なろうファイターの俺、なろうパワーを使ってランキング最強〜ランキング最強なろうランカーになる!〜
「なろろろろろろろろぉ!」
なろうファイターを見分けるのは、実は簡単である。笑い声が変だからである。
しかし、なろうファイターと一般人を見分けるのは簡単である一方、より深く分類しようとすると、その難易度は一気に高まるのだ。
しかし、今回はその知の深淵たるなろう分類学には触れないでおこう。賢明たる読者諸君はその理由も、すでにおわかりだろう。
わからない読者は、物語強制停止でも、すればいい。
「なろろろぁ!ランキング更新確認ぇ!」
なろうファイターの1日は、日間ランキングの確認から始まる。このランキングこそが、なろうファイターの生命線といっても過言ではないからだ。
このファイターは、しばらくランキングを確認し、そして今日の予定を決めたらしい。
「転生………はいふぁんたじぃ!」
自宅の扉を開くなろうファイターの顔つきは、ファイターに恥じぬ戦士の顔つきであった。
「カクヨ!ヒャッハー!なろうファイターの雑魚がいるぜ!」
自身の日間ランキングが46位のファイターにとって、きょうの獲物──目の上のたんこぶたるランキング42位は、なんとなろうとカクヨ◯の二刀流戦士だったらしい。
だが、それがどうしたことか。宮本武蔵でないと、二刀流は使いこなせないということは周知の事実である。
ゆえに、ファイターは。
「ザマァ!!!!」
格下のみに許された下剋上なろうスキルを駆使して、とてつもない一撃を与えた。
「カクヨ!あまいムねえ!なーろっろっろっぱ!」
しかしなんたることか。
さすがのランキング42位である。容赦なく、もう1人の自分(カク◯ムアカウント)を犠牲に、不意討ちでしか効果を発揮できないなろうスキルを無効化してしまったのである。
「こちらの反撃なろよむねえ!」
召喚されたのは天使様(いちゃあま隣のクラス)。その化身は、あまりにも安定感に満ちている。
「なーろっかくよ!これで、貴様ごとき、友達いないから友人同士の会話を書けない雑魚ランカーには…………ま、まて、貴様そ、その軍勢はどういうことで…………なろろろろろろろーーーー!?」
安定感がどうしたことか。なろうファイターの心はおれない。一切完結することのなかった1話目にヒロイン情報を全て書いたハーレム小説の力は無敵なのだ。
「創作論をSNSでつぶやくなろろろろ……!!!!」
なろうファイター、勝利の雄叫びである。
こうして、なろうファイターの一日は始まるのである。
次回──超転生なろうファイターあらわる!