらいたい。」
ゴラリア:
「1年ですよね。1年でダンジョンから得られる利益は、国家予算に匹敵します。よろしいのでしょうか。」
ラエル:
「リンデ王にも了承済みだ。このダンジョンが一般に公開され、他国からの冒険者を大量に受け入れる施設が必要なのだよ。宿場、繁華街、武器屋、それこそ、今の2倍の規模以上にしなければ、受け入れが出来ないからだ。その為の費用として有効に活用してもらいたい。」
ゴラリア:
「解りました。ありがたいお話です。」
ラエル:
「この国の税率は20%だ。たの国では25~35% 冒険者は同じ労力で利益の高いリンデに押し寄せる事になる。税率が20%でも街の収益が2倍になれば、国に納められる税も2倍になる。リンデ王はそれでよいと判断されたのだ。」
リオ:
「と言う事は、騎士団の人員も、2倍にできると?」
ラエル:
「その通り、君たちには大いに期待しているよ。それと、回収物売却益の5%をアグエスにリオ個人にかな?これはダンジョン発見者の正当な権利だ。一生金に心配のない生活が出来るぞ、おめでとう!」




