第一章【始まりと旅立ちの島】第82話 その為の指南役だ
リオは王宮にある資料室で古代遺跡とダンジョンについて調べていた。教会の図書館や冒険者ギルドの図書館にあるそれらの書物と記載されている内容は大きな差は無かった。しかし、他の国の古代遺跡とダンジョンについては、少し記述があった。皇歴以前の混沌の時代よりその前に、古代遺跡や古代都市があったらしい。度重なる戦いと動乱によって、ほとんどすべての古代遺跡、古代都市は破壊され、ダンジョンだけが残っている状態である。その為、古代遺跡については殆ど記述が無いのだ。
ドラニス帝国内の各国におけるダンジョンは、ドラニス大陸には3ヶ所 アスリア大陸には2か所、オリリオ大陸には1ヶ所 アルフ大陸には2ヶ所、ハウル島には1ヶ所の合計9ヶ所、どの国も大陸も、そのダンジョンを中心に、魔獣が存在し、ダンジョンから離れるにしたがって、魔獣が弱く小さくなる傾向になる。またそれらを取り囲むように現在の街が構成されている。
リオ:
「これはあれだな、ダンジョンがある事によって、人族は生活できるって事だな。それと、古代人はなぜかそのダンジョンに古代遺跡、何か意味のある建物を建造し、ダンジョンを管理していたと考えた方がよさそうだ。」
佐々木:
(魔法の源はなんだろうか・・・。ダンジョンに近づけば魔獣が強く大きくなる。ダンジョンが魔法の源であるならば、前世でいうパワースポットの様なものかもしれない。ダンジョン奥に入れば何かわかるかもしれない。と言う事は、魔法とか魔力と言うのは、この星のエネルギーの表現の違いって事?)
リオはいろいろな事を頭の中で整理し、前世の記憶と照合しながらこの6次元世界の魔法について考えていた。
その頃、魔法騎士団では、ラエル、ボルクが談笑していた。
ラエル:
「ボルク、君はどう思う?」
ボルク:
「そうですね、異常ではありますが、悪意は感じません。」
ラエル:
「そうだよな。異常だよな。我々が、日々鍛錬を続け、現在到達している魔力総量の根底を覆す事があるのだからな。」
ボルク:
「私の父も、なにかそれに似た様な事を昔し言っていた気がします。でも真偽を確かめるとかそういう雰囲気ではなかったですね。」
ラエル:
「普通はそうだよ。そんなものだと何となく理解し、それで十分だった。」
ボルク:
「ですね。私もそうです。」
ラエル:
「魔力枯渇から回復する事による、総魔力量のベースUP効果がある。なんて、考えもしなかった。ボルク、試してみる他ないだろう、事実、アグエスの3人が実在するのだからな。」
ボルク:
「ですね。もしそれが事実なら、超えられない壁を超える事が出来るかもしれませんね。」
ラエル:
「この魔力量を数値化できないかな。解りやすいように。」
ボルク:
「そういう魔道具はありませんからね。とは言え、魔力総量を感じ取る能力はラエル団長、お持ちですよね。」
ラエル:
「あぁ、でも私の場合、精度がまだまだダメなんだよ。この島で言うなら、やはりランバルト・ロジテス元S級のギルド本部長くらいか。ちょっと依頼してみるか。」
ボルク:
「解りました。手配いたします。」
ラエル:
「でもあれだな、あいつら、まだ何か隠していると思わないか?」
ボルク:
「隠している?」
ラエル:
「あぁ、リオの総魔力量だよ。5歳から鍛錬を始めたとはいえ、成人の4倍になるか?それにリサだ。総魔力量は成人の3倍それにだ、魔力操作の速さだよ。ボルク、剣を延長して攻撃する場合、お前ならどうする?」
ボルク:
「そうですね。魔力を剣に流し魔力を練り上げる事で延長できます。それから攻撃ですね。」
ラエル:
「そうだろ、いくら魔力操作が早くても、延長するのに4秒近くかかる。なのにだ。リサは俺との戦いの中で、瞬時に延長させたんだよ。俺もすこし油断していたってのは否めないが、リサの剣は見切っていた。剣先の成り行きを皮一枚でかわしていたんだ。なのに、だ。その皮一枚で避ける瞬間、剣が延長して、打撃が左腕に直撃、腕を切り落とされたんだよ。瞬間だよ、瞬間。よけようがない早さだった。」
ボルク:
「ですね。何が起こったのか理解が追いつきませんでした。」
ラエル:
「あともう一つ、俺の得意とする高速移動攻撃をいとも簡単に防ぎやがった。目をつむってだ。未来が見えるのか?リサは・・・。」
ボルク:
「とは言え、騎士団の指南役に引き込むことが出来たんですから、その秘密を解き明かすチャンスはあるでしょう。」
ラエル:
「そうだな、その為の指南役だ。」




