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第4章ー24「ルーフ・ヴァルキュリア」

「それでは決勝戦を始めましょう...まずはハヌマーンvsサーニャ!」

「あ、おい待て!」

「な、なんだ?」

アームがコングを鳴らそうとした途端、ハヌマーンが待ったをかけた。

「俺が叩き潰したいのはあいつ、桐井卓生だ。他の雑魚どもには興味がない」

「で、ですがこれはルールなんで...」

「安心しろ。あいつが相手じゃちっとばかし勝負の時間が長くなる。面倒だが桐井卓生を倒した後だったらついでに他の連中とも勝負してやってもいいぜ」

ハヌマーンは卓生との勝負を希望していた。

「わ、分かりました...」

「よし、それでいい」

「お前...ルール捻じ曲げた挙句俺の仲間を貶すなんて、どこまで腐って嫌がるんだ」

卓生はハヌマーンの言動に相当な怒りが湧いていた。

「そんなことはどうでもいい。さっさとこの勝負を終わらすぞ」

「てめぇ...お前らは下がってろ。あの馬鹿は俺がぶっ倒してやる」

「わかったよ。ただ卓生、これだけは言わせてくれ。今のお前じゃ奴に勝つことは難しい」

「は? 何故そんなことを言い切れる?」

「お前が感情に飲み込まれているからだ」

「...」

卓生はサーニャの指摘に口を噤んだ。そして、彼は拳を叩き、決勝戦の準備に取り掛かった。

「オルァ! 行くゾォ!」

「ふっ...」

「で、では改めまして決勝戦を始めます...ハヌマーンvs桐井卓生の戦いになります。それでは、バトルスタート!」

そして、勝負開始のゴングが鳴った。

「はぁぁぁぁぁぁ!」

まず最初に卓生はハヌマーンに殴りかかった。

「ふっ...はぁっ!」

「なっ...があっ!」

しかし、ハヌマーンは衝撃波で卓生をぶっ飛ばしてしまった。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

しかし、卓生はめげずにもう一度ハヌマーンに殴りかかった。

「はぁっ!」

「おらぁ!」

ハヌマーンは再び衝撃波を出したが、卓生はそれを拳で打ち消した。

「ほぉ...そこそこやるようだな」

「このままくらえ!」

卓生はその拳のままハヌマーンに殴りかかろうとした。しかし

「ヴァイスアッフェ...」

ハヌマーンは両手で卓生の身体を掴み、そのまま握り潰した。

「がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

卓生はかなりのダメージを受けたが、なんとか辛うじて耐えていた。

「くっ、やはり相応の痛みは感じる...こうなったら」

卓生は鞘に片手を伸ばし、スピリット・スパーダを引き抜いた。

「うぉらぁ!」

「ぐっ...」

卓生は骨が折れる一歩手前のところでハヌマーンを斬りつけた。

「あ、あの剣は...ヴァルキュリア財閥に伝わる剣。何故貴様が持っている? そして、何故使いこなせる...?」

ハヌマーンはスピリット・スパーダの存在を知っていたようである。

(あれはソウル・ヴァルキュリア様の剣...やはりあいつがルーフの臓器を...)

アームは卓生が剣を使える理由を考え、確信に辿り着きかかっていた。

「あの剣はヴァルキュリア家の人間じゃない限り、精神を蝕まれ、人格をソウル・ヴァルキュリアに乗っ取られるはずだ。ヴァルキュリア家に関係ない貴様がどうして使える?」

「そんなの...分かるわけないだろ!」

「分からないだと...? 考えなしにお前はこの武器を使っているのか?」

「そうだ...ぐっ!」

この時、卓生はスピリット・スパーダを落とし、頭を抱えた。

「な、なんだこの痛みは...?」

「タクオ!? どうしたんだ!?」

「もしかして...頭痛かな?」

「タクオさん、いきなりどうしたんでしょうか...?」

サーニャ、ラファ、キョウは様子がおかしくなった卓生の様子を見て心配をし出した。

「...いや、これは俺がヴァルキュリア家の人間だからだ」

「な!? どういうことだ!」

卓生の目は薄い紫色に変わっていた。そして、まるで誰かに身体を乗っ取られたかのように言動がいつもの彼と違っていた。そして、その様子を見てたハヌマーンは少し動揺していた。

「こいつの身体には俺の臓器が入っている」

「臓器だと...!?」

「そうだ。その臓器の主である俺の名前は、ルーフ・ヴァルキュリアだ」

卓生の身体を乗っ取ったルーフは自分の名前を名乗った。

ノベルアップというサイトで新作の執筆を始めました。そのため、こちらの更新頻度が低くなるかも知れません

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