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第4話 やっぱり女神様でしたっ!

 

(私が怖くないの? や、やっぱり本当に女神様……なの?)


 私は思わず、彼女に心の中で問いかけてしまっていた。

 本当は早く彼女を安全な所に避難させなければならないのに。


 そんな惚けてしまった私の前で、彼女はお腹を抱えて笑い出した。


「ようやく言葉を返してくれたと思ったら、『女神様』だなんて! ひょっとしなくても私の事を言っているのよね?」


 笑いすぎて彼女の瞳には涙が溜まっている。

 私はそんな彼女の言動に興奮して再び頭の中で問いかけてみた。


(わ、私の考えを読む事ができるの!?)


「いいえ、貴方の考えを読む事は出来ないわ。貴方が私に心の中で話しかけてくれたことは分かるのよ。ふふふ……それにしても『女神様』ね……」


 彼女はニタリと意地の悪そうな笑みを浮かべた。


「その通り! 私は実は女神なのよ。良い行いをしてきた貴方の願いを叶えるためにここに来ました」


(本当に女神様だ! 私の願いを叶えてくれるのっ!?)


 私は興奮冷めやらぬままに彼女に期待の眼差しを向ける。

 良いことなんて別に何もしていない気がするけれど、「じゃあ、やっぱり無し」なんて言われてしまうかもしれないので黙っておいた。

 そんな浅ましい思いをしてでも私には叶えて頂きたい願いがあったからだ。


(じゃあお願いします、女神様! 私を『人間』にしてくださいっ!)


「え……? 人間に?」


 私の願いを聞くと何やら女神様は考え込み出し、そして少し焦ったように口を開いた。


「あ、貴方はそのままで十分素敵よ! 変わる必要はないと思うんだけど……?」


 頬から一筋の雫を垂らしながら女神様は私の容姿を褒めてくれた。


(ありがとうございます、女神様。でも私の真っ黒な石の身体は皆を怖がらせてしまうのです)


「私は貴方の立派な石の身体が好きよ! 他の願いでも良いんじゃないかしら!?」


(そうですよね……すみません。流石に女神様でもこんな石の塊を人間にするなんてことは――)


「で、出来ますけどっ!? 何てったって女神ですから!?」


 女神様は先ほど以上に頬から雫を伝わせながら得意げな表情で豊満な胸を張ってみせた。


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