番外ー4「イキリの名は・後篇」
卓生達が受けたクエストは、突然大量発生した蛇モンスターを倒して欲しいという依頼である。
「大量発生なら任せろ! 俺はヤンキーを5人いや、10人も同時にぶっ飛ばしたことがあるからな!」
「馬鹿か! 今、お前は私の身体なんだぞ。だから格闘スキルは使えないだろ」
「あっそうだった…」
「私もある程度鍛えているとはいえ、使えるか不安だな…」
「大丈夫だ。いざって時は、俺が守ってやる!」
「…私の顔でこんな台詞言われると気持ち悪い」
「ええー!」
「大丈夫かな…」
「そうですね…」
こうして、不安の多い中クエストが始まった。
「うわっ! 思ったより蛇が多い!」
ラファは余りの蛇の多さに驚いていた。
「くっ…おらぁ!」
卓生(身体はサーニャ)は周りにいる蛇を回し蹴りしようとしたが…
「痛てえ!」
彼はバランスを崩し、地面に背中を撃った。
「しまった…いつもの癖で…」
「タクオ。ここは私に任せろ!」
サーニャ(身体は卓生)はポケットに手を入れたが…
「はっ…しまった!」
魔法指輪はそもそも卓生のポケットに入っていなかったため、取り出すことは不可能だった。
「2人共、危ないですよ!」
「「はっ!?」」
卓生、サーニャは蛇達から一斉攻撃を喰らいかかった。その時
「ガードフィールド!」
ラファが2人の前に立ち、防御スキルを放ったことでダメージを受けることは回避できた。
「はぁっ!」
「ラファ、すまねぇ!」
「大丈夫だよ。それと、お互いの身体が入れ替わった以上、それぞれの能力を使うしかないよ!」
「「ああ、分かった!」」
2人は覚悟を決めた。
「僕の手から鎖を生まれよ…はぁっ!」
キョウは鎖を生産し、それらを蛇に縛り付けた。
「タクオさん! サーニャさん! 今の内です!」
「ああ」
「分かった」
そして、卓生は指に魔法指輪をはめ、サーニャはファイティングポーズ構えた。
「行くぞォ!」
2人は一斉に拘束されている蛇に襲いかかった。
「炎魔法発動!」
卓生はリングに力を込め
「炎のリングよ俺に力を…えっと…バーニングなんとか!」
卓生は手から炎を何度も出し、それを蛇にぶつけた。そして、蛇は炎の前に倒れた。
「お前人の技名忘れるなよ! 次は私が行く!」
サーニャは数匹の蛇にパンチをくらわせた。
「次にこれだ!」
サーニャは次にキックをくらわせた。こうして、鎖に縛られた蛇は全滅した。しかし
「おかしい…全員拘束したはずなのに蛇が増えている…?」
「確かに…なにかあるのかもな…」
サーニャは蛇を見て疑問を感じた。そして
「タクオ! 私の雷リングを使って蛇を気絶させるんだ!」
「ああ。分かった」
卓生は雷のリングを取り出し、指に取りつけた。
「雷魔法発動! なんたらボルトミニ!」
卓生は軽い雷魔法を蛇にくらわせ、それにより蛇が気絶した。
「ところでサーニャ、この雷技を使えば元に戻るんじゃないか?」
卓生は唐突に提案をした。しかし
「残念だが、攻撃系の魔法は原則自分に当てることはできない」
「そうか…」
そして、サーニャは気絶した蛇を拾い
「よし。逆探知を使う!」
サーニャは蛇の身体に耳を当てた。そして、彼女は蛇達がどこから来たのか感じ取った。
「この蛇達にはボスがいる。そして、そのボスはあの小さな穴の中にいる!」
サーニャは説明をした。
「でも、流石に全員で行くとこっちの蛇達を倒せないよ…」
「大丈夫だ。蛇共は他のパーティーに任せればいい。行くぞ!」
そして、サーニャはのある壁を格闘スキルで破壊し、4人はボスのところへ向かった。卓生達が見たのは、とても大きなコブラだった。
「あいつがあのボスか…行くぜ!」
そして、4人はボスに立ち向かった。
「まずは俺からだ! 水魔法発動!」
卓生が水魔法を放った瞬間、コブラは紫色の壁を作り、それにより卓生の水魔法は弾き返されてしまった。
「なんだと…!? があっ!」
「あのモンスター、防御しているの…?」
「いや、違う。あれは自分の技を壁にしているんだ。そして、あいつは毒の技を使う…迂闊に近づくと危険だ」
サーニャはなるべくコブラに近づかないように促した。
「だったら、僕の鎖で!」
キョウは鎖をコブラに向かって放った。しかし、これも紫色の壁によって弾き返されてしまった。
「うわああああああああああああああ!」
キョウは自分の放った鎖が当たり、ダメージを受けた。
「だったら、この剣で倒すしかないのか…?」
「それは絶対ダメ! サーニャ、それだけは本当にやめて…」
「でも…」
その時、コブラが毒の玉を次々に飛ばしてきた。
「危ない! ガードフィールド!」
ラファは3人の前に立ち、防御スキルを使ったが…
「きゃあっ!」
4つ目の玉で壁が破られ、ラファは猛毒になった。
「はぁ…はぁ…」
「ラファ! ちくしょう!」
卓生は回復リングを取り出し、それをラファに当て回復させようとしたが…
「くそっ! まだ毒の玉が飛んで来やがる…!」
卓生はやけくそ気味に雷のリングを取り出し、雷魔法を放った。しかし、それも紫の壁によって弾き返された。
「タクオ! 危ない!」
サーニャは卓生の前に立ち、返って来た雷魔法から彼を庇った。しかし、それに卓生は
「そうだ。サーニャ! 俺の手を握れ!」
「はぁ? 何言ってるんだお前…」
卓生は無理矢理サーニャの手を握り、そして自分の身体(中身はサーニャ)からスピリット・スパーダを取りだした。
「はあああああああああああ!」
そして、まずスピリット・スパーダに雷を当て、そのまま自分達も当たった。
「ぐあああああああああああああああ!」
「があああああああああああああああ!」
「サーニャさん! タクオさん!」
キョウはラファの様子を見つつ、卓生とサーニャの心配をしていた。
「くっ…」
「あっ…」
「なんだよお前。いきなり俺の手を握れって…キモいぞ…」
「キモいとはなんだ。これは俺の作戦なんだよ」
「なんだよそれ」
「その作戦というのはな…」
卓生が作戦名を話そうとした時
「あれ? サーニャさん、タクオさん…元の身体に戻っていませんか…?」
「え?」
サーニャは自分の身体をよく見た、そして自分が戻ったことを確信した。
「俺の作戦通りだろ?」
卓生はドヤ顔をしていた。
「つまり雷魔法が返ってきた時、あれに敢えて剣と自分達が当たることで元の身体に戻るという作戦だったのか?」
「その通り」
「すごいな。お前は。じゃあ、後は頼むわ」
「お前こそ、ラファを頼む」
サーニャは卓生にスピリット・スパーダを、卓生はサーニャに回復リングを渡した。
「さあ! 行くぜコブラ野郎!」
卓生は剣を構えた。
「回復魔法発動!」
サーニャはラファの胸に回復リングを当てた。
「くらえ! ヴァルキュリア・ソード・スラッシュ!」
卓生の剣に対し、コブラは再び紫の壁を作った。しかし
「こんなもん効かないぜ!」
「!?」
卓生は壁を思い切り破り、コブラを剣で刺すことに成功した。そして、コブラはそのまま力尽き、倒れた。
「よっしゃ!」
卓生はガッツポーズをした。
「サーニャ! ラファは大丈夫か?
「大丈夫。ちゃんと回復したぜ」
「タクオ君、大丈夫だった?」
「ああ。余裕だぜ」
「じゃあ、行きましょうか」
こうして、4人は臨時クエストから帰還した。
今回で番外編は一旦終わりです。キャラクター紹介の後、能力祭編を始めます。




