第4章ーepilogue「帰ってきた桐井卓生」
サーニャ達の目の前には卓生が使いこなしていたスピリット・スパーダがあった。
「タクオ...」
サーニャは今にも消え入りそうな声で彼の名前を呟いていた。
「サーニャちゃん...」
「サーニャさん...」
ラファとキョウはそんなサーニャの様子を見て、一緒に悲しんでいた。
「なんで...なんで消える直前にあんなこと言うんだよ。私だって、意地張ってばっかりだったけど、お前のことが」
サーニャは自分が卓生に本当に伝えたかったことが言えなかったという後悔の涙を流していた。その時、サーニャの目の前に突然光が現れた。
「な、なんだ!?」
そして、光の中から人が現れた。
「...タクオ?」
なんと光から出てきた人間は卓生だった。
「タクオ! タクオ!」
サーニャは倒れている卓生を揺すった。
「...ん? サーニャ?」
そして、卓生は目を覚ました。
「おお...本当に異世界に戻ってる」
卓生は辺りを見渡し、改めて自分が元の世界に戻ったことを確認した。
「タクオ...」
「うぉっ...」
サーニャは唐突に卓生を抱きしめ、その様子を見ていたラファとキョウは驚いていた。そして、卓生自身も...
「ど、ど、どうしたんだよ...サーニャ」
「私...ずっと意地張って、気づかない振りしてた。ずっと自分の気持ちに嘘をついていた。タクオに本当に言いたいことがあったのに」
サーニャは涙を浮かべていた。
「だから今から言うよ」
「あ、ああ...」
「タクオ、私もお前のことが好きだ」
サーニャは涙を拭き、卓生に告白した。
「サーニャ...その答えを待っていたよ」
卓生もサーニャのことを抱きしめた。
「「...」」
そして、お互い口づけを交わしていた。その様子を見ていたラファとキョウは目に涙を浮かべていた。
「で、タクオ...どうやって戻って来れたんだ?」
「あー...なんかルシファー様とかという神と会って、そこでルーフと融合したからヴァルキュリアの血が云々だって」
「俺がどうしたって?」
卓生はサーニャに自分が戻って来れた理由を話している途中、ルーフがいつの間にか現れ、話に乱入してきた。
「あ、そうそう。ヴァルキュリア財閥が壊滅したことは知ってるよな」
ルーフは話を続けた。
「で、こいつがどうやら財閥を仕切ることになったらしいぞ」
ルーフは卓生に指を指した。
「「「えー!?」」」
そして、3人は驚愕した。
「で、俺はどうやらお前の武器と一体化することになったらしいんだ」
「は? この剣とルーフが? じゃあ俺はどうやって戦えばいいんだよ」
「それは心配いらん。俺を呼べば、いつでも武器になってやるからよ」
「は、はぁ...」
「じゃあ、お前の武器を俺に貸してくれ」
「はいはい」
卓生は少し呆れながら、スピリット・スパーダをルーフに渡した。すると、剣がルーフの身体に取り込まれた。
「うぉっ...」
「だから言っただろ? 俺と剣は一体化するって」
「あ、ああ...」
卓生は若干引いていた。
「でも待って。私たちダイトウに入学するけど、ルーフ君はまだ入学許可降りてないでしょ?」
ラファはルーフに指摘した。能力祭は色々な騒動があったとはいえ、どうやら皆優勝商品は頂いたらしい。
「それに関しては心配ご無用だ。だってこの国の財閥はタクオが仕切ることになってるんだからな。つまり...分かるな?」
「お前...それでいいのか」
ルーフはどうやら卓生の権力を利用してダイトウ学園に入学するつもりらしい。
「まぁ、明日から僕たち入学式がありますね...準備とかどうしよう」
「入学式だから手ぶらでいいんじゃないか? あ、でも制服か」
「いや...お前の世界の学校と一緒にすんな。ダイトウ学園は制服は入学式当日に魔道書と一緒に配布されるらしいからそこに関しては大丈夫だ」
「そ、そうですか。よかった...」
キョウは不安が無くなったのか、胸を撫で下ろしていた。
「さて、明日に備えて今日は一旦寮に帰るか」
「「「「うん!!!!」」」」
こうして、ルーフを加えて5人になった史上最強の戦士は明日に向かって歩き始めた。
第4章、遂に完結しました!
結構行き詰まったりして投稿ペースが遅くなったりしましたが、自分なりにストーリーを纏めました。
ありがとうございます。本作は某ラノベ大賞に応募しますのでしばらく投稿がストップする可能性があります。申し訳ございません。
次は学園編なのですが、その前に短編集を投稿しようと考えています。




