第一章【始まりと旅立ちの島】第26話 決闘 戦術
「では、はじめ!」
ギルド長の号令と共に、コロシアムが震えるような歓声があがりました。
司会マリア:「クレイジーボムがやはり先手をとります。
後方にジョルス、ファイヤーボールの連続攻撃、
前衛のライア、レイアは一気に攻め込みます。
狙いはラオル、早い!」
リオ:「リサ、ライアを抑えて!ラウル、防御に徹して!」
「俺はイレアを抑える、行くぞ!」
司会マリア:「アグエスは、水魔法で防御線を張り、
ラオルが後方へ、リサがライア、
リオはレイアと攻防に、
ラウルはジョルスの遠距離攻撃を
水魔法で防御、
その間にリオ、リサへ支援魔法を与えます。」
ゴラリア:「なんとか陣形を整えましたね。
あの速攻に対応できたのは良かった。
ラオルがやられれば、3人の攻撃に
2人では持ちこたえられなかったでしょう。」
司会マリア:「ではライアVSリサに目を向けましょう。
ライアは土で防御壁を錬成し、
ストーンボールを連射、
リサは木剣でそれを全てはねのけています。
凄まじい剣さばきですね」
ゴラリア:「さすがとしか言いようがありませんね。
グルジオ家の真髄とでも言いましょうか、
12歳であの剣さばき、目を見張る状況ですね。」
司会マリア:「イレアVSリオはどうでしょうか、
リーダーレイアは近距離、中距離を
炎系魔法で断続的に攻撃しています。
流石Aランクと言ったところでしょう、
炎の斬撃を飛ばし、ウインドステップで
間合いを詰め、2連撃、そのまま距離を
取ってのファイヤーボム。
付け入るスキがありません。」
ゴラリア:「それにしてもリオは良く踏ん張っていますね、
すべての攻撃を水魔法で相殺している。
2連撃にも対応できているが、
支援魔法のおかげかもしれませんね。
ラオルを守る理由はそこにありそうですね。」
司会マリア:「一進一退を繰り返し・・・と言うか、
一方的に火力をぶつけるクレイジーボム、
それに反して、防御一辺倒のアグエス。
持ちこたえているが、反撃できずに押されています」
ゴラリア:「戦闘開始から15分、普通の剣士ならそろそろ魔力が
心配になるころですが、防具に魔石が入っているため、
魔力消費もある程度軽減できているのでしょう。
クレイジーボムの攻撃は、さらに火力を上げてきている。」
イレア:「くっそこいつ、意外としぶといな、木剣でここまでやるのか。」
「ライア、そっちはどうだ!」
ライア:「この女、俺の攻撃を全てはじきやがる。
木剣で壁ごと切りこんでくるから厄介だ。
ダメージも半端ない。」
レイア:「ジョールス!前に出て、ラオルをやれ!」
ジョルスはワイヤーボムを撃ちながらラウルとの距離を詰めている。ラウルは炎を水魔法で相殺しながら防戦一方だ。
リオ:「ラオル、どうだ。」
ラオル:「大丈夫」
ラオルは思っていた。この6種類の木で作られた杖に6種類の魔石、魔力放出が大きく軽減されている。それに得意ではないはずの水魔法で、ジョルスの炎をすべて消すことができているからだ。
「この杖、すごい」
司会マリア:「戦闘開始から40分がたちました。
コロシアム内は炎と水とで蒸気であふれ、
白く靄がかかっています。
時折リオが、煙幕の様な水蒸気爆弾を
イレアに打ち込み、
ますます霧がかかってきました。
リオ:「ラオル!今だ!」
大きながコロシアムに響く。
ラオル:「大いなる風の神よ!大地の神よ!我に力を分け与え!」
ラオルが杖を空高くかざし、風魔法を演唱した。
ゆっくりと風がコロシアムを周りはじめた。コロシアム上空に大きな黒い雲が発生し、風の勢いはさらに強くなった。無防備なラオルにジョルスが攻撃を加える。
リオとリサが防御に入り、黒い雲からゴロゴロという音と、バシバシと光を放ち始めた。
リオは剣を構え直す。
ラオル:「大魔法、ライトニング!」
リオは八そうの構えから、霞の構えへ、重心を低く目線はライアを向いている。
リオ:「ライジン:雷神」
その瞬間、光の速さで瞬間移動、ライアを捉え、木剣を打ち込む。
ライアは電気ショックで動けなくなった。リオは距離を取り構え直す。
その時、大きな雨雲から大きな雷が、ライアを貫く。
次に照準を合わせたのは、イレアだ。
リオ:「雷神2連」
同じくライアの間合いに入り、2連撃し、後退する。ライアは動けず、落雷がライアを直撃した。
司会マリア:「一瞬の事です。瞬きすらできないくらいの速い連撃、
そして雷がライアとイレアに直撃しました。
大魔法!ライトニング炸裂です!」
リサは木剣でライアの鎧を砕き倒した。リオも同じく木剣で鋼の鎧を砕き、倒しました。
残されたのは、ジョルジュとラオル。リオとリサはそれを見守ります。
ジョルジュ:「お おまえ、何を・・・。」
ラオルは一歩一歩間合いを詰めます。ジョルスは恐怖にかられ、ファイヤーボムを撃ちまくる。それを風魔法、ウインドカッターで粉砕。ジョルスは最後の魔力でファイヤーストームを唱えた。ラウルはそれをウオーターカッターで粉砕し、そのままアイスカッターを連撃した。ジョルスの鎧は粉々に粉砕され、魔力切れのジョルスは何もできず棒立ちしている。
ラオル:「エアーボンバー」
ジョルスは吹き飛ばされ、コロシアムの壁で意識を失った。
リオ:「ラオル、勝どきを上げろ!」
司会マリア:「大~番狂わせです!勝者アグエス!勝者アグエス!」
大魔法、ライトニングで、
形勢は逆転、なんという、なんという・・・。
大歓声と怒号の中、リオ、リサ、ラオルは両手を高く上げた。
ゴラリア:「あの瞬間まで、アグエスは押されていたのは間違いない」
「ラオルの大魔法による雷雲の発生が
この勝負を大きく変えた」
ゴラリアも、事の真相までははっきりつかめていない、なにせ、12歳の新人冒険者が、木剣で熟練冒険者パーティー,クレイジーボムを打ち負かしたのだから。
決闘に決着がすきました。物語のご感想はどうでしょうか。もしよければ、ご感想や評価をいただければ幸いです。
この作品は、私の初めての作品です。物語の流れや表現、誤字脱字など、気が付けば気軽にご意見いただけると幸いです。




