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第4章ー3「能力祭SideT 3」

 最初の競技を終え、卓生を含む選手たちは次の競技の場所に集まっていた。結局、合格者は30名の予定が20名になってしまっていた。それは150kgを超える記録を出したのが20名しかいなかったからである。

「それでは次に行う競技はこいつだ!」

 中年が指を鳴らすと、1000人ほどの黒色の人間が現れた。

「次の競技はこの雑魚共を倒す競技だ。より多く倒した上位5名が合格者だ」

「シンプルだな…」

 卓生は競技のルールを聞き、少し物足りなそうな顔をした。

「まぁ他の連中はともかく、あいつはどれくらいの数を倒せるかが気がかりだ…」

 卓生はハヌマーンを見つめていた。卓生は彼が自分にとって相当な敵になることがあり得ると判断しているのである。

「2つ忠告がある。この競技はあくまで格闘スキルを測るものだ。だから格闘スキル以外の能力を使った者はただちに退場し、ヴァルキュリア様の餌食になってもらう」

「…っ」

 中年の言葉を聞いたハヌマーンは怪訝そうな顔をした。

「そしてもう1つ。こいつらは雑魚だが1人1人に相手の養分を吸い取る力がある。だから油断していると死ぬ。忠告は以上だ」

 そして、中年が手を叩き

「さあ! やれ!」

 1000人の黒い人間が20名の選手に襲いかかった。

「はぁっ!」

「おらぁ!」

「でりゃっ!」

 選手たちは1人1人倒していたが、1人の黒い人間を倒している間にもう1人に攻撃をされ、そして養分を吸収されて行った。

「ぐああああああああああああああ!」

「た、助けてくれえええええええええええええ!」

 しかも一瞬で殺さず、彼らは苦しみながら息絶えたため、卓生はその様子を見て恐れ戦いた。

「この程度のやつらにビビるとは…情けないなキリイ=タクオ」

「な、なに…」

「ふんっ!」

 ハヌマーンは自分の拳から衝撃波を出し、一斉に襲いかかって来た黒い人間50体ほどを倒した。

「これが俺の実力だ」

「てめぇ…」

 卓生はハヌマーンの態度が鼻についたようで、そのストレスを八つ当たりのような形で襲いかかって来た黒い人間にぶつけた。彼は両手で殴るや回し蹴りをし、次々と倒して行った。その数は100体ほどである。

「どうだ。これが俺の実力だ」

「意外とやるようだな…」

「おい! お前らいがみ合っている場合か! さっさとこの雑魚共を倒してくれ!」

「俺達だけじゃどうしようもねぇ!」

 他の選手達は競い合う相手のはずである卓生とハヌマーンに助けを求めた。それに対し

「ふっ!」

「おわっ!」

 ハヌマーンは1人の選手の側にいた敵を衝撃波で狙い撃ちし、それがギリギリ選手に当たりそうになった。

「おい! なにするんだ!」

 選手はハヌマーンに抗議をした。

「そんな甘い考えでこの競技を乗り越えられると思うな…俺達は競い合っている仲だ。助けあうなんてもってのほかだ。次俺に助けを求めたら本当に殺す」

 ハヌマーンは他の選手を睨みつけ、それに対し選手達は黙ったままだった。しかし、その言葉に感化されたのか、選手たちは立ち上がり、敵をどんどん倒して行った。

「おらあああああああああああ!」

 そして卓生も次々と敵を倒し続けていた。そして、とうとう敵の数は半分にまで減った。

「少々野蛮だが、お前はどうして瞬時に敵を倒せる?」

「こっちが聞きたいね。お前もその衝撃波とやらで敵を一瞬で倒せているじゃねぇか!」

「ふむ…俺か。俺のこの能力はこの世界に降り立つ時、神様からいただいたものだ…」

「神だと…」

 2人は一見呑気に会話しているように見えるが、実は2人は敵を打ち倒しながら会話をしているのである。

「なんだよそれ。つーことは、お前は神様のお情けでお高くとまっているってことじゃねぇかよ!」

 卓生はハヌマーンに対する怒りを敵にぶつけた。それに対しハヌマーンは卓生の言葉に目もくれずに敵を倒し続けた。

「確かにこの能力は神様からのお情けかも知れない…だが、俺の実力であることに変わりはないのだ」

「てめぇ…ふざけるなあああああああああああああああ!」

 卓生の怒りは頂点に達し、彼は大声を上げた。そして、卓生は知らず知らずのうちに能力を発動させていたようで、次々と敵が倒れて行った。

「競技終了!」

「はっ…」

 卓生は終了の合図を聞き、正気を取り戻した。

「1位はタクオで500体、2位はハヌマーンで200体、3位はグリーで100体、4位はイサで60体、そして5位はボートンで10体だ」

 中年は結果発表をし

「そして6位以下のやつと敵を1体も倒せなかったやつと死んだやつ、お前らはもういらん」

 中年は指を鳴らし、死体を含む15人の選手は奈落の底に落ちた。

「「「「「…」」」」」

「さぁ、次の競技へ移ろう。上位3名が合格者だ」

 中年は険しい顔で次の競技への案内を始めた。

「君達はここで待機しておいてくれ。自動的に着く」

 そして中年はボタンを押すと、床がまるでエレベーターのようにゆっくり下へ降りて行った。突然の出来事であったため、卓生達は戸惑っていた。そして次の競技の場所にに着いた後

「さぁ、この競技で君たちは戦慄するだろう」

 中年は不敵な笑みを浮かべた。

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