第4章ー1「能力祭SideT 1」
「ここが会場か…」
卓生達は能力祭の会場に来ていた。そこには当然と言うべきだが、他のパーティーも来ていた。尚、登録で列を抜かした3人組は暴走した卓生に恐れをなし、棄権をしたとのことである。
「俺達はここで凄い奴等と戦うんだな…」
「そうだな。ここまで長かった…まさか、タクオと会い、ラファと会い、キョウと会い、こうして4人で参加するなんて思いもしなかったぜ」
「サーニャ…」
「サーニャちゃん…」
「サーニャさん…」
「みんなで力を合わせて頑張ろうな! そして、ダイトウ学園に絶対に入学するぞ!」
「「「「おう!」」」」
4人は拳を合わせ、それぞれの競技部門へ向かった。
※
「格闘部門ね。俺は最近この剣を使うことが多かったが…久しぶりに俺の特技をかましてみるか!」
卓生はやる気に満ち溢れていた。
『それでは、格闘部門に参加するみなさんは赤い建物の中に入ってください』
「おっ、行かなきゃ」
卓生は赤色のプレハブみたいなところへ行き、扉に入ろうとした。しかし、彼は立ち止まった。
「...待て。何かおかしい...」
卓生は赤い建物の他にもう1つ青色の建物があることに気づいた。そして、彼は赤の建物のドアノブに鍵穴があることに気づいた。更に彼は確認のために青の建物へ行き、そこには鍵穴がないことにも気づいた。
「こっちには鍵穴があるがあっちには鍵穴がない...」
そして彼が考えている時...
「何入口の前で突っ立てるんだ。どけ!」
参加者の1人が卓生をおしのけ、赤い建物に入った。
「いってぇ...」
そして、卓生はスピリット・スパーダで摩擦熱を作り、それを赤い建物に当てた。すると
「あっ...」
卓生の当てた部分だけ、赤い建物が青色に変色した。
「つまり...この赤い建物はフェイクってことか...」
卓生は青色の建物の方へ行き、そこに入った。
(どうやら同じ考えのやつもいたらしいな...)
卓生は自分と同じく青の建物に入ってる他の人達を見て、安心していた。そして、しばらくすると卓生達の目の前に中年くらいの男性が現れた。
「君たちがこの能力祭格闘部門に参加する者達だ。よくこの仕掛けを見破ることができたな。この青い建物は熱を当てると赤くなる仕組みなのだ」
(やはりか...)
「そして、誤った建物に入った者はこうなる...」
中年が指を鳴らした途端...
「な、なんだ!?」
赤い建物が下へ沈んでいき、沈みきった後上にシャッターがかけられた。
「ではみなさんには今から外へ出てもらい、競技で競っていただきましょう」
中年が扉を開け、卓生を含む格闘スキルが得意分野の人達が続々と出てきた。
「では、まず最初の競技はこれだ!」
中年はあるものを指した。それは、パンチングマシンだった。
「ルールは簡単だ! ここにあるパンチングマシンを殴り高得点を出す! ここにいる60人のうち生き残れるのは上位30名だ! だが、ひどい得点だったら場合によっては29名以下になるかも知れないよ〜」
中年は意気揚々と競技のルール説明を始めた。
(なんだ。シンプルなルールだな)
卓生はルールを聞き、単純さに逆に驚いていた。
(もっと難しいもんだと思っていたがな...だが、油断は禁物だ。気合いを入れないと...それにひどい得点の基準がわからんからな)
卓生は得点のことが頭に引っかかっていた。
「何か質問ある方は!?」
中年が質問コーナーを始めた。その時卓生はチャンスと思い、彼に質問をした。
「あの、ひどい得点って何点以下なんですか?」
「うむ。得点のことは私も説明不足だったな。申し訳ない」
中年は平謝りをし
「ひどい得点とは150kg以下のことだ」
「「「 「は!?」」」」
中年の発言に周りの選手は驚いていた。
「150ってなんだよ!? ただでさえ出すのが難しいのに!」
「俺、100kgが最強だと思ったのにな...」
「ちゃんと俺達の基準を考えろこのおっさん!」
「しね! おっさん!」
選手達はブーイングを起こした。それに対し中年は
「黙れぇ!」
逆ギレするかのように大声をあげた。
「いいか? この能力祭というのはいかにすぐれた能力か競う大会なんだ。それに決勝では生き残った2チームが戦う。更に優勝賞品はダイトウ学園の入学権だ。ダイトウ学園は優秀すぎる連中を詰め込んだ場所だ。そんな甘すぎる考えでこの大会に勝てると思うな! それでも反論があるやつはよほど実力があるんだろうな」
「「「「...」」」」
中年の説教に対し、選手は全員黙り込んでしまった。
「よし、では気を取り直して競技を始めよう。順番はこいつで決める」
中年はルーレットらしきものを持ってきた。そのルーレットには卓生を含む選手達の名前が書いてあった。
「このルーレットに当たったものが最初に挑む者だ。全くのランダムだから覚悟を決めておけ」
こうして、格闘部門の競技の幕が開こうとしていた。
お待たせしました! 久々の投稿です。




