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イルナの心情(3)

ご閲覧ありがとうございます。


本編とは関係ない事もありませんが興味のない方は飛ばしてください。

矛盾点の埋め合わせとしても、ヒロインたちに語ってもらったりしていますが、主人公目線だけで楽しみたい方は見る必要はないと思われます。



▽は時間が経過する時に使用します。会話を重視するので多用すると思います。



今日、重要書類と書かれた一報が私の元に届いた。


内容は、中王都市から私の都市の近くで、戦争がある知らせだ。安全地帯であるはずのフォータウツイーツノの近くで・・・。


幸い、兵を派遣せよ。という、一文は無く。新型戦略魔器(まき)、『魔砲(まほう)サホン』導入が書かれていた。


以前に中王都市に居た時に、開発段階だったあれか。筒に巨大な鉄の塊を入れて、魔力を注ぐと打ち出されるというものだったはず。

量産の目途がついたならば、負けるはずはない。恐らく、試験運用も視野に入れているから兵の派遣命令がないのだろう。


「えーっと、相手国は・・・戦争好きな『サンの国』のしかも都市カベィサクか・・・喧嘩を売る相手を間違えたわね」


私が書類に目を向けながら呟いていると、都市核の魔族感知機能が私に魔族が現れた事を知らせてきた。


私はドレスアーマーを着て、姉さんと小規模の兵士を連れ、都市核の知らせた場所に向かう。日のあるうちの魔族なんか、これだけいれば十分よ。


むしろ、私だけでも倒せちゃうんじゃないかしら?戦ったことは無いけど・・・。

書物での知識だけど、かつての戦いの記録に居た27Lvの魔族を中王都市の3階級騎士隊が倒したとされている。

私の魔力適性値で言えば、2階級騎士隊以上の戦力があるし。問題ないだろう。さすがに、無傷とはいかないでしょうけど。





現場の近くまでたどり着くと、そこにはコウサカが明後日の方向を見て立っていた。

―まさか、コウサカが襲われたの!?


私と騎士たちよりも早く、姉さんがコウサカの元に駆ける。さすがは姉さん、たぶん私がスキルを使って走るよりも、ステータスの差で姉さんの方が早いだろう。


「コウサカ!大丈夫かい!?」

「今度は本物のようですね」


いち早くたどり着いた姉さんの声にコウサカは微笑みながら答える。


「何のことだい?いや、それ(より)大丈夫なの!?コウサカ!!」」


追いついた私は姉さんの言葉を遮りながら、コウサカに飛びつく。

ああ、やはりコウサカの体は例え様のない心地よさを感じる。


昨日の事もあるし、正直、恥ずかしい・・・けど。今はコウサカが大事。


触った感じだと、怪我や血が出たりはしてないみたい。


「脱がせてもいい?」

「ダメですよ」


服をめくり上げるも、腕を掴まれて防がれてしまう。やはり、コウサカは筋力ステータスが高いみたいだ。


さらに、あちらこちらと触ったり、服を脱がせようと私は頑張るが、コウサカは姉さんと話しながら余裕な表情で防がれてしまう。


奮闘する最中、コウサカの呟きが少し私に入ってきた。


「ステータスに・・・(月光回復)ってあったな」

「魔族のステータスを見れたの!?」


小さなつぶやきで少ししか聞き取れなかったけど。間違いなくステータスというのは聞き取れた。


「Lvは!」

「60でしたね」

「・・・」


60・・・!?書物で呼んだ魔族よりも、倍以上のLvがある。魔族はLvとステータス概念が私たち人種と違い、Lv1でもステータスがかなり変わってくると書いてあった。


「どうかしました?」

「勝てないわ・・・」


コウサカ以外の全員が絶望に顔を暗くしていた。

都市の人々総出で何とかならないかしら・・・。

私はコウサカから離れて、策を幾重にも模索する。


勝てなければ、死ぬかもしれない・・・。いや、死ぬどころではない。この都市が消滅する可能性がある。


中王都市に応援を要請する?今ならまだ近くで戦争している兵を向けてもらえるかもしれない・・・!

でも、戦争が終わってすぐに・・・60Lvの魔族と戦う・・・?


どれだけ中王都市に魔石を献上すれば・・・いや、この間の100万魔石(セキ)がある・・・出所はあやしいけど、間違いなく魔石は魔石だ・・・。でも、中王都市の上位貴族たちの印象がさらに悪くなる・・・。それでは、母さんを死に追いやった奴らにたどり着くのに遅く・・・でも死ぬよりは・・・。


そんな巡る思考の最中、()()()の大声が私の耳に届く。


「簡単に(撃た)コウサカ」」

「兵長?」


急に大声を上げてどうしたのだろう。


「いえ」

「・・・?そう?コウサカは?何か言いかけなかった?」

「あーいえ、なんでも」


口が開いたままになっているコウサカに聞いてみたけど、なんでもないらしい。


今はとにかく魔族だ。何とかしないと・・・。


「イルナ様、魔族はもういないようですし。昨日の書類のチェックをされたほうがよろしいのでは?コウサカの事情聴取は、私がしておきます」


そうだった、重要書類の確認で忘れてたけど、酔いながら確認した昨日の書類が・・・しかも、今日の分もあるし・・・。


「うっ、そうね。じゃぁ任せるわ。みんなも撤収するわよ」

「ハッ」

「兵長の報告は、明日でいいわ」

「了解いたしました。イルナ様」


はー・・・書類の再確認に、魔族、大変だわ・・・。





幸い、昨日の書類に不備はなく。今日の分の書類もなんとかなりそうだ。


できれば、明日のコウサカの出発を公表して、総出で出発を祝うところだけど、魔族の所為でそれどころではない。


いや、でも考えようによっては、都市核の効果外なら法が適応されないから、出発をみんなで見送るなんて、させない方がいいか・・・。


魔族襲来の可能性を都市の民に伝えて、それに意識を向けてもらおう。


はー・・・領主って大変だわ・・・。


今日の分の書類チェックと、魔族襲来の可能性を伝達した貰うよう手配して、魔族に備えた作戦書を私のできる限りで作る。


今日は眠れそうにないわね。いや、しばらくか。





もう朝か、鳥の囀る声と共に、私は机から身を起こす。眠れそうにないと覚悟しながら寝落ちたようだ。


それでも、これだけの作戦書を立案したのだ。少しくらいの仮眠は許されるでしょう。


「そうだ、コウサカの出発を見送らないと!」


私は飛び起きて、舞踏会用のドレスに、ドレスアーマーの装備装着しコウサカの元へと向かった。





「行ってしまうのね。コウサカ」


西門で、コウサカの出立を私と姉さんで見送る。

謎の魔紙の書類通り魔車がコウサカに届いていたようだ。

もしかしたら、姉さんが引き留めてくれるかも。と、期待していなかったと言えば嘘になる。


「ごめんなさい。皆で見送りたいけど、魔族が来るかもしれないから・・・」

「いえ、いいんです」

・・・(最後にしたかったわ)


私の呟きに、コウサカは苦い顔で笑っていた。

最後に私は両手を広げる。私から抱き着いたことはあれど、コウサカから抱いてもらったのは、彼が酔っていた時だけだ。


コウサカは私を抱き寄せる。ああ、この匂い私の心に刻み付けるわ。

本当に、最後の最後、私はコウサカの頬にキスをする。


口にするつもりだったけど、正直私はまだ一昨日の事が残っており、その勇気はない。頬にでも頑張った方だ。


「コウサカ、忘れないでくれるとうれしい」

「もう、会えなくなるわけでは・・・」

「・・・そうだな」


姉さんがいつもの姉さんと思えないほど、気を落としてるように思える。何かあったのか・・・。いや、単純にコウサカとの別れがつらいのだろう。


「では、また・・・」

「「また」ねー」


そういって、コウサカを見送った。


都市内は、昨日の魔族の知らせで大騒ぎをしていて、こちらに注意を向けるどころではないようだ。


逃げようと荷物をまとめる者。戦うための準備をする者。炊き出しのための施設準備・・・。


皆、私に力が足りなくてごめんなさい・・・。



ご閲覧ありがとうございました。


ステータスの高い主人公でも、完全に何でもできるわけではないですし、設定に関してしゃべってもらったりもできるのでヒロイン心情系は結構投稿すると思います。

急ごしらえで、また誤字が多発していました・・・申し訳ない。


次回の投稿は1週間後に。

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