第一章【始まりと旅立ちの島】第42話 リンデ山脈
5月
リオ達一行は、リンデ山脈を目指し、東の森を抜けようとしていた。東の森の魔獣はそれなりに強敵ではあったはずだが、ダグタス、ディオ、フィンクスの3人で圧倒しつつ、大量の魔石と肉、皮など回収物をマジックバックに納めていた。
ディオ:「おい、あれを見ろ」
森の端に差し掛かり、低木地帯の先に、ゴリラの様な人型の魔獣がうろついていた。
毛並みは真っ白と言うか、太陽に照らされ、白銀と言った方がふさわしい。山脈を守る守護神の様ないでたちをしている。
リオ:「なんか強そうだね。武器も持っているよ。」
リサ:「うわぁ、ほんと、リオ、誰かに似てない?」
リオ:「え?誰?」
ラオル:「冒険者ギルドのゴラリアさん?」
ディオ:「が~はっはっは、そっくりだな。あいつ銀髪だし、体格も、
そっか、ゴラリアはアルギュロスゴーリアの子孫かもな」
リサ:「そんな事言ったら、怒られるわよ。
でもよく似てるわ。アルギュロスゴラリアね」
ダグラス:「ディオ、あいつはどっちだ?水か?光か?」
ディオ:「やってみないと解らんな。いくか」
先手はフィンクスのウインドカッターで様子を探り、左右からダグラスとディオが攻撃を開始した。ラオルは支援魔術を3人に与え、リオとリサはラオルを守る陣形を取った。
ダグラスはS級の冒険者だが、このアルギュロスゴーリアは、硬く細い銀髪の毛でおおわれており、簡単に倒せる魔獣ではなかった。動きも素早く、人間から奪ったと思われる古い剣を所持している。ダグラスとディオは魔力を使わず、剣技だけでゴーリアと戦っている。
ディオ:「こいつ、なかなか頑丈だな。フィンクス!
こいつの足を止められるか?」
フィンクス:「俺は風だぞ、それは無理だ」
ダグラス:「じゃあ、あの剣を何とかしてくれ」
フィンクスは、アイスグラインダーを5連操り、剣の動きを止めた。そこにダグラスが踏み込み、ゴーリアの右腕を切断。
ディオ:「ダグラス、魔力無しで切り落としたのか?」
ダグラス:「Sランクだからな、それぐらいはリサに良い所見せさせてくれ」
ディオ:「余裕だな」
ダグラス:「まぁな」
右腕を落とされたゴーリアではあるが、その凄まじい攻撃力は速さ共に上昇し、ディオ、ダグラスを押し戻していた。時折眉間の辺りから閃光を放ち、辺りが真っ白に光る。
ダグラス:「光か」
ディオ:「珍しいな。打撃に気を付けて慎重にいこうか」
ダグラス:「そうだな。」
光系魔法を操る魔獣はそれほど多くない。個体差もあるが、ゴーリアレベルだと、雷の直撃だけは避ける必要がある。
ダグラス:「早めに腕おとしてよかった。雷と剣は厄介だからな」
ディオ:「ほんとだ。さっさと片付けるか」
ダグタス:「ディオ、久しぶりにあれやるか」
ディオ:「あれか?」
ダグラス:「フィンクス、あれをやる。風を頼む」
フィンクス:「わかった。2人だな」
ダグラスとディオは魔力を剣に流し、その剣が青白く輝き始めた。それだけでも相当な威力だが、フィンクスの風により、その温度は更に高く、剣の周囲が光で歪み、剣自体は真っ黒に見えた。
「「「プラズマ」」 」
二人はそう叫び、アルギュロスゴーリアは十文字に被弾し、4つの肉片が鈍い音を立てて地面に落ちた。斬撃の先には、山脈の大岩に大きな十文字の後が残っていた。
ダグラス:「ディオ、まだまだやれるじゃないか。
現役の時と変わらないぜ」
ディオ:「あぁ、まだなんとかな」
その時だった。
リサ:「山脈上空に龍族!3体!」
「こ こちらを見ているわ!」
ディオ:「リオ! 氷でこの一帯をドームで覆い隠せ!
それと森までの退路もだ!」
リオは慌ててアイスドームを生成し、水蒸気を煙幕としてドーム内に満たせた。
ダグラス:「すぐに回収して撤退するぞ!」
ディオ:「森で解体した肉をドーム内に出すんだ。」
全員が森へ撤退し、様子をうかがっていた。氷のドームは龍族によりいとも簡単に破壊され、その中にある肉をくわえ、飛び去って行った。
ディオ:「やばかったな」
ダグラス:「肉を置いたのは正解だった。あれが無かったら、
今頃この辺りを焼き払っていただろうな。」
リオ、リサ、ラウルは、この一連の出来事に、体が震えた。今まで死を覚悟するほどの恐怖は無かった。常に剣技や魔力で魔獣に勝てる自信があった。しかし、龍族は次元が違う。
森の中で魔力の回復とゴーリアの解体を行い、光の魔石を手に入れた。
リサ:「お父様、あの攻撃は何だったの?
凄い威力だったけど」
ダグラス:「あれは火魔法の最上位だよ。
もう少し大きくなればリサにも使えるようになる。
それと、フィンクスが風魔法で斬撃として
飛ばしてくれたから。100%の火力で
打つことが出来たんだよ。」
リサ:「あの攻撃だったら龍族も倒せるんじゃないの?」
ダグラス:「どうかな、難しいだろう。
龍族は魔法耐性が凄いんだ、
あらゆる魔法があまり効果を発揮しないんだよ。」
ディオ:「だから、手を出したらだめなんだ。」
龍族3体と出くわすも、ディオの機転で難を逃れた。6人は森の中でキャンプを張り、風結石の結晶の探索は、明日に繰り越した。
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