第一章【始まりと旅立ちの島】第78話 有と無の違い
リオ:
「そして今日、それは確信へと変わりました・・・・。しかし、この事は、この場だけの事としてお納めいただきたく存じます。」
リンデ王 カシュキ:
「リオ君よ、それはなぜじゃ?幼少期からの鍛錬はその者自身の未来を拓くのではないか?それに、リンデ国は他の国よりも冒険者の力量は劣っておる。強くならねばならないのだよ。」
リオ:
「カシュキ様、お言葉を返すようで申し訳ございません。幼少期の子供がそれを望んでいるか?が問題なのです。親のエゴによって強制される鍛錬は、拷問でしかないのではないでしょうか。それに、魔力総量を高める事を、安易に公表する事で、善としない者たちの凶悪化も懸念されます。」
リンデ王 カシュキ:
「なるほど、一理ある事だな。ラエル、どう見るかね?」
ラエル:
「そうですね。素質と言いますか、資質でしょうか。戦闘に向く傾向は、本人の資質に左右されます。早い段階でそれを見極めることが出来れば・・・なのですが。ですが、他にも問題があります。今現在、騎士団の魔力総量を上げるのは必須です。それに、冒険者のレベルを上げなければ・・・。」
リオ:
「なぜそんなに強さに拘るのですか?冒険者も街の商人も、平和に暮らせています。強くなれば、リンデ島から離れる者も多くなると思いますが。」
リンデ王 カシュキ:
「そうなのじゃよ、君はよく見えているね。この島、リンデ島には他の大陸や島にあって無い物があるのじゃ。」
秘書官ミリル:
「私からご説明させていただきます。ドラニス大陸には3か所 アスリア大陸には2か所、オリリオ大陸には1か所 アルフ大陸には2か所、ハウル島には1か所ある、ダンジョンでございます。ダンジョンは、階層があり、冒険者の技能やレベルによって深層へと進むことが出来ます。未知の魔獣からの回収物や遺物の発見によって、生計を建てることが可能であり、冒険者自身もより深い階層へ行く目標によって鍛錬を突き重ねます。その事によりレベルが上昇する事になります。」
リオ:
「もし、ダンジョンがこの島にあれば、問題は解決するのでしょうか?」
秘書ミリル:
「多くの問題は解決するでしょう。冒険者のレベルが上がる事によって、魔獣からの回収物の増加、人口の増加による食糧問題、街の繁栄、税の回収が増加する事による、公共事業への資金供給など、大いに繁栄します。」
リオ:(心の声)
(あの古代遺跡の地下にはほぼ間違いなく、ダンジョンがある。時間をかけてゆっくり攻略したいと考えていたのだが・・・。)
リオ:
「この国の面積と街の規模を考えれば、これ以上人口が増えるのは問題あるのは解ります。がしかし、現時点では十分に安定して国を運営出来ているのではないでしょうか。」
秘書ミリル:
「現時点では、です。ドラニス帝国領内で、ある噂が流れ始めています。その真相を探る為、数名の冒険者をその地に派遣し、調査・・・。」
ラエル:
「その話はそこまでにしましょう。まだ結論を付けるには時期が早いです。」
リオ:
「何か・・・あるのですね。」
ラエル:
「はい。何かあります。とだけ伝えます。理由は申し上げられませんが、出来るだけ早く、騎士団のレベルを向上させる事、人員を増強させる事、冒険者のレベルを向上させる事が必要なのです。」
リオ:
「解りました。ではお聞きいただきたい事がございます。」
リオは改まって口火を切った。
リオ:
「リンデ島にダンジョンが存在します。」
ランバルト:
「なに!それは本当か!リオ!」




