第二章 第100話 船旅とサロン談話
「‥お願い・・ラオル・・・助けてよ・・・。」
「無理だよ。回復魔法で回復できるのは体力だけだから・・・。」
「なんでラオルは大丈夫なのよ・・。リオも・・・。ずるいわよ・・。」
「リサ、これは船酔いって言うんだ。魔法で何とかなる事じゃないんだよ。それに僕だって近くを見ると気持ちが悪いんだから、できるだけ遠くを見るとか・・・。」
船が港をでて数時間後、リサ、リオは船酔いに苦しんでいた。まだ近海ではある物の、海の大きなうねりに船がゆっくりと上下する。その落差はおおよそ2m。初めての船旅が初めてのリサ、リオには船酔いするのにそれほどの時間は掛からなかった。
「失礼します。メイドのバジアです。リサ様が船酔いが酷いとお伺いしましたので、こちらをどうぞ。」
「これは?」
「船酔いに効くお薬でございます。口の中で少しずつ溶かしてお飲みください。」
「・・何よこれ・・・変な味がするわね・・・。」
「良薬は口に苦し とも言います。ゆっくり口の中で溶かしながら服用ください。少しすれば楽になると思います。」
リオ:
「これは薬なんですか?」
バジア:
「はい。船酔いが酷く嘔吐が続く場合、脱水とミネラルが不足する事により、身体が動かなくなる場合があります。こちらの薬は、コカの葉をすりつぶした物に塩と砂糖を混ぜて固めた物です。コカの成分で神経が和らぎ、不足したミネラルと、糖分を補給できます。」
リオ:
「コカの葉ってあのコカの葉?」
バジア:
「はい、少量であれば、神経が和らぎます。船旅に慣れておられない方には必須のお薬となります。」
リサ:
「なんだか、変な味が無くなって来たわ・・・。」
バジア:
「そのままゆっくり飲み込んでください。お水も少し多めに飲用ください。」
それからしばらくして、リサは眠りについた。リオとラオルは部屋を出て、中央のサロンへ向かった。
サロンでは、ラエル団長とボルク副団長、ソフィアさんが話をしていた。
ラエル:
「どうだ?リサ君は眠ったか?」
リオ:
「はい、ありがとうございます。先ほど眠りにつきました。」
ラエル:
「そうか、あのレッドボア猪突猛進炎の娘リサ君が、船に弱いとは、かわいい所もあるのだな。なリオ君。」
リオ:
「団長、本人が目覚めたらそう言ってやってください。炎を吐きながら突進してきますよ。」
ラエル:
「そうか、それは怖いな、この場だけの冗談としておくことにするよ。」
「それよりリオ君、君たちの総魔力量はどの位になったんだ?」
リオ:
「私が2500位で、リサが2300です。」
ラオル:
「私は2100です。」
ラエル:
「凄まじい数値だな。あの大会から1年と少しで、ここまで大きくなるのか。今リサ君と戦ったら、私は勝てないかもしれないね。」
ボルク:
「我が妹ながら、あの強さは父譲りと言うより母譲りなのかもしれません。」
ラエル:
「母譲りか、それは勝てそうにない。それと、ダンジョンは楽しんだか?」
リオ:
「はい49階層を何度も繰り返し討伐する事で、魔力操作、解放量、魔力総量も向上しました。リサは王級魔法の連続同時攻撃の威力、精度、速度共に数段向上しております。」
ボルク:
「討伐時間は?」
リオ:
「3人で5体のケンタウルスアックスの場合、2時間弱です。」
ラエル:
「2時間弱・・・か。驚異的だな。」
リオ:
「リサが言っていましたが、ラエル団長とボルク副団長が居れば、50階層も可能じゃないかって。」
ラエル:
「50階層はやめた方が良い。ケンタウロスソードだからな。それも双剣だ。速さも威力も桁違いって話だ。」
ボルク:
「魔法防御と魔法攻撃も放つらしい。」
ラオル:
「他の国のダンジョンも同じ魔獣なのですか?」
ボルク:
「10階層毎のボス部屋はほぼ同じらしい。その他の中間階層は異なるって話だ。」
メイドのロアン、ミシルがバジアの指示によって、食べ物と飲み物をお出しし、リオ、ラオルはソファーに腰を下ろした。話しの内容は帝都の緊急会議の話題に移り変わり、これから起こるであろう出来事の方向性を検討していた。




