第一章【始まりと旅立ちの島】第22話 決闘と因縁と
決闘の日取りは2月14日となった。
2月14日は感謝の日として祝日になっている。リンデの街ではお祭りが3日間執り行われる初日に当たる。会場は闘技場、決闘を取り仕切るのは冒険者ギルド、参加は3対3のパーティーでの戦闘。登録されているパーティーメンバーで戦う事になる。
感謝祭の初日と言う事で、大きな決闘イベントが街中に告知された。
500リルの2倍、1000リルの決闘となれば、観客も盛り上がる。それに、賭け事の好きな冒険者は、こぞって勝敗に投じるのだ。
☆ジョルス率いるパーティーは、Aランク 「クレイジーボム」
ジョルス Bランク 火魔法剣士 15歳
ライア Aランク 土魔法剣士 22歳
イルア Aランク 火魔法剣士 23歳
☆リオ率いるパーティーは、Aランク 「アグエス」
リオ Aランク 水魔法剣士 12歳
リサ Aランク 火魔法剣士 12歳
ラウル Aランク 風魔法支援系 12歳
この両者で2月14日の感謝祭1日目に決闘が行われます。
現在のオッズは、クレイジーボム7に対し、アグエス3
Aランクとは言え、年齢が12歳である事、Aランクになってまだ1か月未満である事
圧倒的にクレイジーボムが優勢と判断されています。
リンデ街の喫茶店
ラウル:「ぼく、僕の話をしていいかな。」
リサ:「なに?聞くわよ」
ラウル:「初級魔術学校に居たとき、よくいじめられていたんだ。
クズだ、のろまだって ・・・」
そのいじめていた相手が、ジョルスの弟なんだ。この父親のグリデ・ミドレインなんだけど、Aランク冒険者で、僕の父が昔所属していたパーティーなんだ。
ジョルスを見ていればよくわかると思うんだけど、父のグリデもあんな感じで・・・。
僕の父は、支援系としてそのパーティーで狩りに出ていたんだ。グリデは強気でガンガン行くタイプだから、お父さんはいつも支援で苦労していたんだ。いつも、無能だ、のろまだ、役立たずとののしられながら、何とか戦っていたんだよ。
ある時、グリデは、未開の森へ行くと言い出し、仕方なくついていった。
案の定、ガンガンに飛ばして攻撃するものだから、支援も大変で、枯渇してしまったんだ。リンデももう一人の剣士も魔力が枯渇寸前で、もうダメかと思った時、お父さんが魔物に攻撃され、左腕を食いちぎられたんだ。その隙に、なんとか撤退する事ができたんだが、冒険の失敗を全て、無能な支援魔法士僕の父の責任にし、パーティーから追放されたんだよ。だから・・・・。
リサ:「わかったわ。そういう事ね」
リオ:「辛い事を話させてごめんな。でも安心して。
絶対にジョルスを許さない
ジョルスだけじゃない、父のグリデ、
必ず、報いを受けさせてやる
愚かな人間は存在するが、無能な人間なんて一人もいない」
リオは、前世の記憶の中にいた。無能と言う言葉に怒りがこみあげてくる。
「無能・・・。」




