母の言葉
夜の静けさの中で、胸の奥に残る声がある。
それは、幼い日の自分に向けられた母の言葉。
「大丈夫、安心していて」
その一言は、不思議と世界を変えてくれる。
不安で震えていた心が、ふっと力を抜き、
小さな手が安心の場所に戻っていく。
時は流れ、大人になっても、
その声は消えずに、心の奥で灯り続けている。
疲れた夜、孤独を感じる朝、
その声がふと蘇るたびに思う。
――私は守られていたのだ。
――私は安心していいのだ。
母の声はもう聞こえないかもしれない。
けれど、その言葉は、自分の中で繰り返せる。
「大丈夫、安心していて」
今は、自分自身に。
そして、いつか誰かに伝えられるように。