第一章【始まりと旅立ちの島】第80話 混沌の時代
リンデ王 カシュキ:
「それと、これは私からのお願いでもあるのじゃが、受けてもらえぬだろうか・・・。」
ラエル:
「その件について私からお話しさせていただきます。実はこの食事会を開催するにあたり、アグエスの3名にお願いがあっての事だったのです。その力量を見込んでの事ではあるが、騎士団の指南役を担ってほしい。先ほどの総魔力量の話も踏まえて、鍛えてほしいのだ。それと、少ないが、給料も支給する。古代都市の発見者として、調査団にも入ってもらいたい。その為には、騎士団と契約をお願いしたいのです。」
リンデ王 カシュキ:
「そういうことじゃよ。」
リオ:
「しかし、私どもは若干13歳、20歳を超える騎士団の面々からすれば、「なんでこのクソガキに・・・」いや、若造ごときにと反発する者も多いのではないでしょうか?」
ラエル:
「それは心配ない。今日の試合を見た騎士団の中に、その実力を疑う者はいない。それにこれは、リンデ王勅令である。 ぜひ受けて戴きたい。リオ、リサ、ラオル指南役!」
リオ:
「あ・・・ありがとうございます。すこし・・・考えさせて頂ければ幸いです。」
王宮での豪華な食事、あれほど美味しく頂いていたはずなのに、まったく味を感じなくなるほど、話は急転していた。
リサ:
「条件があるわ!2年よ、2年の期限付き!それと堅苦しい騎士団の規則とかそういうのはお断りおよ!」
ラオル:
「リサ・・・最低限の礼儀礼節は・・・。」
リサ:
「当り前よ!グルジオ家に恥じないマナーは順守するわよ。」
リオ:
「リサ、ラオル。ありがとう。2年の期限付きでならお受けします。」
リンデ王 カシュキ:
「そうかそうか、受けてくれるか。それはめでたい。」
ラエル:
「ありがとう、リオ、リサ、ラオル。これからよろしくお願いします。で、なぜ2年間の期限を?」
リサ:
「15歳の成人を迎えたら、世界を旅するのよ、アグエスの3人で!世界を回って、見たことも無い魔獣を狩りまくるのよ。」
ボルク:
「リサ、お前らしくていいよ。これから我々を鍛えてくれ。」
ソフィア:
「ラオルさん、支援魔法と戦術魔法も一緒に楽しみましょう。」
佐々木:
(どえらい話になってしまったな・・・。古代遺跡はちょっと惜しい事をしたかもしれないが、これで王族との関係も、騎士団との関係も強く深くなりそうだ。このパイプラインは、今後いろいろな所で助けてくれるに違いない。転生?してから8年、前世で42年か・・・。精神的には50歳って事か・・・。」
リンデ王 カシュキ
「話もまとまったと言う事で、デザートの時間かな?それと、少し昔の話をしても良いか?」
リンデ王は語り出した。皇歴が始まって1830年、混沌の時代から平和への時代に入り、多少の戦いはあったものの、それが現在まで維持できているのは、ドラニス帝国初代皇帝 ベルネ・ドラニスの絶大な力がそうさせたのである。混沌の時代、すなわち皇歴以前では、人族は、龍族と争いうほどの魔力量を保持していた。現在では龍族と戦う事は禁忌とされており、ましてや上空を旋回する姿を見た場合、すぐさま身を隠さなければならない。
龍族の魔力は壮大で、人族の寿命を100とすれば龍族はその30倍、3000年生きるとされている。その為、魔力も壮大であり、人族が束になってかかっても倒すことは不可能なのである。しかし、混沌の時代では、人族と龍族が争い、人族単体で龍族を倒したと言う記述も残っている。その龍族は、1000年に一度子を宿し、3000年を生きる。ゆえに、龍の牙、ウロコなど、龍族の亡骸は、非常に貴重であるが、リンデ山脈へそれを探しに行くのは、自殺行為である。
リオ:
「カシュキ様、これを見ていただけませんか?」
リオは、以前、第1の祠で見つけた古代の剣をマジックボックスから取り出した。そして、その剣を所持していた古代人が、龍の牙、ウロコを所持していたことを話した。
リンデ王 カシュキ
「先代より受け継がれる口伝をまとめた伝書がある。その記載された内容が事実である根拠の一つなのであろうな。
そしてその伝書の中に記載されている事の中に、「知りたければ龍族に聞け」という文言がある。龍族の中に人語を操る個体種が存在する。今となっては話すこと以前に近寄る事もできぬがな。




