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第一章【始まりと旅立ちの島】第48話 魔力総量と魔力移送

1829年7月某日


リオ、リサ、ラオルはいつものようにグルジオ家の庭で稽古をしていた。3人は以前よりも魔力総量を増加させ、剣術、剣技においても飛躍的に向上していた。


剣技においてはリサが圧倒的に強く、続いてリオ、ラオルである。これは剣に携わった期間的な問題もあるが、リサは剣技に関しては血統のセンスによる要因も大きい。


グルジオ家は代々剣技において名を轟かせた一族で、その継承は独特の物であった。グルジオ家当主は、世界を回り、各地大陸の剣豪と手合わせをし、その名を知らしめる。その大陸で一番強い女剣士に子を宿らせ、2歳になればこのリンデ島に連れ戻ってくる。成長の課程で剣技を遊びの中で叩き込む。リサもそう育てられた。強さの根源はそセンスと鍛錬によるものだ。


ラオルは支援系の血を引く家系である。その為、支援系魔術の発動速度は誰にも負けない。剣技については、フィンクスの指導の下で、着々と実力をつけている。特に支援と風魔法を両立させた新しい剣は、ラオルにとって大きな武器であった。


リオは悩んでいた。というより、頭打ちになっている感覚だ。どれだけ訓練しても、魔法の発動速度が上がっていかないのだ。総魔力量はこの3人の中で最も多いが、発動に数秒かかってしまう。その事から、リサと比較して剣と魔力の混合攻撃で、まったく歯が立たない。


イメージ的な表現で言うと、リオは、大きなバケツに水がたっぷり入っている状態。これが魔力量とする。魔法発動の為にその水を使う為、バケツに穴を掛ける。その穴がリサよりも小さいのだ。だから剣に魔力がいきわたるのに時間がかかる。訓練である程度は速くなったが、戦闘の展開が早いとついていけなくなる。これはラオルも同じである。支援系魔法はセンスでクリアしているが、風魔法はリオと同じく発動に時間がかかる。

保持している魔力量を効率的に攻撃に活かせない状態である。

ではなぜリサは発動時間が短いのか。リサは剣技のセンスは持っているが、魔法とは違う。なのに魔法発動がめちゃくちゃ早い。


  リオ:「リサ、リサは炎系魔法剣士だよな。」

  リサ:「今さら何言ってるよよ、リオ。」

  リオ:「リサの魔法発動は瞬間発動だよね。」

  リサ:「そうね、血が滾ると言うか、

      思いっきり戦ってるときは速いわ。

      なんて言うか、この剣、魔力を吸い込む感覚なのよ。

      流し込まなくても吸ってくれるって感じ。」

  リオ:「それってその剣の特徴?」

  リサ:「そうね、炎に特化した剣だからかな?

      わかんないけど、お父様から頂いた剣よ。

      お母さまが使っている剣と同じ製法だって言ってたわ。」

  リオ:「ラオルはどうなんだ?その剣、

      風結石の結晶を使ったその剣、魔力の流れはどう?

 ラオル:「悪くないと思う。

      以前は剣を使ってなかったから解らないけど、

      何もない状態での風魔法よりこの剣を使った

      風魔法の方が、威力も速度も圧倒的に違うんだよ。」

  リオ:「そっか・・・・。僕の剣、僕に合ってないのかな・・・・。」


数日後、リオは父ディオに相談した。


  リオ:「お父さん、僕に作ってくれたこの剣、僕に合ってるかな?」

 ディオ:「合うも合わないも、十分使えてるじゃないか。ダメなのか?」

  リオ:「そうなんだよ。僕もはじめは気が付かなかったんだけど、

      オリハルコンって光魔法との相性がいいんだよね。」

 ディオ:「そうだな、お前の苦手な光系をカバーするしつらえになっているからな。

      とはいえ、ベースがタングだろ、どの魔法にも十分適合していると思うよ。」

  リオ:「そうなんだけどね、発動速度が遅いんだよ、魔法の・・・。」

 ディオ:「十分早いと思うけどな。魔獣退治で問題があったのか?」


その日の話は平行線をたどった。翌日、教会の図書館に行き、鉱石と魔力の関係についてもう一度調べる事にした。数冊の本を読み終わって、やはり、鉱石と魔力には相性がある事がわかった。その足でライダスの鍛冶屋へ行き、新しい剣の相談をした。


ライダス:「お、いらっしゃいリオ。」

  リオ:「剣を作ってほしいんだ。」

ライダス:「お前さんには良い剣があるじゃないか。

      もう一本欲しいって事かね?」

  リオ:「簡単に言えばそうなります。」

ライダス:「いいよ、どんな剣が必要なんだ?」


リオはライダスに詳しく説明した。自分は水系の魔法が得意である事、水系の魔法と相性が良い鉱石は、ミスリルである事、この2種の材料で剣を作ってほしい事を伝えた。


ライダス:「なるほどな、自分に合った素材で剣を

      作り直すって事だな。わかった。

      しかし一つ問題がある。

      お前さんの言うオリハルコンは

      どの魔法と相性がいいのかね?」

  リオ:「光です」

ライダス:「新しい剣を作れば、今までの様に

      光魔法が強く発動しないかもしれないよ。

      なんせ、オリハルコンで増幅されていると

      考えればそうなる。それで良いのかね」


リオは少しだまって考えていた。


  リオ:「お父さんが作ってくれたこの剣は、

      タングで全系統の魔法を使え、

      僕が苦手としている光魔法を補うために

      オリハルコンを使っている。

      それに、中が中空になっていて、

      ダイヤを後からはめ込む様に作ってくれた。

      ダイヤは風魔法と相性がいい。

      こうすれば、すべての系統を同じ位に使える

      マルチな剣になるんだ。

      駆け出しの冒険者や万能の魔法剣士には

      非常に良い剣になると思う。

      それに、魔獣と戦う上で、万能の方が都合がいい。

      でもそれでは超えられない壁があるんだ。

      だから・・・。」

ライダス:「なるほど、そういう事か。わかった。

      作ってやるよ。お前さんの言う超える剣をな。」

  リオ:「ありがとうごさいます。」

ライダス:「この剣から素材を使っていいかな?

      それと、お前さん、光魔法も必要だろう。

      タングをベースにミスリルを挟み込む刀身と、

      つかに中にオリハルコンを仕込んでやる。

      そうすれば、光系、水系が強化される。どうだね。」

  リオ:「それでお願いします。それと、

      余ったオリハルコンで、短剣を作ってください。」

ライダス:「わかった。3週間たったら来なさい。」


そうしてリオは剣をタイラスの鍛冶屋に預けた。

*ここまでのお話はいかがだったでしょうか?もしよければ、ご感想やご評価いただければ幸いです。


*この作品は、私の初めての作品です。ご字脱字など、気が付かれたら、お気軽にご意見など頂けますよう、お願い致します。

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