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第4章ー27「最終イキリ」

「イキリヒューマン...それは、文字通り粋がった異世界転送者、もしくは転生者のことだ」

「は? 誰が粋がってるって!?」

アームはイキリヒューマンという人間についての説明を始めた。

「イキリヒューマンは元の世界にいた時はただネットで粋がってるだけの冴えない人間だ。だが、そいつらはネットで発した都合の良いところが全て能力として反映されているという噂だ...」

「おい、俺を冴えないとか随分失礼なやつだな...」

「だが、イキリヒューマンは我々にとっては邪魔な存在だ。消えてもらう!」

「はっ! てめぇは何を言ってんだ? お前らヴァルキュリア財閥が俺たちを異世界に送り込んだんだろ? つまり俺もそのイキリヒューマンを送り込んだのも、お前らの自業自得じゃねぇか! それに、お前ら財閥は裏からこの街を支配してると聞いた。お前らのようなカスは、俺が許さん!」

その時、卓生の周りに紫色のオーラが現れた。

「サーニャ、ここは俺に任せてくれ。ラファとキョウを連れて逃げるんだ」

「は!? お前何言って...」

「いいから行け! 俺があいつを倒したら...絶対にみんなでダイトウ行こうな!」

「...わかった! 行こう。ラファ、キョウ」

サーニャは覚悟を決め、ラファとキョウの腕を掴んだ。

「ちょっとサーニャちゃん!?」

「卓生さん! 卓生さぁぁぁぁぁぁぁん!」

二人はこの場を離れるのは不本意だったようである。

「おいおいイキリオタク。いいのか? あんな死亡フラグまで吐いて」

ルーフは様子が変わった卓生に対して顔色変えず、飄々とした態度で接していた。

「何そこごちゃごちゃ喋ってる!?」

「!?」

ゼーレは腕に新たな剣を召喚し、卓生とルーフに襲いかかった。

「くらえ! ヴァルキュリア・ソード!」

そして、卓生に剣が刺さりそうになった直後だった。

「あああああああああああああ!」

いつの間にかハヌマーンが復活していた。そして、彼は庇うように卓生の前に立った。

「な、何!?」

「...ヴァイス・アッフェ」

ハヌマーンは衰弱しながらも、最後の力を振り絞りゼーレの首に手をかけ、そのまま絞め始めた。

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ぐぐっ...!」

ゼーレの剣に刺されたハヌマーン、ハヌマーンによって首を絞められているゼーレと互角の戦いになっていた。

「がはっ...」

「ぐはっ...」

そして、ゼーレとハヌマーンはお互い倒れてしまった。

「おい! ハヌマーン!」

卓生は倒れたハヌマーンの元へ駆け出した。

「格闘使い...いや、桐井」

「羽沼...お前、俺のことを!?」

「ああ、やっと思い出したよ。俺は異世界に行って、最愛の彼女を失ってから復讐のことばかり考えていた...俺はお前が羨ましかった。仲間がいて、異世界を満喫しているお前が」

「羽沼! もう喋るな!」

「記憶さえあったら、桐井と喧嘩しないで久しぶりにキャッチボールがしたかったな...」

ハヌマーン...いや、琴太は生き絶えた。

「羽沼...羽沼ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

卓生は琴太の息が止まったことを知った途端、悲痛な叫び声を上げた。

「雑魚が。大人しく俺たちの操り人形になっていればよかったものを...父さんも、もう老いているくせに俺に後を継がせないなんて、馬鹿だな」

アームは倒れた琴太とゼーレのことを嘲笑していた。

「...」

いつもは激昂するはずの卓生だったが、彼は黙ったままアームを睨んだ。彼の目は憎しみに満ちており、光が消えていた。

「...ルーフ、お前に頼みがある」

そして、卓生はルーフに声をかけた。

「お? なんだ?」

「...俺と一つになってくれ」

「は!? なんだよお前、それって...」

ルーフは何故か顔を赤らめた。

「違う。俺とお前が融合するって意味だ...今、俺たちの力を合わせれば、あいつを倒せるかも知れないからな。主を失ったヴァルキュリア財閥ごときは何もできないからな」

そして、卓生は再びアームを見つめた。

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