第一章【始まりと旅立ちの島】第41話 ラオルの新しい武器
5月
リオとリサ、ラオルはグルジオ家の庭で、剣の修行を付けてもらって2か月が経った。
ラオルは剣技以外にもフィンクスに風魔法を教わっていた。
ダグラス:「ラオルよ、お前も剣を持ってもそれなりに
戦えるようになったんじゃないか?」
ラオル:「剣ですよね。でもパーティーの中で支援が
中心なので、杖は離せません。」
フィンクス:「風魔法で剣を纏う(まとう)のはどうだ?
君の魔力量なら問題なく具現化できると思うよ。」
ラオル:「それなんですが、戦闘中にずっと魔力を
消費する戦い方になるので、支援としての
役割が疎かになってしまいます。」
ダグラス:「杖と剣の両方の特性を両立させる事が
できればいいんだな。」
ラオル:「ダグラスさん、どうしても剣を持たせたい?って事ですか?」
ダグラス:「そうだ」
ラオル:「・・・・・。」
ダグラス:「杖を強固にして武器として使えるようにしたものならある。
でも戦闘には不向きだ。やはり剣の方が実用的だとおもう。」
リサ:「じゃあ、お父様、
剣の鞘に杖の機能を付けるのはどう?」
ダグラス:「それは面白いな。どんな形になりそうだ?」
リサ:「単純にこの鞘に魔石を付けて装備すればだめなの?」
ラオル:「腰や背中に鞘を装備するだけじゃ
だめなんだ、手に持たないと早く発動できないんだ。」
リサ:「そうなの?じゃぁだめね」
リオ:「こういうのはどうかな。」
リオはラオルの新しい杖の考察を行った。
リオ:「少し大型の剣にはなるけど、
中心の軸に杖の素材7種を使い、
持ち手の部分、鍔に魔石を配置する。
強度を出すためにタングで覆い、刃の部分には、
風魔法と親和性の良い鉱石、風結石の結晶を
使うんだ。強度もそれなりに確保できるし、
風魔法で戦うんだったら、剣に直接衝撃が
入る事も少ない。どうだろう?」
フィンクス:「それはいい、風結石の結晶か、
それならリンデ山脈で入手できそうだ。」
ダグラス:「面白そうな武器になるな、タイラスのおやじに相談するか」
☆タイラスの鍛冶屋
タイラス:「なかなか難しい事を言うな・・・。
木とタングだぞ。同時に打ち延ばすことは無理だ。
柄は太くても両手で握れるのが条件・・・・。
ラオル、この杖はモーデのババアに作ってもらったんだよな、
ちょっと相談してみるか。
風結石の結晶はここには無いから、取ってくるんだな。」
アグエス達とダグラスは、その足で冒険者ギルドに立ち寄った。
☆冒険者ギルド
リオ:「リンデ山脈への立ち入り許可をお願いします。」
受付嬢:「リンデ山脈ですか!あそこは危険です。
立ち入りを許可できません。
アグエスの力量は先刻の事件での報告書を確認
して十分ですが、リンデ山脈には龍族が生息しています。」
ダグラス:「俺と、ディオ、フィンクスの3人もパーティーとして
同行してもだめなのか?」
受付嬢:「ダグラスさんはSランクですよね・・・
ギルド本部長に・・・・。」
ランバルト:「お~ダグラス、よく来たな。今日はなんの用だ?」
ランバルト:「お前とディオが着いていくのなら・・・
無理はするなよ。ついでに風結石の結晶、
ギルド本部にも納めてくれ、あれは手にはいらないからな、
それと、できれば龍の牙、ウロコあったらでいい。」
リンデ山脈への入山許可は得られたが、その危険性は十分理解した。特に龍族は戦ってはいけない魔獣である。 リンデ山脈に入る日程を1週間後に設定し、それぞれが準備を整えた。
ダグラス:「6人で行動するのだが、支援系魔法士は
ラオルの1人だ。ラオル、任せる事ができるか?」
ラオル:「何とかやってみます。攻撃魔法を使わないのであれば、
大丈夫だとおもいます。」
ダグラス:「リサ、リオ、わかっているだろうが、
龍族には気を付けろ、山脈からの旋回行動を確認したら、
すぐに知らせるんだ。見つかれば死人が出る。
基本的な魔獣戦闘は、俺とディオ、フィンクスで処理する。
支援はラオル、この構成で行くぞ!」




