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第一章【始まりと旅立ちの島】第43話 風結石の結晶

リンデ山脈 2日目


辺りが白み始めてきた。5月末の標高の高い山は、気温の下がり方も平地とは比べ物にならない。日が昇ってもまだ寒く、焚火を囲みながら、手足を温めていた。マジックバックから作り置きのスープを取り出し、それを温め、少しづつゆっくりと飲む。生き返った気持ちになる。夜明けから昼過ぎまでは、龍族の活動はあまりない。この時間に山脈に上がり、風結石の結晶を探さなくてはならない。もし万が一、龍族に出くわせば、隠れる場所の無い山頂では、死を意味する。探査魔術を多用し、慎重に事を運ぶ必要がある。


山頂へ向かう途中に大きな岩の洞窟があった。身を隠せる場所や、洞窟内の探索など、冒険者なら入りたくてたまらない。しかし安易に侵入するのは危険である。他の魔獣であればなんとかなるが、龍族が巣にしていたら一巻の終わりだからだ。


 ダグラス:「フィンクス、探査頼む。」

フィンクス:「この洞窟内の奥に、魔獣を数体確認できる。

       龍族ではなさそうだ。」

 ダグラス:「よし、ここで風結石の鉱脈を探そう。」

  ディオ:「洞窟内は温かいな。

       ここを拠点に周辺の探索もありだな」


先頭はダグラス、続いてフィンクス、リオ、ラオル、リサと続き、後衛はディオ。安全を確認しつつ、慎重に進んでいく。


フィンクス:「もう少し行けば魔獣がいます。気を付けて」

 ダグラス:「わかった。」


少しすると、ガサガサと魔獣の這いずり回る音がする。奥に光を通すとそこにはペルビアンが居た。ペルビアンとは、ムカデの大型の魔獣で、その外骨格は非常に硬く、100本あると言われる爪は、タングの装備を切り裂くほどだ。大きな顎には牙があり、挟まれると動けない。後部には毒針があり、刺されると、痛みが無くなり、体中の力が入らなくなる神経毒だ。採取できれば、薬としての原料になる。外骨格は、非常に軽く武器や防具の材料として重宝される。


フィンクス:「ダグラス、気を付けろ、正面に1体、天井に2体だ。」

 ダグラス:「あまり火は使えないな。

       リオ!来い! お前がやって見ろ」


ダグラスがリオを呼び、ペルビアンと戦わせる事にした。リオはアイスピックを飛ばすが、すべての攻撃がはじかれる。アイスピックを圧縮し、再氷結を繰り返し、硬度を上げる。更に回転速度を限界まで持ってき、ペルビアンの頭に叩き込んだ。が、素早い動きのペルビアンは、大きな牙でそれをはじき、弾道が反れた。ペルビアンはその頑丈なな外骨格と、牙、爪を持ち、リオは付け入るスキを見出せない。間合いに入れば爪、牙。中距離攻撃では傷一つ付けられない。リオは剣を構え、青白く光る。ペルビアンの物理的な攻撃をかわしながら更なる魔力を剣に流し込んでいた。ダグラスが放ったあの攻撃に近づける為に。ペルビアンが突進、牙での攻撃に対し、体制をねじりながら剣を振り下ろす。


片方の牙を切り落とすのに成功した。体制を立て直し、ペルビアンの顎が直視できる。「ギギ ギギ」と口を開ける。すかさずアイスピックを口内に叩き込む。ペルビアンは状態を低くし、後部の毒針から毒の煙を噴射し始めた。リオは少し距離を取った。


フィンクス:「ウインドブロー」


フィンクスが風を送り、毒霧を洞窟の奥へ流し、リオは霞の構え。


   リオ:「 「「雷電」」「「絶対零度」」2連撃!」


リオは雷電による高速移動と絶対零度による2連撃で、ペルビアンの後部にある毒針と頭部を切り落とした。


 ダグラス:「交代だ、援護に回れ リオ」


前衛をダグラスが入り、リオがその後ろで待機。ダグラスの連撃で、牙、顎、爪、毒針を切り飛ばした。


  ダグラス:「ディオ、交代だ!」


3体目のペルビアン。ディオはペルビアンの外骨格の継ぎ目を集中して攻撃し、剣が貫いた瞬間に炎を体内に送り込み、討伐した。異様な匂いが洞窟内に充満した。


 ダグラス:「フィンクス、頼む」


フィンクスがウインドブローでその匂いを奥へ流し、なんとか呼吸が出来るようになった。


 ダグラス:「リオ、そこそこ強いとは思っていたが、やるな。

       ペルビアンを倒せるか。

       あの瞬間移動はビックリしたぞ。

       光を電気にまで変化させる事ができるのだな。」

フィンクス:「ラオル、風結石の結晶が手に入れば、

       あのレベルまで到達できるから、そんなに悔しがるな。」

  ラオル:「はい、そうですね・・・。そう思う様にします。」

   リサ:「お父様、私の出番が全くなかったのですが・・・」

 ダグラス:「はは、そうだったな。すまんすまん。」

  ディオ:「リオ、どうだった?初見の魔獣は。」

   リオ:「危険ですね。

       どのくらいの防御力があるか分からないし、

       どんな攻撃をしてくるか、

       急所となる場所や弱点を知っていないと、

       魔力がいくらあっても数を相手にはできないです。」

  ディオ:「そうだな、魔獣の下調べも大切だ。

       今日はいい経験が出来たと思う。」


討伐した魔獣を解体回収し、少し休んでから洞窟の奥へ向かい始めた。

左右に分かれる道が数か所、下ったり登ったりと複雑な道に、ディオは目印を付けていた。初見の洞窟探索では、壁に番号を施し、迷わない様に注意をはらう。基本的な事ではあるが、慣れてくるとつい手を抜いてしまい、迷ってしまう事もある。特に、このリンデ山脈は危険地帯である為め、より慎重に事を進める必要があった。


 ダグラス:「風結石だ。」

  ラオル:「これが風結石・・・。」


ラオルがそれを持ち上げてみると、結晶にはなっていない。それに不純物も多い。


 ダグラス:「これは結晶化していない風結石だ。

       これがあるのであれば、どこかに鉱脈があるはずだ。

       洞窟の壁をよく調べながら進もう」


それから更に奥へ進み、ペルビアン数匹とルブオンツチグモやドラゴンオオトカゲなどの魔獣を倒し回収した。


   リオ:「ここ、岩の色が少し白いね。風結石かな?」

  ディオ:「リオ、少し離れてろ」


ディオは、剣先を使い、岩肌を崩し始めた。少し掘ると、空洞の穴が開き、そこを覗いてみると、風結石の結晶がびっしり詰まっていた。


  ディオ:「あったぞ、風結石の結晶」


ラオルは周囲の探査を行い、近くに魔獣が居ない事を報告し、風結石の結晶の回収を進めた。


 ダグラス:「これで目的は達成だな。

       どうする?せっかくだから、

       この洞窟を完全に調べておくか?」


  ディオ:「そうだな、ギルドへの報告としても有用だから、

       もう少し探ることにしようか。」

第一の目的である、風結石の結晶を手に入れた。洞窟はまだ奥に続く。


*ここまでのお話はいかがだったでしょうか?もしよければ、ご感想やご評価いただければ幸いです。

*この作品は、私の初めての作品です。ご自他脱字など、気が付かれたら、お気軽にご意見など頂けますよう、お願い致します。

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