第5話 太ってましたっ!
(ほ、本当ですか!? お、お願いします!)
「えっと、じゃあ……とりあえず貴方の身体の状態を調べさせてもらうわね」
少しだけ自信がなさげな様子で女神様は私の身体のそばに寄ってきた。
(し、調べるって……? 何をするんですか?)
「もちろん、『女神の力』で調べるの。」
『女神の力』という言葉を聞いて私の興奮はさらに高まった。
きっと女神様の清らかで神聖な魔法の力のようなもので私の全てを見抜いてしまうのだろう。
女神様は私の片足に右手で触れて、自身の左手を宙にかざした。
「じゃあ、失礼するわね。”カンニング!”」
女神様がそう述べると、かざした左手の前に板が現れた。
板は女神様の左手は直接触れておらず、空中に浮いている。
(す、凄い! 何もないところから板が現れました! しかも宙に浮いてる! これが女神様の魔法ってやつなんですね!)
「これは魔法じゃなくて正確には『スキル』なんだけどね~。じゃあまずは身長と体重が――っえぇ!?」
女神様は板を見た瞬間に驚愕の表情を浮かべると、私の身体を再度見上げてきた。
一体どんな情報がその板に記載されているのか、非常に気になる。
(わ、私……そんなに太ってました?)
「太ってはないと思うんだけど……ちょーっと大きなお城くらいの体重があるわ。ごめんなさい、少し驚いてしまって」
女神様は私に気を遣いつつ微笑んでみせた。
思えば、私は日ごろやることもないので事あるごとに石を拾い上げては口に運んでいた。
毎日食べてばかりだったので気がつかないうちにかなりのおデブになってしまったのだろう。
(お、お恥ずかしい限りです……)
私は顔から火が出そうだった。
そんな私の心の声を聞くと、女神様は今度は”ステータス!”と声に出して自分の正面にもう一枚の新たな板を出現させた。
「私だけが貴方の情報を知るのもズルいわね。興味がないかもしれないけど、代わりに私のステータスを貴方に見せておくわね」
何やら新しく出した方の板に少し触れると、女神様はそれを私の顔の前で浮かせた。
「スクロールは手で触れないで、視線の動きでもできるから、私のステータスは自由に見て良いわよ」
女神様は引き続き、空中に浮いた板を指で上に弾くようにして私のステータスを興味深そうに見つめている。
私もせっかくなので女神様のステータスというものを恐れ多くも見させてもらう。
こんな美人さんの体重やスリーサイズまで知っちゃって良いのかしら、むふふ。
なんて下心満点で鼻息を荒くしていたらスリーサイズはありませんでした。