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悪友なんか持たない方は良かった・・・

ご閲覧ありがとうございます。


初投稿になります。会話多めにやっていくつもりですので苦手な方はご了承ください。


今回から20分ほどお付き合いいただけると幸いです。


▽は時間が経過する時に使用します。会話を重視するので多用すると思います。



(初心に帰るという言葉を聞き、1話目を見たらしょっぱな誤字ってたのでさらっと訂正しておきました。)



 広い草原、見渡す限りの大自然に、俺は置き去りにされている。


 空は青く雲も(まば)らで、いい天気であると誰もが言うだろう。


 しかし、その空には、さきほどいた「地球」では無いと証明するかのように、大きな太陽が存在していた。

 大きいと言っても倍ほどの大きさだ。距離感や元の大きさは分からないが、あんな太陽だったらこの星は生命活動できないほどの気温になって、一面砂漠だっただろう。


 しかし、熱すぎず、ポカポカと温かい。


 手を広げ、肘を伸ばし、目を閉じ、少し顔を上げ、空を仰ぐ。


 風が穏やかで、心を優しく撫でるかのようだ。


 ―気持ちいい・・・


 だが、俺は自然を感じていたその手を握り締め。力いっぱい叫ぶ。


 「どこ行ったあの野郎ォ!!!!!」



 ▽



 時は登校時間前に(さかのぼ)る。


 「行ってきます」


 家の中へ告げて、玄関のドアを閉める。「待ってよー!」という声がドア越しに聞こえた気がするが、聞こえなかった事にしよう。


 登校前の閑散とした街並みで、道のド真ん中を誰の邪魔もされずに闊歩する。この街を独り占めしているかのような、この時間が好きなのだ。妹に邪魔されたくはない。

 勘違いして欲しくないがボッチが好きというわけではない。


 目を閉じ、顎を少し上げ空を仰ぎ。空気を吸い込む。


 「スー・・・」


 街の空気を肺いっぱいにする。

 科学の更なる発展により、排気ガスなどで控えめにもいい空気であるとは言えないが、街と一体になれるような、この朝の日課が大好きである。


 「ハー・・・」


 肺を満たした空気を吐き出し、街に戻す。


 「スー・・・」


 もう一度試みるが、いつの間にか現れた男から聞き知った声で、謎の問いを投げかけられる。


 「ただただ、死を待つだけの人生と、面白可笑しく奇々怪々で波乱万丈楽しい事がたーーーくさんな人生、どちらがいいと思う」


 週に何度かは、俺のこの日課を邪魔する問いかけが、挨拶もなしに投げかけられる。いや、投げつけられる。妹を置いて行った意味がない。


 「はー・・・」

 「どうした?我がマイベストフレ~~~ンド高坂よっ」


 吸った空気を吐き出しながらため息をつく。

 最初の内は驚かされて咳き込んだりもしていたが、さすがに慣れすぎて「またか」といった感じだ。あと、我がとマイで2度言ってるぞ。と、心の中でツッコンでおく。


 「ふむ、この問いはお気に召さぬか」

 「いや、そうじゃない。何故いつも唐突に現れる?というか、お前制服は?」


 問いかけの良し悪しじゃない。

 登校前に制服を着ていない。この男『桜野(おうの)』は、幼少期からの悪友であり。奇人だ。

 あまり好いてないようにうける紹介だろうが、嫌いな奴ではない。面白い奴では・・・あるんだけど。


 「おはようだ。些細なことは気にしても仕方あるまい」

 「お、おはよう・・・」


 今更ながらに挨拶をされた。登校前に制服を着ていないことは些細だろうか?と思いつつ挨拶を返す。


 「質問に質問で返すのは良くないぞ~、うん!良くない。そして俺は貴様の問いに答えたのだ。今度は貴様のターンだぞ」


 ニヤリと不敵な笑みで再度問いかけてくる。

 正直、こいつの奇怪な言動を知っている俺としては、テキトーに答えて流しておくのが得策と言えるだろう。


 こいつのやる事なす事、とにかく意味が分からない。夏祭りにクリスマスソングを、放送室を占拠して流すようなヤツなのだ。


 「えっと・・・面白い人生の方がいいだろうな」

 「ふーむ!そうかそうか!面白楽しく奇々怪々で波乱万丈可笑しい事がたっっっくさ~~~んな人生かっ!うんうん!」


 テキトーに棒読みのように答えたのだが、気に入られてしまったらしい。

 さっきと若干違うが声に出してツッコンだら負けだ。以前『能ある鷹は爪を隠す』を『鷹ある爪は脳を隠す』と言ってそれにツッコンでしまい。

 嬉々(きき)として、いろいろな話を振ってきてホクホクとした顔をしていた。なので、さきほどと同じく心の中でだけでツッコンで置く。


 「さてそろそろか、また後でな」

 「え?」


 その言葉を聞いて振り返るもそこに桜野(おうの)の姿はなかった。

 きっと制服を取りに戻ったのだろう。いつも大体、校門の見える曲がり角に差し掛かるまえに消える。

 そしていつもは制服を着ているのだが、今更ヤツの奇怪な行動を気にしても疲れるだけだ。



 ▽



 いつもの様に授業を受け、いつもの様に授業が終わる。


 とくに変わったことは・・・なくはないが、桜野(おうの)が何故か遅刻したくらいか。

 言い訳に「横断歩道を渡ろうとしたおじいさんを助けたり、妊婦さんを助けたりしてー」とか本当か嘘か分からない事を言っていた。


 何があったのか詳しく聞こうとも思ったが、それをするとすごく長くなり、コイツのホクホク顔を見ることになるだろう。

 こちらから話を振ることは、極力しないのがこいつとの付き合い方だ。面白い奴ではあるが、体力や精神力が持たない。


 帰宅しようと立ち上がると、桜野(おうの)が話しかけてきた。


 「今日こそは、我が諜報活動係部(仮)に来てくれるんだろうな!」

 「お前しかいないのに行っても意味ないだろ」


 以前一度だけ部室(ぶしつ)に訪れてみたのだが、うす暗い部屋(へや)で、長机に椅子が何脚かあっただけで、桜野(おうの)以外は居らず。次の学園祭で何を起こすかという、くだらない議題についての意見を求められただけだった。

 もちろん、先生方に漏洩(ろうえい)した。


 「貴様は、まだ信頼を得ていないだけだ。信頼されれば感じられるようになる」

 「う、うん。また今度な」


 顔が近いよ。気持ち悪い。

 というか、現れはしないのか。心の中の部員とか・・・言わないでくれよ。


 「ふーむ、そうか・・・今日はUFO(ユーフォー)の発着場が発見されたという情報をつかんだので―」

 「悪い!また今度な!」


 長くなりそうだったので、ぶった切って帰えることにする。



 ▽



 そして帰り道、また現れるこの男。


 「ッフ・・・」


 腕を組んで壁に寄りかかりながら、不敵な笑みの桜野(おうの)が、今朝消えた場所に、今朝と同じ服装で立っている。


 「待っていたぞ」


 服はいつ着替えたの?とか、なんで先回りしてるの?とかは、聞いてやらない。

 すでに表れた時の「ッフ・・・」の顔に、俺の精神力がごっそり持っていかれたからだ。


 「気にするな。さてこれからだが、まぁ歩きながら話そう」


 気にしてないし、先読みして発言するな。さきほど断ったにもかかわらずUFO(ユーフォー)の発着場とやらに連れて行く気か。


 「いや、UFO(ユーフォー)は一人で行ってくれよ」

 「それも、まぁ重要な事ではあるが、お前の方が重要だ」


 なにそれ、俺にはそっちの趣味は無いぞ・・・

 お前にもない・・・よな?

 帰路ではあるから、()れそうになったら走って逃げよう。


 歩き始めて沈黙が続き、その沈黙を破って桜野(おうの)がしゃべりだした。


 「―高坂、神になったとして、友人が窮地(きゅうち)に立たされていたら、お前ならどうする」

 「なにそれ、真面目に答えなきゃダメ?」


 馬鹿げた問いに問い返してしまう。


 「そうだ。さ、お前の問いに俺も答えたのだ。貴様も答えてもらおう」

 「あ・・・んーまぁ助けるよな。神になればどんな事だってできるだろうし」


 空を見上げながら、一応真面目に答える。


 「・・・ッフ、そうだな。俺もそうしようと思う」


 ―?


 まるで、これから助けると言わんばかりの、その真面目な声の桜野(おうの)に目をやる。

 俺の視線に気が付き、桜野(おうの)が目をまっすぐ合わせて、言葉を続ける。


 「高坂、俺は神となったのだ。まぁ、正確にはこの世界の、ではないがな」

 「は?」


 さすがに、正気を(うたが)わずに居られず、言葉に立ち止まってしまう。

 桜野(おうの)はそのまま目を切り、数歩前を歩く。


 「ふーむ、信じていないな?では、証拠を見せるか」

 「証拠?あー・・・海でも割るのか?」


 俺より数歩先を行った桜野(おうの)も立ち止まって、腕を組んでこちらに振り返った。


 今日の授業でちょうど出てきた話をもとにして、そう投げかけてみる。そして、やはりこいつには、こちらから話を振ったりしてはいけないと思い知らされることになる。


 「モーゼか、では場所を変えよう、時間がない」

 「え?」


 言葉と共に腕をつかまれ、景色が一変する。


 そこは海、何処(どこ)のかは分からないが、見渡す限り島などは一切なく、海だ。

 さきほどまで普通に家が立ち並ぶ道並(みちな)みに居たはずだが、俺と桜野(おうの)が海の上に立っていた。いや、浮いてた。海と靴底が10cmほど離れた場所をだ。


 「では、割るぞ。あまり被害を出す訳にも行かないが、間接的だからと言い張るとしよう。まぁ証拠を見せる為だ。仕方あるまい」

 「え?」


 何処からか取り出した木の枝を右手で振り上げて、軽く振り下ろした。


 ―ッザン


 無駄に3カメラにもなりそうなほどに簡単に、海が俺達2人が入れるくらいに割れる。海底は深すぎて見えない。


 ―ズザー


 何事もなかったように、音を立てて戻っていく。


 盛大に津波が立って、俺たちに襲い掛かる。今度は枝を横に振ると、光の半透明の膜が俺たちを包んで、海水に濡れる事はなかった。

 光の膜が消えた時には、割れた両方の海へ大きな津波が立っていたが、そんな事はお構いなしに桜野(おうの)の言葉が飛んでくる。


 「信じたな?」

 「え?」


 状況についていけない。さきほどから「え?」しか言葉が出せずにいる。


 「では、()()()もない。今日はこの辺で、だ」

 「え?」


 そして広い草原、見渡す限りの大自然に、俺は置き去りにされていた。


ご閲覧ありがとうございました。

本当に、ただただ始まりなので、次回から少しずつ楽しんでいただけるように頑張りたいと思います。


主人公はよくギャルゲに出てくる、前髪長くて目が隠れてる感じのそんな感じにご想像ください。

桜野おうのはディーでシーなところの、神出鬼没なあの男をイメージしております。いろいろな作品からパk・・・リスペk・・・参考にしているかもしれません。


高坂「何故いつも唐突に現れる?」という問いかけをしていますが、それに答える事は現時点でできないため、桜野おうのは完全に無視しています。

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