第一章【始まりと旅立ちの島】第54話 ダグラスの出航
8月20日 早朝
☆グルジオ家
(父ダグラス 長男ボルグ 長女リサ 次男デュエル)
ダグラス:「ボルグ、リサ、デュエル、それじゃ行ってくるな。」
ボルグ:「はい、父上。」
ダグラス:「デュエル、来年から高等魔法騎士学校だな。
基本を忘れず丁寧に反復するんだぞ」
デュエル:「はい、父上。兄に追いつけるよう、頑張ります。」
ダグラス:「リサ、15歳になったら、パング島へ行くのだ。
そこで母が待っている。」
リサ:「はい、お父様。」
☆ダイアス家
ディオ:「今日が出航だな、見送りにでも行くか」
リオ:「そうですね。半年間とてもお世話になりましたから。」
☆シグナリオ家
ラオル:「お世話になりました。」
フィンクス:「あぁ、楽しかったよ。
それに見違えるほど強くなった。」
ラオル:「いえ、まだまだです。」
パウラ:「本当にありがとう。息子がお世話になりました。」
フィンクス:「パウラさん、ラウルはもっと強くなりますよ。
保証します。」
☆リンデ港
ダグラス:「リオ!ラウル!リサ!楽しかったぞ!
それと、15歳の成人を迎えたら、
頼むぞ!疾風のアグエス!」
ダグラスとフィンクスは、大きな船に乗り、アルフ大陸へと旅立った。
この世界には、王が収める大陸が4か所、島が3か所ある。
ドラニス大陸 アスリア大陸 オリリオ大陸 アルフ大陸
リンデ島 ハウル島。 そして未開の島とされるパング島である。
その昔大きな争いが400年続いた。それを統治したのが初代ドラニス皇帝である。各王国を収めるのは、ドラニスの血族であり、その子孫が1829年もの間、継承し続けている。
ドラニス大陸 ピルエラ・ドラニス皇帝
アスリア大陸 ユラエラ・ドラニス王
オリリオ大陸 ダニス・ドラニス王
アルフ大陸 アマエ・ドラニス王
リンデ島 カシュキ・ドラニス王
ハウル島 サマン・ドラニス王
そして、未開の島、パング島は、400年続いた戦乱には自国の防衛に徹底し、他国への進軍を行わなかった。その為、戦乱が終焉した後にも、ドラニスの支配が及ばず、未開の島として、自治を認められ、その国を領主テンテが収めている。このパング島は、他国との交易をほぼ行わず、独自の文化を守り今に至る。そこにリサの母が暮らしているのだ。
リオ:「来年13歳だな、あと2年と少しで成人だ。」
リサ:「そうね、もう少しね。」
ラオル:「海の向こうってどんな世界なんだろう・・・。」
リサ:「楽しいに決まってるじゃない!」
ラオル:「そうだね。」
アグエスの3人は、世界の広さを想像しながら、ダグラスとフィンクスを見送った。
あれから2か月が経ち、10月も終わろうとしていた。
アグエスの3人は、リンデ島の魔獣と言う魔獣を狩りまくり、宝石を集めていた。
冒険者ギルドでは疾風のアグエスと言う名も通り、他の冒険者との交流も多かった。
リンデ島冒険者ギルドに登録されているAランク冒険者は、総勢25人、その多くは20歳を超えている。この小さな島国で満足できない冒険者も多く、海を渡った者も多い。来年の感謝祭で行われる大会の噂を耳にしたリンデ島出身の冒険者も里井帰りついでに増えてきた。
アグエスの3人はまだ未成年の為、夜の酒場に行く事は無いが、酒場では大会の話で盛り上がっている。
☆ある夜の酒場
「おまえ、帰ってきたのか、大会の登録はやったのか?」
「3人のパーティーでの登録だろ?、帰還組ではなかなか難しいよ。」
「そうだな、俺のパーティーで出るか?」
「良いのかよ、でも出れなくなるじゃないか」
「あぁ、こいつはまだBランクだから、大会だけ交代でいいんだよ。」
「なんか凄い奴いるぜ!」
「ほんとだ、あの装備はここらじゃ手に入らないな。」
「S級?」
「かもしれないね」
「疾風のアグエス、相当やるらしいぜ」
「あぁ、聞いてる。あれだろ?前回の感謝祭の時の決闘の・・・」
「そうそう、木剣でAランク潰したとか」
「そのAランクって、あのミドレイン一派のクレイジーボムだろ?悪の?」
「そうそう、それを木剣でって話だ。」
「俺、その試合見たよ。すごかったよ。」
そんな日々が毎夜毎夜と続いていた。




