第一章【始まりと旅立ちの島】第64話 決勝戦当日
2月16日 朝
リオは早めに目を覚まし、ディオとアシスの3人で朝食を取っていた。蒸かした小さめのジャガイモを塩と胡椒で軽く味付けした物と、目玉焼きとベーコン、そして甘く味付けしたホットミルク。朝食の定番といって良い内容だが、これが丁度いい。目玉焼きは、白味の所をホークで切り取りながら食べ、最後に半熟の黄味の部分だけを一口で食べる。これが至福である。最後にホットミルクを飲み、一息ついた。
ディオ:「どうだ、今日の試合は勝てそうか?」
リオ:「ちょっと厳しいと思うよ。」
ディオ:「だろうな。団長相手だからな。」
リオ:「お父さんは団長の事しってる?」
ディオ:「あぁ、よく知ってる。
あいつは規格外の強さだよ。」
リオ:「リサもそう言ってた。」
ディオ:「副団長も相当強い。支援系のソフィアも、
母さんと同じ位強いよ。」
リオ:「え?母さん・・そんなに強いの?」
ディオ:「当り前だ。ダグラスと3人で世界を
回ったんだから、強いに決まっている。」
アシス:「リオ、本当よ。ママはパパより
強いわよ~。」
ディオ:「ははっ!間違いないな。」
平和なひと時であった。何気ない日常がこんなに幸せだなんて、今まで感じたことは無かった。
リオ:「お父さん、この試合が終わったら、
街に拠点を持とうと思うんだ。いいかな。」
ディオ:「良いんじゃないか?金はあるのか?」
リオ:「一応大丈夫。」
アシス:「たまに遊びに行っても良いの?」
リオ:「良いけど・・・アグエスの拠点だからね。」
11:00
アグエスの3人は、いつもの店で、早めの昼食を取っていた。今後の計画と、今日の試合について話し合った。15歳になったら、世界を旅しながら回る事、それまでの2年間、リンデの街にアグエスの拠点を構える事、祠の奥にある古代遺跡の事。
色々な事を話し、夢を膨らませていた。
13:00
光の騎士団との戦いについて
リサ:「リオ、どう戦う?」
リオ:「総力戦かな・・・。僕とリサが前でラオル
が支援に集中。はじめから速度とか補助は
2重。はじめは防御を厚めに受けながら、
相手のスキを突く?って感じかな。」
リサ:「お兄様もそうだけど、スキ、無いわよ。」
ラオル:「僕も前に出て、支援系のソフィアを先に」
リオ:「それは無理だろうな~。
団長がそれをさせてくれるとは、
思わないな~。」
リサ:「そうね、お兄様はそんなことしたら、
側面から一撃で私たちを叩きのめすと
思うわ。」
リオ:「ん~。攻め入る隙が・・・見当たらない。」
ラオル:「防御に徹して相手の魔力切れを狙う?」
リオ:「それが妥当かな・・・。」
リサ:「え~いやよ~。思いっきりやりたいわ。
騎士団の最大戦力と戦えるのよ。こんな
チャンスないんだから~。」
☆光の騎士団
ラエル:「なぁ、ソフィア。ちょっといいか?」
・・・・・・・・・
ソフィア:「団長のお考えなら従います。」
ラエル:「あとは、アグエスがどう出るかだな。」
☆コロシアム 控室 疾風のアグエス
リオ、リサ、ラオルは控室でくつろいでいた。
”コンコンコンコン!”
ドアが4回ノックされた。
リオ:「どうぞ」
ラエル:「失礼します、光の騎士団
ラエル・ジャプスです。」
3人はビックリしてその場に立ち上がった。
ラエル:「これから行われる決勝戦、
よろしくお願いいたします。」
リオ:「こ・・こちらこそ、
お手柔らかにお願い致します。」
ボルク:「失礼します、ボルク・ダグラスです。」
リサ:「お兄様・・・。」
ボルク:「本日の試合に関して、ラエルより、
ご相談があります。」
リサ:「ご相談・・・?」
ラオル:「ご相談。」
リサとラオルは顔を見合わせ、そうつぶやいた。
リオ:「ご相談とはどういう事でしょうか。」
ソフィ:「ソフィア・ランドールと申します。
是非はお任せします。
あくまでもご相談となります。」
ラエル:「この試合、3対3の総力戦ではあるが、
ルールを変更したいのだ。」
リオ:「ルールですか。」
ラエル:「そうだ。」
リオ:「どの様にでしょうか。」
ラエル:「1体1の個人戦
3戦で勝率の高い方が勝ち。
と言うのはどうだろうか。」
リオは少し考えた。3対3での勝負では、まず勝ち目はない。1対1であれば、最高火力のリサが1勝し、後を引き分けた場合でも勝ちとなる。これは我々に有利なルール変更になる。
リオ:「誰と誰が戦いますか?」
ラエル:「それは自由に決めれば良い。
先鋒、中堅、大将をこの後考えてくれれば
それが対戦相手となる。どうだ?」
リサとラオルはこの件についてリオに任せる事を伝えた。
リオ:「解りました、そのお申し出、
お受けさせていただきます。」
ラエル:「そうか、ありがとう。では、よろしく。」
光の騎士団は、そう言って控え室を出た。足音が聞こえなくなるまで、アグエスは黙り込んで考えていた。
リサ:「リオ!どうするのよ!1対1しゃない!」
ラオル:「リサ、どうするのって顔が笑ってるよ。」
リサ:「そうよ!ワクワクしてたまらないわ!
でもお兄様とはやりたくないけど。」
リオ:「先鋒、中堅、大将か・・・。
光の騎士団 ラエルは多分大将だね。」
リサ:「そうね。それは間違いないと思うわ。」
ラオル:「中堅は、ポルクかな。」
リオ:「その可能性が高い。
でも先行でくるかもしれない。
どう受けるか、だよね。」
リサ:「いやよそんなの、勝って当たり前の
勝負なんかしたくないわ!
お兄様と戦うのもいやよ。
私は団長とやるわ!
ラオル:「僕が中堅なら、
先鋒 リオ対ソフィアで 1勝
中堅 ラオル対ボルクで 1杯
大将で決着だね。
僕が先行なら、
先鋒 ラオル対ソフィア
中堅 リオ対ボルク
勝敗がどう転ぶか見えないね。」
リオ:「ほんとだ、どう転ぶかわからないけど、
先行はラオル、中堅リオ、大将リサで
やってみるか!」
リサ:「ちょっと待ってよ、
ラオルとリオが負けたら
私の勝負どうなるのよ。」
リオ:「2勝で勝負が決まるから、
大将戦は無しかもね。」
リサ:「え?え~っ!」




