第4章ー7「能力祭SideR 2」
「さあ、君達には次の競技を受けて貰おう。最も、さっきの競技とそんなに変わらないがな」
そう言い、ジ―ルが指を鳴らすと先ほどの銃とは打って変わって大砲が姿を現した。
「今度はこの大砲の弾を防御スキルで防いでみるんだ」
「な、なんだと…!?」
「そんな…さっきの銃弾でもギリギリだったのに…」
「くそっ…」
選手たちは早くも諦めモードだった。しかし
「この競技は確かに難しいかも知れない…でも、私はダンジョンに行って何回も戦って、力もつけた。だから、後は勇気さえあれば大丈夫!」
ラファは自分に言い聞かせるように自信をつけていた。
「それに…勝った後タクオ君に会って、この胸のドキドキを確かめなくちゃ…」
ラファは自分の胸に手を当て、頬も赤くなっていた。
「もしかしたら、このドキドキをタクオ君に話したら分かるかも知れないし…」
そしてラファは胸から手を離し、気持ちを競技に切り替えた。
「それでは、競技を始めよう…! さぁ大砲共よ! 放て!」
ジ―ルが命令をするように叫んだ途端、大砲から次々と弾が飛び出してきた。
「ぐはっ…!」
「がああああああああああああああああああああっ!」
「くっ…」
「あ、あ…うわああああああああああああああああああああああ!」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!」
「ぐわああああああああああああああああああああああ!」
大砲の弾に対して、防御スキルの発動が間に合わずに撃たれてしまった者、スキル発動が間に合い辛うじて防げた者、大砲の弾に恐れをなし逃げ出した者がそれぞれ続出した。そしてラファは
「はああああああああああああああああああ…!」
なんとか弾を防ぐことができたが、苦戦していた。
「これを防がないと…勝てない…」
ラファは1つの弾を防ぐことが精一杯だった。そして、ラファを含む大砲の弾を防げていたのは半分の20名だった。そして、別の20名は案の定、不合格になった。
「ふふふふふふ…俺は格闘部門のおっさんと違って甘くはない…俺は最初からこいつらをじいさんのエネルギー源にするつもりだからな。つまり、この競技で勝たない限りこいつらは必ずじいさんに飲まれる。ま、せいぜいがんばりたまえ」
そして、ジ―ルは再び指を鳴らした。その瞬間、弾が再び飛び出してきた。更に先ほどとは違い、無造作に何発も飛び出してきた。
「うわぁ!」
「くそォ…」
「くっ…」
弾を防いでいる一部選手達も流石に2回目が来る事が予想外だったようであり、防ぎ切れずにそのまま爆死してしまった。しかし
「あの悪どい奴のことだ! これくらいなんてことはないさ! はっ!」
「2回目なんて予想の内だ!」
再び弾が来ると予想できた者もいたようであり、彼等はそれで弾を防ぐことができた。その他に…
「こ、これ以上は防げない…!」
「う、うわああああああああああああああああああ!」
「想像以上の威力だ…」
弾が来ることは予想できたが、防ぎきれなかった者もいた。
「はああああああああああああああああああああああ!」
そしてラファはその内、弾が来ることを予想でき、防ぎきれた者だった。
「私は絶対に負けない…例え相手がどんなに強敵でも…」
ラファは弾に対し、必死に耐え忍んでいた。
「むむむむ…」
しかし、ラファのシールドにもとうとうヒビが入り始めた。
「あっ…くっ…」
「ふふふ…あのしぶとい小娘がもうすぐでやられそうだな…あいつはあれだけしぶといんだ。じいさんのエネルギー源にはうってつけだな…」
そして、ジ―ルは更に指を鳴らした。そして、3発目の弾がラファに向かって放たれた。
「あっ…私…もうだめかも…」
そして、弾が当たった途端、ラファのシールドが粉々に砕けた。
(ごめん…タクオ君、サーニャちゃん、キョウちゃん…私はここまでだよ…)
「諦めるな!」
(…え?)
ラファはいつの間にか辺りが白い所にいた。先ほどの競技場とは明らかに別のところだった。そして、ラファの目の前には卓生らしき人物がいた。しかし、口から上には黒い影がかかっており、目元は見えなかった。
「お前は俺達と一緒に能力祭に出てくれると言った。優勝を目指すと言った。そこで諦めるんじゃねぇ…諦めたらそこで何もかも終わりだ。だから後少しだけ頑張ろうぜ…!」
「タクオ…君!」
※
「はっ…」
ラファはいつの間にか目が覚め、元の場所に戻っていた。
「シールドは砕けたけど、まだ弾は当たっていない…はああああああああああああああ!」
「な、何!?」
ラファは弾が自分に命中するギリギリのところで再び防御スキルを発動した。そして、シールドの色は先ほどの透明色ではなく、銀色に変化していた。更に…
「はああああああああああああああああああああああああ!」
なんと、大砲の弾を3つまとめて弾き返した。
「あの小娘…3つの弾を容易く返しやがって…」
ジ―ルは心底悔しそうな顔をした。
「もう一度だ!」
感情に身を任せたジ―ルはもう一度発砲しようとしたが…
「な、何…?」
弾は出なかった。ジ―ルは大砲の弾を使いきってしまったのである。そして、ラファ以外の選手も全員大砲の弾を既に防御し終わっていた。
「くっ…今残っているお前ら全員この競技の合格者だ…」
ジ―ルは歯を食いしばりながら、生き残った5名を合格と認めた。
今回はラファの覚醒回だったのですが、少し無理やり感を感じるかもしれません。反省です




