第一章【始まりと旅立ちの島】第53話 もう一つの秘密
リオはリサ、ラオルと合流し、少し休憩を取る事にした。
リサ:「リオ見て!宝石!いっぱい!嬉しいわ!」
リオ:「リサは女の子だったんだね。」
リサ:「当り前でしょ!」
ラオル:「リオがいない間にバグロバジュをいっぱい倒したんだよ。
リサが・・・。リオはどうだった?」
リオ:「大変だったよ、飛ばされて更に飛ばされて、
古代遺跡を見つけたんだ。」
リサ:「遺跡!宝物庫あった?」
リオ:「詳しくは調べていないから解らないけど、
何かあったらやばいので、何も触らず戻ってきたよ。
入口は、ここ。180番 新しい番号を刻んでおいた。」
ラオル:「この後、といっても今日はもうこの辺りで野営して、
明日にでも探索する?」
リオ:「それは辞めておこう。ギルドに報告して、
探査チームを組んでいかないと、
何が起こるか解らないし、もしもの事があったら、
取り返しがつかないから。」
リサ:「そうね、その方が賢明だわ。
お父様から聞いたことがあるの。
遺跡の地下のダンジョンの話。」
ラオル:「ダンジョンって?」
リサ:「ダンジョンは、冒険者がこぞって探検したがる場所よ。
誰が何処まで行ったかを競う感じで、
未知の魔獣も発見される場合もあるらしいわ。
ラング島には今までダンジョンが
発見されていないんだけど、
ダンジョンが発見されると、
世界中の冒険者が集まって、街や村が栄えるの。
でも厄介な冒険者も増えるから、治安も悪くなるわ。」
リオ:「そうなんだね。どうしようかな・・・。
ギルドに報告・・・。」
ラオル:「報告しないの?リオ・・・。」
リオ:「そうだね。少し秘密にしておくか。
成人して世界を回って、
今あるダンジョンの経験を積んでから、
ここのダンジョンを探索する。
楽しみは後にとっておこうかな。」
ラオル:「ダンジョン発見を報告すれば、
お金だって大金が手に入るよ、何億リルも。」
リオ:「そうなんだけど、今でもアグエスの所有リルは、
3億近くあるんだよ。街にアグエスの拠点として
家を買えるのに十分なだけのお金がある。
だから今は秘密にしてよ。」
ラオル:「わかった。疾風のアグエスの秘密だね。」
8月11日 朝
3人は朝食を取り、洞窟内をくまなく探索し、新しい番号を地図に記載し祠を出た。新鮮な朝の空気を存分に吸い込み、東の森をぐるっと探索し、夕刻に街へ戻った。
☆冒険者ギルド
受付嬢:「お疲れさまでした。」
リオ:「これ、クエストの回収物。」
モドドラゴンの肉とルブオン土蜘蛛の粘液を提出し、奥の祠での新しくできた洞窟の分岐番号、176番まであった地図に183番までを追記した内容を説明した。
その他、魔獣の討伐で得た回収物の買取依頼も行い、リサが欲しがっていた宝石は、リサが持って帰る事になった。
受付嬢:「貴重な回収物までありがとうございます。
すべて買い取りさせて戴きます。
明日、アグエス口座に入金させていただきます。」
リオ:「あの、すみません。聞いていいですか?」
受付嬢:「はい、なんでしょうか。」
リオ:「湖の真ん中に浮かぶ小さな島に、
祠があるじゃないですか。
あそこには入れないんですか?」
受付嬢:「あ~、湖の祠ですね。
あそこは禁則地となっておりまして、
ドラニス帝国の許可が必要になります。
リンデ王のカシュキ・ドラニス様に
申請となりますが、正当な理由が無い限り、
入る事は出来ないです。」
リオ:「正当な理由・・・。」
受付嬢:「ドラニス帝国からの勅令でない限り
入れないと伺っております。」
リオ:「勅令か、まず無理って事ですね。」
受付嬢:「その通りです。」




