第一章【始まりと旅立ちの島】第46話 疾風のアグエス
リオ達は目を覚まし、早めの昼食を取っていた。
リサはまだ体の痛みは残っているが、動けなくはない。リオも少し痛みがある程度だ。リンデ山脈での目的である、風結石の結晶、運良く手に入れた龍の牙、ウロコなど、目的は達していた。リサのフラストレーションも解放され、街に戻る事にした。
14:00
街に戻った一行は、冒険者ギルドに報告に行く前に、ライダスの鍛冶屋へ立ち寄った。
ライダス:「よお、戻ったか。早かったな。あったのか?風結石の結晶」
ダグラス:「あぁ、あったよ大量にな、それと、この剣みてくれ。」
ダグラスは、アルギュロスゴーリアを倒した時に手に入れた古い剣を、リオは、洞窟の奥で見つけた古い剣をテーブルの上に置いた。
ライダス:「ほほ~古いな。ん?この剣は・・・・
わしが作った名剣じゃ ガハハ!」
ダグラス:「自分で名剣って言うか?」
ライダス:「冗談だよ。だが、こっちの剣は古代の剣じゃな。」
ダグラス:「古代?」
ライダス:「わしも良く知らんが、3000年以上前に作られた剣だと思うよ。
ここにルーン文字が刻まれているだろ。」
ダグラス:「ルーン文字?」
ライダス:「模様の様な文字じゃよ。これは古代文字なんじゃ。」
ダグラス:「価値はあるのか?」
ライダス:「ま~無いな。剣としては使えるが、
今の製法の方が剣としては優秀だ。
暇な金持ちが集めてるって話だがね。」
ダグラス:「リオ、だそうだ、お前らが見つけたんだ、お前らの物だ。」
ライダス:「それより、ラオル、お前の剣の話だが・・・・。」
ライダスは杖と剣を両立させる事が可能だと知らされた。モーデの婆さんが柄を製造し、その他はライダスが担当する。風結石の結晶をタングで挟む。剣自体は大振りにならない様に細見で仕上げる事になった。3週間ほど製造に時間はかかるが、理想の剣を作ってもらえる事になった。
防具やへ行き、ゴーリアの皮を表地に、ジオンの皮を裏地にマントとブーツ,手袋の作成を依頼した。肩の部分には、ジオンのたてがみを装飾として使用した。
ディオ:「なぁ、お前らも曲がりなりにもジオンを倒したんだ。
通り名的なものも必要になる。
アグエスに何か通り名を付けるか。」
リオ:「そうだね。ジオンを倒せたのは、
ラオルの支援があったからこそだ。
だから、風を評して、
疾風のアグエス にしようと思う。」
リサ:「疾風!いいわね!そうね、
ラオルの速度強化がなければ無理だったから」
ラオル:「倒したのはリサじゃないか、
僕は支援しただけだよ。
灼熱のアグエスで良いじゃないか」
リオ:「灼熱のアグエスだったらリサそのものだな。」
リサ:「そうよ、アグエスって響きには風が合うわ。
疾風のアグエス、これで決まりよ」
一行は冒険者ギルドに行き、依頼された、風結石の結晶と龍の牙、ウロコを収めた。アグエスは、ジオンの討伐した事など報告し、通り名、疾風のアグエスと申請した。リンデの街にその名が広がるのに時間はかからなかった。帝国直属魔法騎士団にもそれが伝わり、リサの兄、副団長ボルグ・ダグラスの耳にも入った。
騎士団長 ラエル・ジャスプ
副団長 ボルグ・ダグラス
ラエル:「疾風のアグエス、お前の妹のパーティーだそうだな。」
ボルグ:「はい団長、お耳汚し、申し訳ございません。」
ラエル:「一度手合わせを願いたいものだ。
ジオンを倒せる位の力があるのだからな。
それも12歳だ。」
ボルグ:「リオは、冒険者ギルド教官、ディオの息子です。
ラオルも同じく教官、パウラの息子。
それに、リサはS級ダグラスの娘、
私の父であり、リサは私の妹になります。」
ラエル:「なかなかの血筋だな。そうだ、
騎士団と真剣を使った模擬戦と言う形はどうだ。
来年の感謝祭にイベントとしてトーナメントを行う。
面白そうじゃないか?」
ボルグ:「それは面白そうですね。
騎士団の実力も確認できるし、
いい機会になりますね。」
ラエル:「よし、その方向で話を進めよう。」
6月1日
リンデ島 王家 カシュキ・ドラニスの承諾を得て、冒険者ギルドへ伝わったのは6月1日の事だった。騎士団及びB級以上の冒険者の参加が認められ、翌年2月に開催される感謝祭の目玉イベントとなった。
☆冒険者ギルド本部
ランバルト:「大事になったな。」
ゴラリア:「本当ですね。我々は参加するんですか?」
ランバルト:「お前は出たいのか?」
ゴラリア:「力を試したい気持ちはありますが、どうでしょうね」
ランバルト:「俺たちはギルドとして裏方に徹する。参加は出来ん。」
ゴラリア:「そうなんですね。少しホッとしましたよ。」
ランバルト:「リリにもそう伝えてくれ。あいつは出たがるだろうが。」
ゴラリア:「わかりました」




