第一章【始まりと旅立ちの島】第33話 東の森
皇歴1929年 3月15日 感謝祭から1か月が過ぎ、 順調に冒険を重ね、アグエスの3人は南の森(上級)にいた。精神力 体力、技能ともに成長し、総魔力量は大きく成長していた。
リオ:「そろそろ東の森(高級)へ行ってみる?」
リサ:「そうよね、ここらの魔獣は問題なく討伐できるようになったからね。
レッドベアもワイドベアも。」
ラオル:「僕も魔法、中級までなら問題なく対応できるから」
リオ:「明日から東の森に行こう。」
翌日 冒険者ギルドへ行き、高の東の森への立ち入り許可を申請した。ついでに複数のクエストの依頼を受け、準備万端で、森に向かった。
東の森には祠が2か所ある。そこでしか見る事の出来ない魔獣が出現する。特に狙いたい魔獣は、バグロバジュだ。見た目はおとなしそうだが、攻撃性が高く、氷と風、空間魔法を使ってくるのだ。厄介なのが空間魔法だ。その魔法で、祠の別の場所へ飛ばされる事がある。その為討伐は難しく、1対1になるとAランク冒険者でも厳しい戦いになる。
空間魔法は。炎風土水光の5属性とは別となり、人間に使える者はいない。その為空間魔石は貴重な魔石として取引される。もう一つの狙いは、高の森の西側に位置する山脈の中腹に生息する、ジオンだ。山脈中腹にはタングと言う鉱石が多くあり、それを体に取り込んだ、ライオンに似た大型の魔獣だ。たてがみがタングの結晶で出来ており、防御力、攻撃力共に厄介な魔獣である。個体によって様々だが、特質した魔法を使う為、討伐は困難である。しかし討伐し、生首を持ち帰れば、悪趣味な連中が高くで買い取ってくれる代物だ。
リオ:「奥まで来たが、魔獣があまりいないね」
ラオル:「前方400mに複数の魔獣」
リサ:「いよいよね」
アグエスは風上に回り込み、魔獣を確認。
ラオル:「ウルフの群れだ。」
リオ:「14頭か、すこし厄介だな。」
リサ:「大丈夫よ、何とかなるわ。」
リサはバックから新しい剣を取り出した。
リサ:「これ使ってみたいのよ。
お父様から昨日頂いた新しい剣」
リオ:「少し細いけど、凄そうな剣だね」
リサ:「うん。細いから軽いし、刀身も長い。
マグマ石の結晶を割り込んであるの
炎系の私にはピッタリなのよ。」
リオ:「マグマ石の結晶か。」
ラオル:「少し反ってるけど、変わった剣だね」
リオ:「なんか、お父様の話では、ドラニス大陸の
まいいわ、また後で話すわ。」
リオ:「じゃ 行こうか。」
その瞬間、リサはウルフに襲いかかり、4連撃で4体を切りつけた。体制を取りなおし、さらに4連撃、凄まじい攻撃がウルフを捉えた。リオも追撃し、攻撃を加えた。いったん引き体制を取り直すと、ウルフも前衛と後衛が入れ替わり、後衛に移った6体は徐々に回復し、陣形を整えた。
リオ:「これはヤバいな。回復魔術を習得している。」
ラオル:「一番奥の体のでかいウルフ、あれが回復を入れているみたいだ。」
リオ:「ウルフの上位種、ウルフダートだ。」
リサ:「あれが司令塔になって陣形をコントロールしているの?」
リオ:「そうみたいだ。これは困ったな。」
「ラウル、この戦いで、支援魔法使いの重要性が
はっきりわかる。いい勉強になるから、
支援よろしく。
リサ:「やるなら回復できない状態までダメージ
を入れないと・・・。
連撃じゃなく、一撃必中で行くしかないわね。」
リオ:「そうだね、首をはねるか、胴体を両断するかだね。」
リサ:「確実に1体ずつ、潰していきましょう」
とは言え、14体ものウルフを同時に相手しつつ、確実に致命傷を与えるのはそう簡単ではない。一撃を加えようと踏み込めば、左右から攻撃される。動きが早く、一点を絞り込めない状態であった。それでも何とか3頭を不能に追い込みはしたが、形勢は不利のままである。
ラオル:「あのウルフダートの役割は非常に大きい。
回復、速度、体制強化の絶妙な対処は、
これほど苦戦するものなのだな。」
リオ:「そうなんだ、昔、父さんが若かった時代は
必ず支援系魔法士がパーティーに必要だった
事がよくわかる。強い魔獣であればなおさらだ。」
リサ:「リオ、あのウルフの足止めれない?あれで・・。」
リオ:「そうだね、このままだと時間がかかりすぎる。
リオ:「ラオル、遠距離でウルフダートを3連、
間隔をあけて3連頼む!」
リオはそう言って、八そうのか前から霞の構えを取った。
リサは脇構え、剣先を地面すれすれまで落とし、姿勢を低く保つ。
ラオルの遠距離攻撃で、ウルフダートの注意がそれた瞬間
「雷電」
瞬時に魔獣サイドにまで移動し電撃を打ち込む。一瞬動けなくなった前衛のウルフに対し、リサが切り込む。それを4回連続で繰り返し、合計7体を戦闘不能にした。
リオ:「あと7体」
一時後退し、体制を整える。ウルフもそれに合わせていったん後退した。
リオ:「連発は苦しいな・・・。」
リサ:「そうね、私も」
ラオル:「ウルフダートを攻撃すると、
自己の回復を優先するみたいだ。」
リオ:「なるほど、だったらやりようがある。
ラオル、アイスグラインダーで左右から
リサ、一直線にウルフを蹴散らしてくれ
ウルフダートを動けなくするから
あとはリサ 頼む!」
ラウルがアイスグラインダーを左右からウルフダートへ攻撃しリサが連撃で道を開ける。
リオが雷電でウルフダートを捉え、上空に飛び上がったリサが、剣に炎をまとわせ、一気に切り裂いた。その後のウルフは統一感を無くし、リオ、リサの連撃で、倒しきった。
ラオルは周囲の索敵を行い、安全を確認。見事に14頭のウルフを討伐した。
8月15日 午前10:40の事である。




