第二章 第101話 船の上って暇なのよね
ラエル:
「簡単に言うとこうなる。今回召集がかかったのは、各国の騎士団団長、副団長と支援魔法士だ。それにその国で最も強い冒険者パーティー1組。
その中には君たちと同じく王級レベルの騎士団と冒険者が多い。とは言え、我々リンデ国は昔から、比較的レベルが低い国だと認識されている。低いと言っても強さを示しているので、人格を否定した話ではない。しかし中には強さが何よりも優先されると言う考えの者も複数存在する。なので、リンデ出身者を見下す言動もしばしばあるのは間違いない。」
リオ:
「僕とラオルは大丈夫ですが、リサは・・・。侮辱されると殴り返すタイプなので・・・。」
ラオル:
「ですね・・・。「私を馬鹿にしたわね!決闘よ!」って言いかねませんね。」
ボルク:
「私が近くに居れば大丈夫ですが、そうでない場合は困りますね。」
ラエル:
「リオ君、問題を起こすと色々立ち回りが大変になる。頼んでいいか?」
リオ:
「出来る限り・・・とさせて頂きます。到着までには言い聞かせますので。」
ラエル:
「では議題内容についてだが、
アルフ国で発見された人族の調査結果についての報告と所持品についての報告それに伴い、各国の王の意見を鑑みて、参加者の意見を述べたうえで、今後の方針が決定する事になる。」
リオ:
「その決定によっては、大海流を超えての調査に部隊を招集すると言う事になるのでしょうか。」
ラエル:
「過去に大海流を超えた先に何があるかを調査する調査団を派遣したが、大海流を超える事すらできなかった。近海に生息する海洋魔獣とは異なり、超大型の海洋魔獣が大海流を守っている。ドラニス最大の船であっても、一撃で粉砕される大きさだ。」
リオ:
「それでは、空から渡れば?」
ラエル:
「上空には龍族、大海流には海洋魔獣。無理だな。それに、人族は飛行能力が無い。魔法で少しなら体を浮かすことが出来るが、大海流を超えるだけの魔力が無い。」
リオとラオルは席を立ち、甲板に出た。何処までも続く水平線の向こうに何があるのか、その先に行く方法はあるのか。そんな事を考えながら、海上1日目が過ぎようとしていた。
翌日の朝、リサは船酔いから解放された。朝早くからスープにパン、サラダを食べ、それでも身体は肉類を欲していた。メイドのミシルが厚く切ったベーコンを焼き、空腹を満たされたリサは、やっと落ち着いた表情になった。
リサ:
「やっぱり肉よね。」
ラオルはリサの小さな声を聞き逃さなかったが、何も言わず船内を見回した。
リオは2等級のデッキで、船員と話をしていた。
リオ:
「この船は帆で風を受けて航海しているのですね。風が無い時はどうするんですか?」
船員1
「3週間の航海だからそういう時もあるよ。その場合は慌てずのんびり過ごすのさ。でも安心してくれ、パング島からドラニス大陸なら、ほぼ風が止まる事は無いよ。3週間って言っているけど、2週間で到着するよ。風と海流が同じ方向を向いているからね。」
リオ:
「そうなんですね。」
船員1:
「帰りはそうはいかなけどな。風はともかく、海流が逆方向だから、1か月以上かかる。要所要所では、船長を含めた8人が交代で風魔法を使うんだよ。それで何とかって感じだ。」
リオは船員に声をかけ、船長とも色々話した。航海術、天候、マイクロバブル。それに海洋魔獣についても詳しく聞いた。船内ではこれと言ってする事が無い。時間を持て余したリオは、船内をうろうろしながら、時間を潰していた。
リサ:
「あ~暇だわ・・・。魔獣でも出ないかしら。」
ラオル:
「リサ、こういう何もすることが無い時間を楽しむのも良いんじゃないかな?」
リサ:
「ん~船の上って暇なのよね~。3週間もこんなじゃ、身体がなまってしまうわ。」




