第4章ープロローグ「スキルパーティ」
4人は能力祭の登録を終え、寮に戻っていた。帰宅途中、卓生はまだ意識不明だったためラファにお姫様だっこされた状態で運ばれ、その途中で目が覚めた。
「…」
「タクオ…気にするなよ」
「ごめんね。私に抱っこされるの恥ずかしかった?」
「そうじゃない…俺、また暴走してたなって…」
卓生は弱弱しい声をあげていた。
「しかも、能力祭は自分の一番高い能力ごとに競うから、みんなと分かれて行うんだろ? それじゃあ、ますます不安だよ…」
「タクオ。いざという時は私の父さんに頼んである。お前が暴れそうになったら、憑依して物理的に暴走を抑えるようになって。それに、私達がいたとしてもお前の暴走は止められない」
「そんなにやばいのか…?」
「…ああ」
「…」
卓生はますます落ち込んでしまった。
「タクオさん大丈夫ですか?」
キョウは卓生の肩を叩いた。
「うぅ…」
卓生はすっかり弱気になっていた。
「また暴走したらどうしよう…そしたら俺、またみんなに迷惑かけちゃう…」
「あー! もう! 女々しいな!」
「ひっ!?」
突然サーニャが大声を出し、卓生はそれに怯えた。
「お前が暴走するのは仕方のないことかも知れない! でも、そんなのでいちいちうじうじしてんじゃねえよ! 最悪暴走しそうになったら私の父さんが止めるし、それに私達はもう仲間だろ? 迷惑なんか幾らでもかけていいんだよ! 暴走がどうとか気にする前にまず能力祭に参加しろ! 不安なことは後から考えればいいんだよ!」
「…」
サーニャは卓生に叱咤激励した。
「サーニャさん、かっこいい…」
「サーニャちゃん、タクオ君のお姉ちゃんみたいだね」
「同い年なんだけどな…」
ラファとキョウはサーニャに感心していた。
「そうだよな…悪い。俺、考え過ぎていた」
卓生は少しずつ元気を取り戻して行き…
「俺はオタクだけどな! 成績優秀だし、スポーツもできる。そして、ヤンキーに絡まれたけど、返り討ちにしてやったぜ! はははははははははははは!」
「よかった…いつものタクオだ…」
サーニャは呆れつつも、卓生が本調子を取り戻したことに喜びを感じていた。
「で、登録情報によると私が魔法枠、卓生が格闘枠、ラファが防御枠、キョウが生産枠だ」
「「「それで?」」」
「まずはいきなり戦うわけじゃなく、能力を生かした競技で競う。そして、最終的に生き残った2チームで戦うというわけだ。で、チームは競技や決勝戦で1人でも残っていたら全員勝ちということになる。って感じだ」
「なるほど…競技とかどんなのか気になるね」
「不安だけど、少し盛り上がってきました」
「よっしゃ! 俺達の実力、見せてやろうぜ!」
「「「「おー!」」」」
こうして、能力祭の幕が上がろうとしていた。
お待たせしました! 能力祭篇開幕です!




