第一章【始まりと旅立ちの島】第12話 冒険者
リオとリサは、リンデ広場で待ち合わせを行い、冒険の旅に出る事になった。旅と言っても、日帰りで、強い魔獣の出ないエリアで魔獣狩りをする。
リンデ島は小さな島で、西側中央部に港がある。その港を囲むように街が構成され、街の南側に王宮、帝宮がそびえたつ。その南には大きな湖がある。湖の奥にはリンデ山脈が南北そびえている。
リサの家はリンデ広場から近くの街中にあり、リオの家はリンデ島の北側 森の中にある。
リオの家周辺は、比較的弱い魔獣しか存在せず、安全に行き来できる。今日の冒険は、リオの家周辺で行われる。 リサは冒険用に皮の防具を装着し、剣は鉄製?で、長さは少し短めだ。身体のサイズにはピッタリで、真新しい武器だ。
リサ:「冒険ってやったことあるの?」
リオ:「うん、お母さんとお父さんと3人でよく行っていた。
最近は一人で行く事も多くなったけど」
リサ:「へーそうなの、すごいわね。」
リオ:「リサは行ったことあるの?」
リサ:「無いわよ。危ないっていうから」
リオ:「そうだね、基本的には危険が多いから、
一人ではまだ行かない方がいいね。」
リサ:「私たちだけで行って大丈夫なの?」
リオ:「大丈夫だよ。僕一人でも行けるくらい弱い
魔獣しかいないし、もし何かあった場合、
この照明弾を空へ向けて撃つと、
おかあさんやおとうさんが駆けつけてくれる
事になっている。だから全く問題ないんだ。」
リサ:「よく考えているわね。だったら安全ね」
リオ:「このあたりの魔獣は、こちらから攻撃しないと
襲ってこないから、ゆっく観察してから
攻撃するから、いきなり戦わないでね。」
リサ:「わかったわ。」
リサは初めての魔獣討伐という緊張から、無合いそうな返答しかできなくなっていた。
リオ:「あれ見て、ラビット、動きが少し早いけど、
攻撃力はそれほど強くない。魔力は少なく、
危険を察知して逃げる時に、超跳躍で逃げる。
だから一発で仕留めた方がいい。
肉、皮は販売できる、
魔石は小さすぎて売り物にはならないけど、
アクセサリーの装飾に使われることもあるんだ。」
リサ:「わかったわ」「でどうすればいいの」
リオ:「そうだね、その剣に火魔法をまとわせて、
炎の斬撃を飛ばすんだ。」
リサ:「そんなの出来ないわよ。」
リオ:「出来なくてもいいんだ、
出来るかどうか試すつもりでやればいい」
リサは剣を構え、集中し呪文を唱える「ファイヤーソード」
リサの剣が炎にまとわれメラメラと燃えている。「ファイヤーカッター」
詠唱と同じくして剣を振り下ろし、炎の斬撃がラビットめがけて飛んでいく。
剣のセンスが高いぶん、斬撃のスピードは申し分ない。
角度、方向、速さ。ラビットを捉え、一撃で倒すことができた。
リサ:「やったわ!やったの?え?どうなの?」
リオ:「完璧な一撃だった。すごいよリサ」
リオはラビットをすぐに解体し、肉、皮をマジックバックに収納した。
ラビットから採取した魔石の色は白だ。
リオ:「ラビットって一羽二羽って数えるだろ、鳥じゃないのに」
リサ:「うん、それがどうしたの?」
リオ:「だからかな?白い魔石は基本的に鳥類が多いんだ。
鳥は風を扱うから、でもラビットは哺乳類なんだ。
不思議だね。」
リサは全く理解できていなかった。
リオ:「ここで冒険について気を付けないといけない事を確認しよう
リサ、冒険中に魔力枯渇になったらどうなる?」
リサ:「やばいわね。場合によっては殺されるかもだけど」
リオ:「そうだね。このエリアでは大丈夫だけど、
それなりに攻撃力のある魔獣と戦って完全枯渇したら、
やられるね。それを頭に入れておいてほしい。
対応方法としては、完全枯渇にならない様に
気を付ける事、枯渇状態であれば、魔法を使わず、
剣で防御に徹する事、魔力が回復したら反撃する。
それを繰り返し行うんだ。もし、バーティーで
僕が完全枯渇したらどうしたらいい?」
リサ:「魔獣を倒すしか無いわね」
リオ:「まぁそうなんだけど、魔獣の攻撃はある種単純で、
最後に攻撃された相手をターゲットに反撃してくる。
遠距離攻撃の場合、魔獣に一番近い敵をターゲットに
するんだ。もし僕が、完全枯渇して動けなくなったら、
魔獣のターゲットを取って、魔力をできるだけ使わず、
防護に徹してほしい。その間に意識が戻り、
僕がで安全を確保できるようになったら攻撃を再開。
お互いの魔力の消費を計算し、一緒に枯渇しない様に
するんだ。それができればある程度の強さの
魔物でも倒すことが出来る。」
リサ:「そういう事ね、わかったわ。」
リオとリサは1時間ほどで、リサの魔力が枯渇状態になった。
リオ:「少し休憩しよう」
リサ:「そうねちょっと疲れたわよね」
それから2時間、リサの魔力が全回復するのを見計らって、リオも枯渇状態になった。
狩りは順調に行え、獲物の数も十分ある。
リオ:「リサ、あの木見える?
あの木を魔力を目に集中させてみてほしいんだ。」
リサ:「なにあれ、なんかぼやって光ってる感じ」
リオ:「そうなんだ、あの木には魔力が存在するんだ。」
リサ:「え?植物に魔力?」
リオ:「うん、他の植物にも微量の魔力はあるんだけど、
あの種の木だけは、魔力量が少し多いんだよ。
あの木の樹液を飲むと、ほんの少しだけ魔力が
回復する、覚えておいてほしいんだ。」
リサ:「わかったわ。覚えた。
でもリオはなぜそんなにいろんな事を知ってるの?」
リオ:「魔導書だよ。図書館にあるほとんどの魔導書を読んだよ。
魔術の事、魔獣の事、魔石の事、植物の事、
ポーションの事、初級魔法、中級魔法、上級魔法、
王宮魔法、帝級魔法、古文書や冒険記録もいっぱい読んだ。」
リオとリサは帰路に就き、魔術の事や、魔物の特性、魔石、植物について話をした。
リサ:「じゃあ、その回収した獲物とか植物で。
ポーションって作れるの?」
リオ:「うん、作る事は出来る。
でも作るのに時間がかかるから、買った方がいい」
リサ:「でもお金が必要じゃない」
リオ:「だから、獲物や回収した植物を売るんだよ。
いかまらお店を回るよ」
夕刻5時、リンデの街に着いた。はじめに魔石、小さいので買い取ってもらえるかは分からないが、50個以上あるので相談してみた。
赤が25 白が8 黒が12 青が27 合計67個
魔石商人:「小さいね。これは買取が難しい。でも
色の濃い魔石が数個あるね。よし、
赤3個、黒1個、青4個、
この濃い色の魔石は買わせてもらう事にする。
他はダメだ。」
リオ:「ありがとうございます」
魔石商人:「小さい魔石は、1個につき銅貨1枚だ、
なので銅貨8枚800リルね」
店を出て次の店、肉屋
ラビットの肉、きれいに解体されているね、8体
土モグラの肉、これもきれい 7体
土蛇、5体
川トカゲ、多いね 15体
川蛇、12体
へー頑張ったね、火トカゲ 20体
それと、ビートルの毒、これはここでは買い取れないね。
店主:「そうだね、全部で62体 銅銀1枚と
おまけで銅貨1枚だね 1100リルだ」
防具屋
店主:「魔物の皮だね 全部で銅銀1枚と銅貨5枚
1500リルだよ」
薬屋
店主:「ビートルの毒 火毒だね、6個、銅銀1枚と銅貨8枚
1800リル」
売却総額は 銅貨22枚 銅銀3枚 5200リル
リサ:「これだけ?にしかならないの?一人分で2600リルじゃない
これじゃー夕食分にしかならないわ。
朝9時から夕刻4時までほぼ丸1日狩りをして、夕食1食分?」
リオ:「そうだね、弱い魔物しか出ないエリアはこれでも稼げた方だよ。
リサの魔力量、7歳にしては多い方だし、僕もそうだ。
もう少し奥の森に入れば、中級の魔物が出る。
そうすればもう少し稼げるよ。」
今日は初めての冒険だよ、よくできた方だよ。
リサ:「そうなのね、良い方だったと言う事ね。ありがとう。」
リオ:「これ、売れなかった魔石、記念に持って帰る?」
リサ:「え!いいの?ありがとう」
リサは、稼いだお金より、
初めての冒険で得られた魔石の方が嬉しかったようだ。
この世界の貨幣単位はだいたいこうだな。
銅貨= 100リル
銅銀= 1,000リル
銀 = 10,000リル
銀金= 100,000リル
金貨=1,000,000リル
それ以上の通貨もあるらしい。
金に宝石を埋め込んだ特別な使用になっている。




