第一章【始まりと旅立ちの島】第58話 騎士団長の思い
その日の夜、リオは夢を見た。子供の頃、父親と母親に連れられ、田舎のおじいちゃんおばあちゃんの家に行っていた頃の夢だった。その家には大きな犬が居た。犬種はわからない。雑種だと思うが熊の様に大きな犬だった。おとなしく一緒に散歩したり、裏山で走り回ったりしていた。
懐かしい夢だったな・・・。あの頃は楽しかった。中学に入学した頃から、田舎の家にはあまり行かなくなった。学校が終わると塾に行き、帰って食事、その後に宿題を片付ける。そんな毎日で、夏休みには、塾の夏期講習、冬にも冬期講習があったからだ。あまり勉強は得意ではなかった。でも周りの友達はみな同じように塾に通い、高校へと進学する。その後も大学へ行くために毎日勉強・・・。夢で見たあの頃は、いつも笑っていたのに、大きくなればなるほど、笑顔を忘れ、大学に行き、就職し・・・・。社会人として働きだす年齢は22歳・・・。
リオは感じていた。以前の世界と今の世界では、まったく異なる事がある。それは、毎日が楽しい。どうすれば強くなれるか、どううれば、魔力をうまくコントロールできるか、その試行錯誤は、座学ではなく体で覚える。昔からそうだったのかもしれない。身体を動かして体で覚える。この方が私には合っている。15歳で成人となり、独り立ちすることが出来る。勉強するより経験を積む。この世界はわかりやすく単純だ。だから楽しいのかもしれない・・・。
今日は2日目、炎の騎士団との手合わせになる。何気にワクワクする。目を覚ましたリオは、顔を洗い、朝食を取り、アグエスは朝9時に集合した。
☆アグエス
リオ:「十分休めた?」
リサ:「完璧よ!魔力量もMAX!思いっきりやれるわ!」
ラオル:「調子はいいよ。今日はそんな戦いにする?」
リオ:「たぶん、相手の出方を見るスキが無いくらい、
早い展開になると思うから、みんな自分を中心に
やるだけの事をやればいいと思う。
それと、もし仮に僕が相手のチームだったらって考えると、
ラオル、君が初めに狙われると思うんだ。」
ラオル:「そうだね、僕もそう思うよ。」
リオ:「だから、リサ、リサの立ち回りが重要なんだ。」
リサ:「任せてよ。思いっきりやるだけだから!」
リオ:「相手はS級の騎士団だから、注意してね。」
☆炎の騎士団
炎:ミント・リフール 風:サルバ・ダリ 支:ポルク・リバーツ
ミント:「そろそろなだ。」
サルバ:「行きましょうか。」
ボルグ:「では、予定道理に。」
☆競技場
マリア:「皆様、おはようございます!
大会2日目第一試合が間もなく開催されます。
炎の騎士団
炎系S:ミント・リフール
風系S:サルバ・ダリ
支援系S:ポルク・リバーツ
疾風のアグエス
水系A:リオ・ダイアス
炎系A:リサ・グルジオ
支援系A:ラウル・シグナリオ
トト現在、炎の騎士団6:疾風のアグエス4
となっております。」
ランバルト:「いや~驚きですね。騎士団相手に6:4とは、
期待値なのか何なのか・・・。
13歳の冒険者がここまで勝ち上がっただけでも
素晴らしいですね。」
マリア:「両者の入場です!」
大きな歓声がコロシアムをうならせた。堂々とした足取りです。ゆっくりとそして、観客へのサービスも・・・。
ランバルト:「ではここで、リンデ王、
カシュキ・ドラニス様からお言葉を頂きます。」
リンデ王:「この大会は、冒険者、騎士団の更なる高みを
目指すために4年に1度開催する事にした。
本日は準決勝となるが、明日の決勝において、
優勝者には3000万リル
準優勝には1500万リル
の賞金と宮殿にその名を刻む栄誉を与えよう。」
ランバルト:「なんと、宮殿にその名を刻む!
賞金よりも何よりも素晴らしい名誉が与えられます!
それならば、それならば私も
冒険者として参加したかった~!」
☆コロシアム王観覧席
ラエル:「ありがとうございます。リンデ王。」
リンデ王:「これで良いのだな。」
ラエル:「はい、これで、騎士団及び冒険者に至るまで、
高みを目指す目的が与えられ、
リンデ国の防衛力強化にお役立ていただけます。」
☆コロシアム
マリア:「両者が配置に着きました。
炎の騎士団VS疾風のアグエス!
どのような戦いを見せてくれるのか!
楽しみですね。」
ランバルト:「同じ準決勝の舞台に立った両社に大きな力の
差は無いのかもしれません。
全力でのぶつかり合いを楽しみです。」
マリア:「それでは、そろそろ開始時間になりました!
両者みあってみあって~!はっけよ~い!
の~こった~!」




