第一章【始まりと旅立ちの島】第34話 思惑と祠と
時は少し戻り
8月15日 リンデ港 倉庫 9:30
グリデ:「動いたか」
ラファン:「はい、今しがた東の森へ向かいました。」
グリデ:「ふふっ、ようやくか、この日を待っていたんだ」
ジーズ:「全員に召集を掛けます。」
グリデ:「わかった。」
ラファンは冒険者ギルドに出入りする情報屋に アグエスの動向を調べさせていた。 8月15日に東の森へ入ると言う事と、クエストを3種受けている事、約7日間の工程で森に滞在する事などである。
グリデ:「いよいよだな。復讐だ。
我らが率いるAランク集団による、略奪の開始だ。」
グリデを中心集められた集団
☆チーム名 ☆ランク
炎の制裁者 A A炎グリデ A水マホイ A炎ルイル
ジュマラウタ A A水ジョアン A風ニルス A炎ミイダ
クレイジーボム A A炎ライア A土レイア B炎ジョルス
合計9名 グリデは炎の制裁者のリーダーである。
グリデ:「東の森はそう簡単にはいかない森だ。
みんな気を付けろ。何があるかわからない。
それが東の森だ。だからこのチャンスだ、
アグエスの連中に制裁を加える。
決闘の一軒では、我が息子ジョルスが
恥をかかされたからな、その復讐戦だ。
いまアグエスは、決闘の賞金とトトの賞金、
これまで稼いだすべての金を冒険者ギルドに
保管している。それを奪うには、ギルドカードと
冒険者3人のカードが必要だ。それらを奪って、
大陸に渡り、口座からすべてを奪う。
おおよそ2億、それを山分けだ!」
東の森 10:00
グリデの集団は、冒険者ギルドに報告せず東の森へ向かった。無駄な戦闘は避け、祠にたどり着いた。ジュマラウタのメンバーが、土魔法を使い、祠を見下ろせる小高い丘の地下に、拠点を作った。
グリデ:「ここであいつらが来るのを待つ事にしょう。
祠に入り、クエストを終了させ、魔力が大幅に
減少して出てきたところを打つ。
9対3で負けるはずが無い。
あいつらのカードを奪ったら、
すぐに島を出る。フフ、ざまぁみろだ。
みぐるみはいで、魔獣に襲わせてやる」
冒険者ギルド 10:30
リリ:「なにか集団で東の森へ入った者がいるそうだ。」
ゴラリア:「冒険者ギルドへの申請はあるのか?」
リリ:「申請は行っていないようです。」
ゴラリア:「何かあるな・・・。」
ランバルト:「今日はあいつらが東の森へ入ったんじゃなかったか?」
リリ:「そうです。クエストを3種受注し本日森に入りました。
7日間の予定です」
ランバルト:「それを狙ってたのか。」
「ダグラスとパウラ、ディオに連絡を取れ、
指示は追って出す」
東の森 11:30
アグエス達は、魔力の回復を行いつつ、戦闘は避けながら目的の祠に到着した。 ラオルは何か違和感を感じたが、そのまま祠に入っていった。 マジックバックからランタンを取り出し、慎重に足を進めるアグエス達。ラオルは探査を行った。
ラオル:「魔獣はいないよ。」
途中にいくつかの分かれ道があったが、
すべて右を選択し、奥へと足を進めた。
クエストの依頼内容はこうだ。
第1の祠に生息する、スネイクロックの変異種 スネイクタングロック10体の討伐と回収。
スネイクタングロックは、ウロコがタングで出来ており、その回収物は剣や防具に重宝される。魔石は土の魔石となる。
ラオル:「いる!魔獣の種類はわからないけど、奥へ200m2体」
リオ:「戦闘準備 バグロバジュだったら一旦引くよ」
リサ:「私がやるわ、リオ代わって、スネイクロックよ、タングロック!」
リサはそう言い、リオの前にでた。
リサは連撃で踏み込もうとした瞬間、スネイクタングロックが周囲の鉱石を操り飛ばしてきた。
リサ:「ちょ・・この狭い空間で、そんな事・・・。」
攻撃を剣で打ち払い少し後退した。
リサ:「やっかいね、あいつ」
リサは剣に魔力を流し、マグマの結晶が赤く輝く。 大きく踏み込み、連撃を加えるが、硬いタングのウロコにはじかれる。 リサは更に魔力を流し、黄色に。スネイクタングロックの攻撃をかわしながら叩き込む。
リサ:「まだなのね。」
リサは少しずつ魔力を流しながら敵を仕留める事の出来る魔力量を確かめていた。 リオは光魔法で、洞窟内を照らし、ラオルは体制強化、反応速度強化、持続回復など、支援を行っていた。
リオも加勢したかったが、洞窟の幅が狭く、下手に踏み込むのは危険であったため、リサの戦闘を凝視していた。
リオ:”魔力量は俺が一番多い、
リサも同年代に比べれば総量は2倍ほどある。
それに剣技が特質している為か、攻撃力的には
リサの方が圧倒的に高い。
あの新しい剣とリサの相性は抜群に良いようだ。”
リサ:「1体落とすわよ」
リサはそういった。剣の輝きが青白くなり、踏み込んだ瞬間、一刀両断で1体を落とした。
リサ:「リオ、代わって、やられたわ。」
リサはスネイクタングロックの波状攻撃により、左肩、右足、右腕を負傷し、リオと入れ替わった。ラオルはすかさず回復魔法を施した。
リサ:「ラオル、回復魔法?再生魔法になってない?」
ラオル:「うん。回復魔法の上位の魔法だよ。
回復魔法だけなら傷の回復には時間がかかるけど、
再生魔法なら早く治るんだ。
魔力総量が大幅に増えたからかな?
それと試してはいないけど、ちぎれた手や足なら、
元に戻す事も出来るよ。
イメージできるようになったんだ。
はじめは骨、血管を繋ぎ、神経を繋いだ後、
筋肉や皮膚を再生させる。時間はかかるけど、出来る。」
リサ:「だったらもう 怖いもの無しね」
リオは考えていた。
”リサのあの一刀両断。以前の威力よりはるかに高い。
それも炎系のみであの状態にまで・・・。
リオは2体からの攻撃を受け流すだけで精一杯になっていた。
リオ:「やっぱリサは凄いな。これ3体の攻撃を受けた上に、
攻撃をいれるんだから。」
リオは苦戦していた。速度を上げて攻撃に転ずるためには雷神しか方法は無い。しかし、タングのウロコをまとっているスネイクタングロックには、それを貫かないと動きを止める事ができないのだ。
リオ:「もっと威力のある攻撃魔法が必要だ。
どうすればいい?炎と風で熱量を上げる?
だめだ、こいつらには通用しない。
それに雷電とファイヤーウインドを
同時に組み合わせるのには時間がかかる。」
リサ:「リオ、交代よ、後は任せて!」
リサとリオが入れ替わり、あっさりと敵を倒した。
リオ:「すごいなリサ、強すぎじゃないか・・・。」
リサ:「そんなこと無いわ。お父様から頂いたこの剣、凄いのよ
それに、ラオルの再生魔法も凄いのよね」
リオ:「回収したら、少し休憩をいれようか」
リサ:「わたし、まだ大丈夫よ。」
ラオル:「僕も大丈夫、奥へ進もう」
様々な鉱石を回収しつつ、奥へ奥へと足を進め、立ち止まった。
リオ:「リサ、ちょっとこの鍾乳石をさっきの技で切って見てほしい」
切り口を確認し、リサに聞いた。
リオ:「あの攻撃でタングのウロコをいとも簡単に切り裂いたけど、
切れ味と言うか、どうだったの?
リサ:「それがね、まったく抵抗感が無く、スパって感じなのよ。
力が必要ないって言うか、そんな感じ。
リオ:「ちょっと剣に魔力を最大に流し込んでみてくれる?」
リオはその青白く輝く剣に、水を垂らしてみた。剣の上を転がる水の球。
リオ:「そういう事か。温度差・・・。
圧倒的な温度差で、物質が反発しあうんだ。
それにリサは炎系だから、得意な系統を極めると
こういう現象が発生する。と考えた方がよさそうだね。」
ラオル:「それってどういう事?」
リオ:「たぶんだけど、それぞれの系統の魔法を極めれば、
それだけでさっきのリサの様な攻撃を
出せるかもしれないって事。」
ラオル:「風でも?」
リオ:「たぶんね。」




