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第一章【始まりと旅立ちの島】第51話 東の森 奥の祠 バグロバジュ

8月10日 17:00

その後1時間ほど探索したが、ゴーリアやベアなどが現れず、ほこらに向かう事にした3人は、リサのあの攻撃を思い返していた。


ラオル:「リサ、あの一撃、幻炎一斬なんだけど、

     魔力はどのくらい消耗するの?」

 リサ:「ん~大体だけど、最大値から10%も使わないわ。

     だから、10回は連続で打てるかしら。」

ラオル:「それって、もう無敵モード?」

 リサ:「そうね!そうとも言うわね!」


リオはしばし無言で足を進め、ほこらの前に到着した。


 リオ:「ラオル、洞窟内の探索頼む」


ラオルの探索距離は約800m 祠の周囲及び、地下空間の魔獣魔力気配を探索した。


ラオル:「周辺は問題ないよ。中には小型の魔獣がそこそこ居てるかな。」

 リオ:「ありがとう。中に入って少し休憩にしよう。」

 リサ:「洞窟は苦手だわ。じめじめしているし、行動範囲が狭いから・・・。

 リオ:「来年の感謝祭の事なんだけど、リサ、あの技使う?」

 リサ:「ん~使いたいけど、結構強力な技だから・・・。」

 リオ:「でも魔獣と違って人に場合、ちゃんと防御も取るだろうし、

     ある程度は大丈夫だよ。

     胴体真っ二つってのはちょっとやりすぎかもだけど、

     再生魔法が直ぐに使えれば、たいていの事があっても

     大丈夫だと思うよ。」

 リサ:「そうね!それじゃ、思いっきりやれるわね!」


3人は、リオが用意したサンドイッチを食べながら洞窟内の魔獣について共有していた。


 リオ:「このほこらは多くの冒険者が苦戦しているんだ。」

 リサ:「でも、強い魔獣はいないのよね。」

 リオ:「今の所、ではあるけど、まぁそうだね。

     でも油断できない魔獣が居る。」

 リサ:「そうなの?強いの?」

 リオ:「強さはそうでもないんだけど、厄介なんだ。

     バグロバジュが数多く生息してるんだよ。」

 リサ:「バグロバジュって?」

 リオ:「スライムだよ。白いスライム。」

 リサ:「スライム・・・・。」


リオはバグロバジュと言うスライムについて説明した。

バグロバジュは、小型から中型のスライムで、その体は白い。洞窟などに生息し、無機物、有機物に関係なく溶解する。だからこのほこらでは冒険者の残留物などは見つかる事が無い。すべて溶解吸収される。そして吸収した成分を結晶化させ、スライムの表面に目の様な形で蓄えている。スタイムの撃退方法は簡単で、コアを壊せば良いのだが、バグロバジュは蓄積した結晶と同じようにカモフラージュさせたコアを表面に配置している。そして重要な事は、このバグロバジュに攻撃を加え、コアを破壊できなかった場合、瞬時に空間魔法でどこかに飛ばされる。小型でも30m 中型だと60mは洞窟内もしくは外に飛ばされるのである。


 リサ:「だったら一発でコアを?」

 リオ:「そうなんだ。」

 リサ:「でも、飛ばされるだけでしょ?」

 リオ:「3人全員じゃないんだ。攻撃を仕掛けた人物だけ飛ばされる。」

 リサ:「って事は、この洞窟内のどこかに1人で飛ばされるって事?」

 リオ:「そう。そこに強い魔獣が居ても1人で対応しないといけない。」

ラオル:「それは厄介ですね。」

 リオ:「そうなんだ。だから森での戦いは1人で戦う方針にしたんだ。」

ラオル:「なるほど、今理解できた。」

 リオ:「このバグロバジュは、空間魔法の魔石が手に入る。

     だから冒険者には人気なんだよ。結晶化された鉱石も純度が高い。

     ダイヤやエメラルド、サファイヤ、金など色々採取できる。」

 リサ:「ダイヤ?エメラルド?サファイヤ・・・・。」


リサは目をキラキラさせていた。


 リサ:「リオ、はやく行きましょうよ。バグロバジュ。」


このほこらには、多くの冒険者がこれまで探索に来ている。その為、ギルドに祠内の地図があり、地点ごとに番号が記載されている。これは空間魔法で飛ばされた時にどの場所に飛ばされたか、仲間との距離など把握できるようになっている。とは言え、バグロバジュが新しい穴を開けた場合、そこには番号が無い。その場合は新しい番号を記し、ギルドに報告する必要がある。


 リオ:「じゃあ、奥へ入ろうか」


3人は少し速足で祠の奥へ奥へと足を進め、時折ラオルが探査を行い、バグロバジュらしき魔力の方へ足を進めた。


 リサ:「いたわ、あれでしょ」


暗闇の奥に白くぼんやり浮かび上がる少し潰れたようなスライムの姿。バグロバジュだ。


 リサ:「私にやらせて!宝石は私の物よ!」


バグロバジュの動きはゆっくりで、ほとんど動かないと言ってもいい。その場で岩や鉱石などを溶解吸収している。バグロバジュからの攻撃は基本的に無い。


 リサ:「どれかしら、核・・・。赤?黄?黒?・・・・。」

 リオ:「鉱石や宝石の結晶と擬態しているから、

     どれかは解らないよ。7つあるね。

     7回攻撃すれば必ず倒せるから。」

 リサ:「それじゃ、宝石が全部壊れちゃうじゃない。

     だめよ、1発じゃないと」

ラオル:「確率的に言うと、14%ほどだよ。

     うまくいけば1発で倒せるから。」

 リサ:「14%ね、わかったわ。」


リサは宝石の色を避けて、黒い結晶へ攻撃する事にした。


 リサ:「黒は大丈夫よね、黒曜石か、核かでしょ。」


リサは突きで黒い結晶を粉砕。その瞬間、リサは目の前から消える瞬間を目にした。


リサ:「なによ、ここ、どこなのよ。」


リサは探査を使い、リオとラオルの居る距離を把握、洞窟の中を急いで走った。リサの探査能力は300mほどだ。


 リサ:「17番ね、さっき通った道ね。」


リサは直ぐに元の場所へ戻ってきた。


 リサ:「失敗したわ!次は青い結晶!ラピスラズリを狙うわ!」


リサはまた飛ばされ、速攻で帰ってきた。


 リサ:「なによ!馬鹿にしてるの?次は赤よ!」


その後2回の転移魔法で、おおよそ30mの距離を飛ばされ、地図を頼りに走って帰ってくるを」繰り返した。


 リサ:「何回目?」

ラオル:「次は5回目だよ。」

 リサ:「あのピンクかしら・・・。

     ピンクサファイヤだったらどうしよう。」


リサは、欲しい宝石の色を避けて攻撃していたが、あと3個しか残っていない。悔しいけど、一番欲しいピンクを攻撃。


スライムは核を失い、ゆっくりと液状になっていった。バグロバジュの液体は、ガラス瓶で採取、2個の宝石を手に入れたリサは、少し悔しい顔をしていたけど、やっぱり宝石が得られて嬉しいようだ。


 リサ:「どんどん行きましょうよ!さぁ はやく!」


3人はバグロバジュを求めて移動し、小型のバグロバジュを4体ほど倒した。


 リサ:「以外と簡単ね。飛ばされた後に出くわす魔獣も

     大したこと無いし、地図があるから安心だわ。」

ラオル:「すぐそこに、少し大きめの魔獣の魔力反応がある。」


リサは駆け足でバグロバジュの前に出た。


 リサ:「うわ、大きいわね。宝石は・・・・20個以上?あるわ。」


リサはバグロバジュを宝石としてしか見れなくなっていた。


 リサ:「ねぇリオ、試したいことあるの、いい?」

 リオ:「試すってのは良い考えだよ。なに?」

 リサ:「私が離れて攻撃するから、リオ、

     私の前に居てほしいのよ。

     バグロバジュの転移魔法が攻撃をした

     本人にだけ発動するのか、それとも、

     近くにいる敵に発動するのか。」

 リオ:「えぇ~ 僕は囮おとりになるのかな・・・。」

 リサ:「そうよ、リオしかいないじゃない!

     おとりに適した頼りになる冒険者は。」

 リオ:「頼りになるはいいんだけど・・・

     おとりに適した人材って・・・」


リサはリオが話し終わるまでに斬撃を飛ばし、攻撃した瞬間、リオは目の前から消えた。


 リサ:「あら、こうやって転移するのね。

     やっぱり近い敵に反射的に反応するんだわ。」


洞窟の奥へ進んでいた3人の場所を中心に約60mの距離を空間転移させられたリオは、周囲を確認したが、通路番号の記載が無い事に気が付いた。探査を用いてリサ、ラオルの居る方向は掴んだ。


 リオ:「この地図から推測して約60m・・・。この辺りだな。」


そう言いながら地図に印をつけ、足を進めた。すこし歩いたところの上側に窪みがあり、通り過ぎようとした時、上から何かが落ちてきた。反射的に剣を振るい、リオは更に空間転移してしまった。

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