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第1章ー4「孤独な少女」

「なぁサーニャ、次はどのミッションを受ける?」

 卓生とサーニャは集会所にて次のミッションについて相談をしていた。

「まぁ、お前の協力があったとはいえ、中級では余裕であることが発覚したからな。それに、能力祭の参加のポイントは集めなきゃならんし、それにそれなりの金も集めなきゃならないしな」

サーニャは腕組をしながら考えていた。首には昨日買ったチョーカーをつけていた。

「まぁ、装備も集めなきゃならんしな…」

「いや、それ以上にドアにつける鍵穴が欲しい…」

「え? どうしてだ?」

「いや、どうしたもこうしたもないだろ…集会所の寮が一室しか空いてなかったせいで私とお前は同じ部屋で暮らすことになったんんだぞ…」

「いいじゃん別に」

「よくねぇ! お前という男と一緒の部屋だと落ち着いて着替えもできねーし、風呂にも入れねーよ!」

 サーニャは無神経な発言をした卓生に抗議をした。

「でも、着替えや風呂とかはとくに覗いてないぜ?」

「確かに意図的(・・・)には覗いていなかったかも知れねぇけどよ…」


              ※


『ふーっ、パーカー汚れてしまったし、着替えるか』

 サーニャはパーカーを脱ぎ、中に着ていたピンク色のシャツも脱ぎ、下着姿が露わになった。その時

『よー、サーニャ! この防具似合う…』

 卓生はノックもせずに、サーニャの着替え中の部屋にノックせずに入ってきた。

『か…?』

『あ、あああああ…』

 サーニャは下着姿を卓生に見られ、顔が赤くなり、硬直した。

『さ、サーニャ…これはその…』

『な…』

 卓生はサーニャに言い訳をしようとしたが、時はすでに遅かった。

『何ノックもせずに入ってきてるんだ! てめええええええええええ!』

『ぎゃああああああああ!』

 既に赤い魔法指輪をつけていたサーニャは。卓生に向って炎を手から出した。そして、サーニャが放った炎魔法により、卓生はかなりのダメージを受けた。


              ※


「き、昨日はすまん…でも、魔法を放つなんていくら何でもやりすぎだよ…」

 昨日のことでサーニャから睨みつけられている卓生はしおらしくなっていた。

「それほどお前の罪が重いってことだよ。それに、お前もお前の防具もどういうわけか無傷だったから別にいいだろ?」

「いやいや、確かに無傷ではあったけど死ぬほど熱かったぞ?」

「ふん」

 サーニャは卓生の反論を聞こうともしなかった。

(厳密に言うと、傷はついたんだよな。回復が一瞬でされただけで…ま、面倒くさいから言わないでおくか)

「で、クエストどうするんだ?」

「あ、ああ…上級か超級のどちらを受けるか迷っているんだよ…」

「うーん…私的には、上級の方がいいかもな…」

「じゃあ。上級にするか」

「え、いいのか? お前だったら超級行こうぜとか言い出すと思ったが」

「確かに俺は超級も受けたいが、お前がある程度クエストに慣れてからの方がいいと思ってだな」

「な、何を言ってるんだお前! 私は確かにまだ慣れてはいないが、なにもお前が私なんかのレベルに合わせる必要なんかないんだぞ!」

「サーニャ…焦る必要はない。それに、お前も俺から見たら十分なくらいな力は持っている。人とあまり比べるな。お前だってお前なりに頑張っているんだからさ」

「っ…」

 サーニャは卓生の言葉に照れたのか、顔を赤くさせた。そして

「だー! うるさーい! でも、ありがとう…」

 サーニャは絶叫した後、感謝の言葉を伝えた。

「サ、サーニャ? 感謝しているのか怒っているのかどっちなんだ?」

「う、うるさい! いいからクエスト受けるぞ!」

「あ、ああ…」

 卓生とサーニャはクエスト受注のため、クエストボードへ向かった。

「えっと上級コースは…割とあるな…」

「サーニャはどんなのがいいんだ?」

「私としては、5000ポイントをなるべく早く集めたいというのがあるからな。結局、昨日は中級3回しか受けなかったし…」

「じゃあ、早く終わりそうなやつにしようぜ」

「そうだな。じゃあ、これとかはどうだ?」

 サーニャはクエストボードの張り紙を外し、卓生に見せた。

「えっと…『3匹のモンスターを倒せ』か…行けるとは思うな。少なくともお前と俺は装備のお陰でパワーは上がっていると思うしな」

「とはいえ、私のこれはまだどんな効果か分からないけどな…」

 サーニャは首につけているチョ―カ―を擦った。

「では、行くとするか」

 2人はクエストを受注した。


              ※


「前行ったダンジョンとは違うな…なんというか、前より広い感じが」

「そりゃあ、上級モンスターが3匹もいるからな。モンスター共も相当なデカブツなんだろ」

 サーニャはモンスターの大きさを予想していた。

「そぎゃああああああああああああああ!!!」

 ダンジョンの奥から、からとつてもない大きな叫び声が聞こえた。更に

「びぎゃあああああああああああああああああ!!!」

 先ほどの叫び声とはまた違う叫び声が聞こえた。

「タクオ、聞こえたか?」

「ああ。多分、今の声からして2匹のモンスターが奥にいるな」

「じゃあ、征伐しに行くぞ!」

「おう!」

 卓生とサーニャはモンスターの声のする方、つまりダンジョンの奥へ向かった。

「びぎゃあああああああああああああああああ!!!」

「…うるせえ…」

 卓生はあまりのモンスターの声の五月蝿さに耳を塞いだ。

「でも、うるさいってことはモンスターが近い証拠だぜ」

「そりゃそうだな。よし、ぶっ倒してやるぜ!」

「ああ…」

 卓生は意を決し、握りこぶしを作った。そして、サーニャは緑色の魔法指輪を指にはめた。そして、彼等は2匹のモンスターの目の前に着いた。2匹のモンスターは巨人のように大きく、それぞれ青色と茶色の身体をしている。

「想像以上にでかいな…オークの5倍ほどの大きさだな…」

「オークって、デブいモンスターか?」

「まあ、言い方悪いけどそうだな…そんなことより、このデカブツを倒すぞ。卓生は左の茶色いやつを頼む。私は青いのを倒す」

「了解だぜ! 相棒!」

「だ、誰が相棒だ!」

 卓生とサーニャはモンスターに立ち向かった。

「おらぁ!」

 卓生がモンスター(茶)の足を殴ると、動きが鈍くなった。

「よし、足さえ攻撃すりゃあ、後は殴りまくればいいだけだ!」

 卓生はモンスターの背中に飛び乗った。そして

「くらえ! おらぁ! おらぁ!」

 卓生はモンスターの背中をこれでもかと言うくらい殴り続けた。

「よし、着実にモンスターの体力は減ってきている…」

「びぎゃあああああああああああああああああ!!!」

「うおっ…」

 卓生は突然叫び出したモンスターの声に驚き、耳を塞いだ。しかし、両手を話しているのにも関わらず、モンスターから転げ落ちることはなかった。

「へっ、モンスターさんよ。俺を転げ落とそうたって無駄だぜ…なにせ俺は異世界に来る前まで趣味でバランスボールを使って、バランス感覚を身に付けたからな!」

「びぎゃ!?」

「とどめだ!」

 卓生は拳を振り上げ、そして…

最終(ファイナル)(ナックル)!」

「びぎゃあああああああああああああああああ!!!」

 卓生が編み出した必殺技により、モンスターは倒れた。

「さ、金になりそうなものは取っておくか」

 卓生はモンスターから牙としっぽを抜き取った。


              ※


「草魔法発動!」

 サーニャはモンスター(青)に向かって手を広げた。

「草のリングよ…我に力を…『イ―フイビント』!」

 サーニャが魔法名を叫んだ途端、地面からたくさんのツタが出てきた。

「そぎゃああああああああああああああ!!!」

 それらはモンスターの体中を締め付けた。モンスターはかなりのダメージを受けているようである。

「よし、これでモンスターの動きは封じた。後は…」

 サーニャは草魔法に更に力を加えた。

「そぎゃああああああああああああああ!!! ぶげええええええええええええ!」

 ツタは更に縛り付け、モンスターは悶えた。

「よし、とどめだ!」

 サーニャは指を鳴らした途端、多数の尖った枝がモンスターに襲いかかった。

「そぎゃああああああああああああああ!!!」

 モンスターは倒れた。

「ふぅ…」


▼タクオは2000G獲得した

▼サーニャは2000G獲得した。


「サーニャ、大丈夫か?」

「ああ。お前こそ大丈夫か?」

「へっちゃらよ。それより、残りの1匹はどこにいるんだ?」

「悪いが私は見当もつかん。ただ、強いて言えば洞窟の奥であることは確かだと思う」

「それは、なぜ?」

「ダンジョンの奥に行くほど、モンスターは出現しやすくなるからな」

「そうか…だったら、早いとこ行くぞ」

「ああ」

 2人は洞窟の奥へ行くため、先に進んだ。

「結構暗いな…」

「しょうがない…光魔法発動!」

 サーニャはクリーム色の魔法指輪をつけた。そして

「光のリングよ…我に力を…『アインタシュナルプ』!」

 サーニャが魔法名を叫ぶと、サーニャの魔法指輪が光り出し、辺りが明るくなった。

「ありがとな。サーニャ」

「いいってことよ」

「でも、今の魔法名を直訳すると懐中電灯って意味だよな。そのままじゃね?」

「うっさいわ! 私が決めたわけじゃねーよ!」

 サーニャは少しムキになっていた。

「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 洞窟の出口の方から叫び声が聞こえた。

「3匹目のモンスターか!」

 サーニャは一目散に走り出そうとしたが

「サーニャ、待て! モンスターの他にもう1つの声がした気がするが…」

「そうか…? 私は聞こえなかったが…」

「き、気のせいか…?」

 卓生はそう思った。しかし…

「タス…ケ…テ…」

「…やっぱり聞こえた。しかも、女の子の声!」

 卓生は確信した。

「まあ、モンスターのとこ行けば分かるかもな。というわけで、行くぞ!」

「おう!」

 2人は洞窟の出口に向かって走り出した。

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