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第1章ー8「奴隷少年キョウ」

「じゃあ、今日は俺が行ってくるから、ラファのこと宜しく頼むな」

「ああ。私がしっかり面倒見るぜ」

「…本当に大丈夫…?」

「大丈夫だよ。というか、ラファは少なくとも私の前では普通だからさ」

「い、いや…昨日の風呂を見てお前はなんとも思わなかったのかよ…?」

「あれはあいつなりのスキンシップだろ」

「あれをスキンシップで片づけるお前って…」

 卓生はサーニャの発言に呆れるしかなかった。

「まぁ、とにかく行ってくるよ…」

「おう。じゃあな」

「ああ」

 卓生は挨拶を済ませ、寮から出た。


       ※


「さて…どのクエストを受けるかな…」

 卓生はクエストボードを見ていた。

「よっし、思いきって極上級者行くか」

 卓生はかなり軽い気持ちで決断をした。

「えーっと、超上級者コースは…これとかどうだろう?」

 卓生は1つの張り紙を見つけた。そこには『超絶巨大モンスターを倒せ』と書いてあった。

「よし、こいつを受けるか!」

 卓生はクエストを受注した。


       ※


「…」

 卓生はモンスターを前に唖然としていた。

「いや…これは…」

「ぎええええええええええええええええええええええ!」

「でかすぎるだろおおおおおおおおおおおおお!」

 モンスターは卓生の想像以上に大きかった。どのくらい大きいかというと、現実世界にある施設に例えるならば、東京ドーム5個分ほどであった。身体は石炭のように黒く、頭にはツノのようなものが生えていた。

「こんなクソでかいモンスター倒せるのかよ…」

 卓生は怖気づいたが、次の瞬間

「ん? なんだ…頭が…」

 突然、卓生の頭がなにかに反応したかのように痛み始めた。

「な、なんだ…? モンスターのツノが…近くに見える…」

 突然、卓生の目の前にモンスターのツノがアップした。しかし、それは一瞬で消えてしまった。

「なんだったんだ…今のは…」

 卓生は一瞬のできごとに、戸惑うしかなかった。

「まさか、今のがあのデカブツの弱点とでも言うのか…? だとすると、あのてっぺんにまでたどり着かなくてはいけないのか…」

 卓生はモンスターのツノを見つめた。そして

「上手く行くか分からんが…行くぜ!」

 卓生は意を決っして、モンスターの元へ行った。まずは地面と接触しているしっぽに乗り、そのままモンスターの背中に向かって走り出した。

「熱っ! 熱っ! なんだよこいつ、身体熱すぎじゃねぇの!?」

 モンスターの身体はかなり熱く、卓生はあまりの熱さに叫んでいた。しかし、彼はそれでも足を止めることはなかった。

「俺は絶対にこいつを倒してやる!」

 卓生は背中を早足で通り過ぎ、首にまで行った。

「よっしゃ! もうすぐでツノだ!」

 卓生は首を走りまくり、そして…

「よし、頭についた!」

 卓生は目標にまでたどり着いた。

「こいつを喰らえ! デカブツ!」

 卓生は拳を構え、モンスターのツノに突っ込んで行った。

「はあああああああああああああああああ!」

「ぎゃああああああああああああああああああああ!」

 モンスターはツノを攻撃され、苦しんだ。しかし、ツノはまだ折れていない。

「もっと…もっと力を…! はああああああああああああああああ!」

 卓生は力を蓄え、それを自分の拳に流し込んだ。

「くたばれ! デカブツ!」

 卓生が力をどんどんつけたことで、ツノは曲がり始めた。

「ぎゃあああああああああああああああああああああ」

「まだまだああああああああああああああああああああ!」

 卓生は更に力を蓄えた。そして、とうとうモンスターのツノは折れた。

「ぎゃあああああああああああああああああああああ」

「やったぜ! モンスターを倒したぞ!」

 やはりモンスターの弱点はツノだったようで、ツノを攻撃されたモンスターは崩れ落ちるかのように倒れた。

▼タクオは1000ポイント獲得した

▼タクオは20000G獲得した。

▼ツノボーナスで50000G獲得した。


       ※


「おっ、2800ポイントも溜まってるぜ! これ頑張れば5000ポイントまで行けるな!」

 卓生はパーティウォッチを見ながら、わくわくしていた。

「まぁ、超上級で割と体力使っちまったから、街を歩くか。金も割と溜まったし、使えそうなものとか買っとくか」

 卓生は市場に向かった。

「格闘スキルがあるとはいえ、他のスキルが低いままだからな…強い武器を買い、なんとかステータスを上げなければ…」

 卓生、サーニャは能力祭に出るためクエストに挑み続けている。その中、サーニャはスキルのステータスを上げており、今の彼女のステータスは


剣スキルLV50

防御スキルLV30

格闘スキルLV20

魔法スキルLV60

生産スキルLV10


 となっている。しかし、卓生のスキルは


剣スキルLV1

防御スキルLV1

格闘スキルLV100

魔法スキルLV1

生産スキルLV1


 と全くと言っていいほど成長していない。卓生はそのことで悩んでいたのだ。彼は強力な武器が売ってそうな店を探していた。その時、彼の眼にある光景が止まった。

「はいはい。見てらっしゃい! 本日はこの桃色の髪をした美しい子供を売っていますよ! 現在20000Gです!」

 桃色の短い髪をした子供が奴隷として売り出されていた。それが卓生の目にとまったのだ。しかし

(はぁ…なんだよこれ。奴隷? こんな光景俺が現実世界でたくさん読んでたラノベに似たようなシーンたくさんあったな…まさかこんな所でお目にかかれるとはな…だが、もうこんな絵面はラノベで腹いっぱいだぜ…)

 卓生は呆れた表情をしながらこの光景を見つめていた。

(取り敢えず、奴隷売っているおっさんの顔がむかつくな…)

 卓生は奴隷商人の中年男性を睨みつけ…

(ぶっとばす!)

 卓生は奴隷を売っている市場に割り込み…

「おらああああああああああああああああああ!」

「な、なんだこいつは!?」

「死ねええええええええええええええええええ!」

「ぎゃあああああああああああああああああああ!」

 卓生は奴隷商人を殴りつけた。卓生に殴れらた奴隷商人は顔の形が歪み、気絶した。

「なんだあいつ…」

「いきなり商人殴ったぞ…」

 周りにいた人は卓生の言動に驚いたり、引いたりなど、様々なリアクションをしていた。

「金なら置いておくぜ。こいつは俺が引き取る」

「え?」

 卓生は20000Gを気絶している奴隷商人の横に置いた。そして、彼は奴隷を引きつれ、その場を去った。


       ※


「さて、最強の武器が売ってそうな店はどこだ…」

 卓生は奴隷商人を盛大に殴り飛ばした後、店を探していた。勿論、桃色の髪の子供も連れていた。

「あ、あの…」

 店を探している途中、子供が卓生に声をかけた。

「ん? どうした?」

「どうして僕を助けたのですか? こんな役にも立たないような…」

「まぁ、ろくでなしに引き取られるよりかはいいと思ってさ。それより、お前の名前はなんだ? 因みに俺の名前は桐井卓生だ」

「僕に名前は…ないです…」

 子供は俯きながら答えた。

「そうか…じゃあ、俺が名前をつけてやろう」

「え?」

「だって、俺が引き取ったんだからな」

「あ、ありがとうございます…」

 子供はお礼を言った。

「そうだな…お前の名前は…」

 卓生は名前を考えていた。その時、彼の脳裏にある光景が浮かんだ。


       ※


『お兄ちゃん!』

『お兄ちゃん! 今日、学校でね!』

『ははは…享子はかわいいな…』


       ※


「…決めた」

 卓生は少し憂いを帯びた表情をしながら決意した。

「お前の名前はキョウコだ!」

 卓生は名前をつけた。しかし

「あの…名前をつけてもらうことは嬉しいんですが…」

「どうした? なにか不満でも?」

「いえ、あの…僕、男なんで…」

「え? 男?」

「はい」

「えええええええええええええええええええええ!?」

 卓生は衝撃の事実に驚いた。

「じゃあ、キョウコじゃなくて、キョウで…」

 卓生はすぐに訂正をした。


       ※


「いらっしゃいませ」

「ここに強い武器はあるか?」

 卓生はようやく強い武器が売ってそうな店を見つけた。そして、彼はキョウと共に店に入った。

「それが…」

「ん?」

 店長は卓生から目を逸らした。

「先ほど、謎の集団に盗まれてしまいまして…」

「謎の集団?」

「はい。謎の集団はシャイセと名乗っていました…」

「シャ、シャイセ…」

 卓生は険しい表情をした。

「やはりあなたもご存じで…?」

「ああ。あいつら、ゴミクズみたいなことばかりしてるからな…心配するな。明日、俺達のパーティは奴らに決闘をしかける。その時になったらあんたの店の武器を取り返す」

「あ、ありがとうございます…」

「ところで店長、その武器はいくらだ?」

「30000Gでございます」

「そうか」

 卓生は店長の目の前に30000Gを置いた。

「た、タクオさんこれは…?」

「前払いだ。俺が奴らから武器を取り返したら、その武器、俺にくれ」

「いや、しかし…」

「俺達は必ず奴らに勝つ。それだけだ」

 卓生はキョウと共に店を後にした。

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