第一章【始まりと旅立ちの島】第28話 ラオルの父 パウラ・シグナリオ
ラオルは感謝祭での決闘について父、パウラと話をしていた。
パウラ:「よく勝てたな。お前の仲間は強いのか」
ラオル:「はい、リオ、リサはとても強いです。
僕は支援系なので大したことはないですが。」
パウラ:「そうか、支援系か・・・・。支援系は使い捨てだ。
それをよく理解しておけ」
パウラはそう言い、黙り込んだ。
パウラはラオルと同じ風系支援魔術師として活動していた。当時10年前でのパーティー構成は、攻撃系2名と支援系1名で構成されるのが当たり前だった。
その頃でも、冒険者は攻撃系が多く、支援系魔術師は少なかった。多くの場合、攻撃系であっても支援系をメインを担当すると言う形で、構成されていた。しかし、防具に魔石を取り付ける技術が発展し、支援系魔術師の必要性が減ってきたのだ。多くのパーティーは、魔防具を使い、支援は防具が担うようになっていった。その事から、支援専門でやっていた冒険者は職を変えるか、失うかそういう選択を余儀なくされた。
パウラは風系支援系魔術師 それも支援専門であった。当時、パーティーを組んで東の森(上級)に入り、魔物討伐を行っていた。リーダーのグリデ・ミドレインは、高火力を売りにしていたAランク冒険者で、魔力すべて攻撃に使用し、支援はパウラが担当していた。その戦い方は苛烈で引くことをしない。支援を多用しガンガン討伐するスタイルで、当時リンデ島のなかで最大火力を誇るパーティーだと言われていた。
しかしある時、パウラは魔力切れを起こし、支援がままならない状況に陥った。その事で、討伐は難攻し撤退も出来ず、リーダーは厳しい表情でこう言い放った
「パウラ、支援者だろう、何とかしろ 無能が!」
グリデともう一人も一気に後退し、パウラは魔物の前に置き去りになった。
魔物はパウラに襲い掛かり、左腕をかみちぎった。パウラは自分の腕をおとりに退路を作り、命からがら撤退したのだった。
グリデ:「お前は無能だ。だからこうなった。わかるだろ。」
グリデはそう言い残し、パウラをパーティーから追放した。
支援職は必要ない時代に変わり、パウラは冒険者としての職を失ったのだった。
パウラ:「ラオル、支援職は使い捨てだ・・・・。
もし冒険者を続けるのなら、攻撃系になれ・・・・。
冒険者職員:「パウラ・シグナリオさん 御在宅でしょうか?」
パウラ:「なんだ、俺はもうお前らとは関係がない、帰ってくれ」
冒険者職員:「パウラさん、これを」
それはランバトルギルド本部長からの手紙だった。
冒険者職員:「お渡ししました。必ず読んでおいてください。」




