第一章【始まりと旅立ちの島】第67話 魔力切れ
マリア:
「試合開始から既に20分経過しております!ラオル選手は一切の手を緩めず、高速移動と剣による直接攻撃を繰り返しつつ、ソフィア選手の攻撃を旨くかわしております。」
ゴラリア:
「ソフィア選手が防御を最優先している事から、時間は掛かると思っていましたが、20分を超えると、ラオル選手の魔力量が心配になりますね。」
マリア:
「おお!ラオル選手!少し距離を取りました!これはもしかして魔力切れを起こしているのでしょうか!」
ゴラリア:
「ちょっと待ってください。ソフィア選手、反撃に出ませんね。どういう事でしょうか。」
ソフィア:
「そういう事ね、今気が付いたわ。13歳の考えとは思えないわ。悔しいけど、策にはめられたのは、私ね。」
ソフィアは肩で息をしながら苦しい顔つきでそうつぶやいた。
ラエル:
「やはりそうなったか。」
ボルク:
「やはりと言うと、予測していたんですか?」
ラエル:
「あぁ、ラオルの残存魔力量はおおよそ半分、それに対してソフィアは枯渇の手前だ。」
ボルク:
「ラオルの総魔力量はそんなに大きいと言う事なんでしょうか。」
ラエル:
「そう言う訳ではないが、予想よりもだいぶ多かった。と言う事かな。それにソフィアの戦闘力は高いものではない。支援に特化した訓練をしている事もあるが、戦闘は基本魔法剣士が担う。だから経験不足って事も大きいだろう。」
ボルク:
「それを見越してのあの攻撃を?」
ラエル:
「そうとしか思えない。今となれば、だけどな。」
リオ:
「これでラオルの勝利は目の前だね。」
リサ:
「ラオルって思ったよりやるわね。あの大技もいいタイミングで切り込んだわ。」
リオ:
「そりゃ、ラオルも体で経験しているから。リサに滅多打ちされながら、倒れなかったでしょ。リサの剣技を体で覚えてとっさに使ったって感じじゃないかな?」
リサ:
「そうなのよ、ラオルっていくら打ち込んでもすぐ回復するから、なかなか倒せないのよ。それに今回は、ほとんど攻撃を受けていないし、持続回復や、魔法封殺を使っていない分、残存魔力はそれなりにありそうね。」
ラオル:
「さて、これからどうするか、だな。」
「「風龍氷撃」」
マリア:
「ラオルの魔法攻撃!コロシアム内の空気がゆっくりと、ゆっくりと時計と反対周りに回っていきます!大きな渦が少しずつ回転数を上げながら小さく強くなっていきます!」
ゴラリア:
「これは、大技ですね。竜巻の内部に氷の粒が無数に確認できます。ソフィアを取り囲み、収縮!」
ソフィア:
「くっ! 防御が・・・」
ラオル:
「「風龍氷破・真空切り」」
マリア:
「なんと!氷の竜巻の上部へ飛び上がったラオル!真上から竜巻を2分する真空切りを!!!」
ゴラリア:
「ソフィアを取り込んだ竜巻が、真っ二つに分かれ、回転速度が爆上がり!2つの竜巻は、その接点の風が逆方向担っている為、ソフィアの体が引き裂かれそうです!」
リサ:
「何よあの技!あんなの喰らったら私でも・・。」
リオ:
「防御魔法が完全な状態ならまだしも、今のソフィアなら、半分も防御できない。」
ラエル:
「・・・・見たことのない技だ・・。ポルク、お前ならどう受ける?」
ポルク:
「魔力切れの時点で負けは確定ですね。もし私なら、同じ回転の暴風壁で相殺しつつ・・・って所です。」
マリア:
「ソフィア選手、放心状態のまま、足っています!ラオルがゆっくり歩み寄り、優しくソフィアを横たわらせました!」
ゴラリア:
「勝負あり! 勝者 ラオル・シグナリオ選手! 疾風のアグエス!1勝です!」




