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 私はいい子なんかじゃない。

 いい子になんかならない。

 二十代の頃、いい子だった私を思い出し未だに馬鹿らしくて可愛くて抱きしめたくなる。

 今と言えば、相変わらずいい加減でわがままで自分や自分の周りの人の幸せを最優先に考えるようなどうしようもない人間だ。

 所謂、クソな人間である。忘れていたが、ADHDでもある。

 息子のタイセイが学校から帰ってくる。

 私にも好きな人ができて、その人の間に産みたくて産みたくて産まれた大切な子。

 浮かない顔をして、背負っているランドセルには白い粉のようなものが付着していた。

何かあったなとすぐに思う。

「どうした?」

 声をかけるが、彼は答えず自分の部屋に入っていった。

 流石私の息子。血は争えない。しっかりと私のDNAを受け継いでいる。素敵な自慢の子。

「入るよ」

 部屋に入ると彼は身体を振るわせて泣いていて、それを観られないように涙を必死で拭いている。

 これも誰かがやっていて観た光景だな。昔のことの様でもう忘れてしまったけど。

「タイセイ。頑張らなくていいんだよ。いい子にならなくていい。どんな君でも、完璧で素敵で愛おしい。勿論、どんな君でも私は大好きなんだよ」

 当たり前だけど、当たり前を口にすることは中々難しい。伝えるのはもっと難しい。わかっていても、私は拙い言葉で彼にストレートに自分の気持ちを言葉にする。

「クラスメイトにいじめられる弱い僕でも?」

 君とはどこかで出会ったことがある。その訴えるような眼を見る度にそう感じるのはなぜだろう。

「いじめられたの? それは辛いね。お母さん、その辛さわかるよ。私もそうだったから」

 この彼の痛みをわかるため、今まで心も身体も引き裂かれるような辛い思いをしてきたのだと今わかった。彼を救うためだ。救うため、彼を全力で守るために私はここにいる。

「僕、どうすればいいかな」

 そんなの決まっている。

「君は君のままでいい」

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