プロローグ①
わたしの名は月詠 三言 年齢は35歳、女性だ。
これまで魔王退治業を20年、魔法剣士として活躍してきた。
現在「KAMASEYA!」という企業の面接を受けているのだが、
空腹で今にもたおれそうだ。
なぜなら前の会社をクビになってから
100社以上おち、貯金も底をつきそうだからだ。
不採用の理由は大体わかっている「年齢」と「短期離職」だ。
魔王退治業は体力勝負、なるべく若い人材を採用する傾向がある。
さらに短期離職を繰り返しているので、性格やコミュニケーションに
問題があるとでも思っているのかバカやろう!
わたしほどの人材がどこにいる!
そう思ったが現実はきびしい…。
そんなとき、色白でおっとり系美人の面接官が口を開いた。
「それでは面接を始めます。質問にお答えください」
よし、なんでもこい! すべて答えてやる!
「あなたは4人組のパーティーです。目の前に見知らぬモンスターが現れました。
さぁ、どうします?」
な、なんだそれは!? 志望動機から入るんじゃないのか!?
まぁ、いい、思ったままに答えてやる!
「『お前らは下がっていろ!』と、まっさきに前にでる!」
「そのモンスターになんて声を?」
「『貴様は魔王のかませ犬にすぎん! 1秒で終わらせてやる!』 とな!」
「攻撃してください」
「『ふふふ、これは魔王にとっておいた技だが仕方がない! くらえ! 天上転生六日月ノ断ィィィ!』」
「いつから働けますか?」
「今日からでも!」
「では明日から勤務いただいても宜しいでしょうか? 派遣先はこちらになります」
ん? は、派遣?
「求人票には「正社員」と記載されていたが?」
「その件につきましては、私からご説明いたします」
そう言いながら、奥の扉から入ってきたのは、白いオカメインコだった……
オオオ、オカ、オカ、オカメインコ―ぉぉぉ!?