第二章 第102話 まだ未成年なので・・。
出航してから3日が経ち、リンデ島、ハウル島、オリリオ大陸の中間にあたる大海原を航海していた。ここは近海では無く、中型の海洋魔獣が良く出現する。暇を持て余していたリサは、船の先端、2等級甲板の先頭に立ち、海洋魔獣が出現するのを今か今かと待ち構えていた。
船長ジン:
「お嬢さん、そんなに意気込んで待ち構えていたら、魔獣も怖くて出てこれないんじゃないかな?」
リサ:
「そうなの?じゃぁ少し下がって待ってるわ。」
船長ジン:
「お嬢さんのその剣、少し見せてもらっていいかな。」
リサ:
「これはお父様が作ってくれた剣なの。他の剣と少し違う形だけど、良い剣よ。」
船長ジン:
「本当だ、良い剣だね。わしの剣と同じ形だ。見てごらん。」
リサ:
「あら、本当ね。同じ形だわ。」
船長:
「この剣は、わしら海の民フェニキアの魂なんだよ。先祖から受け継いだ、大切な剣なんだ。魔剣なんだがね。」
リサ:
「魔剣なの?私のは普通の剣よ。」
船長ジン:
「ははっ。魔剣って言っているだけで、普通の剣じゃよ。でもこれが無いと入れない港があるんじゃ。民の証としての重要な剣なんじゃ。」
リサ:
「来たわ・・・。大きい・・・。」
リサは鞘に収まった剣に手をかけ、心眼で魔獣の気配を感じ取った。
心眼とは、ラエルとの戦いで垣間見れた魔力の流れを感じる技の一つで、その後、ラオルと訓練し、身に着けた物だった。
船長ジン:
「ほほ~。心眼とな・・・。その構えは・・・龍神流じゃな。」
リサは目を閉じ、海中の魔獣の動きを正確に感じ取っていた。海面が大きくゆっくりと持ち上がり、中型?いや大型の海洋魔獣が船の左前方に顔を持ち上げた。
その瞬間。
「水平一文字」「居合」
リサは目に見えない速さで剣を抜き、瞬間的に魔力を放出し、プラズマを発生させ、斬撃として魔獣を真っ二つ。剣は既に鞘に収まり、魔力の開放も終了していた。
船長ジン:
「お嬢さん・・・。名前はなんていうのかね?」
リサ:
「リサ・・・リサ・グルジオよ。」
船長ジン:
「グルジオって事は、グルジオ家ダグラスの娘か?」
リサ:
「そうよ、お父様をしっているの?」
船長ジン:
「知っているも何も、龍神流継承者、ダグラス・グルジオを知らない奴はいない。」
「そうか、あの時の赤ん坊、こんなに大きくなったんじゃな。」
リサ:
「??」
船長ジン:
「今から何年まえだったか・・・。ダグラスがわしの船に乗って、リンデに向かう時、小さな赤ん坊を抱えていた事を思い出したよ。あ~そうか、あの時の娘か。」
「それはそうと、倒した海洋魔獣、回収しないとだな。あれは旨いぞ!生でもいけるし、焼いても旨い。どうじゃ、一緒に漁師飯でも食うか。」
大型の海洋魔獣を一撃で討伐した瞬間を、ラエル、ボルクも1等級デッキから見ていた。
ラエル:
「見たかいまの攻撃」
ボルク:
「はい、しっかりと・・・・。」
ラエル:
「剣を抜いた瞬間だけ魔力放出していた。瞬間だけだ。それまでは全く魔力を発動していない。剣を鞘に戻した瞬間に、魔力も消えている。まったく無駄のない攻撃だ・・・。」
ボルク:
「我が一族は、龍神流の伝承者として、父ダグラスから剣を教わっております。がしかし、魔力移動は個人差はあるものの・・・・。」
船長ジン:
「今日の夕飯は楽しみにしておれよ。宴会じゃ。酒も出そう。」
リサ:
「お酒はちょっと・・・。」
船長ジン:
「酒は飲めないのか?」
リサ:
「いえ、まだ、未成年なので・・・。」
船長ジン:
「未成年で、その強さか!さすがダグラスの血を引く娘じゃな!」




