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番外ー2「異世界ガイドサーニャ」

単発の番外編です。

 これは、卓生がまだサーニャと会ったばかりの話である。

「サーニャ。俺、まだこの町のこと分からんから案内してくれないか?」

「しょうがないな。いいよ」

 こうして、サーニャは卓生の案内を始めた。

「装備屋は行かないのか?」

「お前、装備屋に行きたいのか?」

「まあ、この格好じゃあ敵倒せそうにないしな…」

「でも、お前のその格好結構いいと思うぞ」

「いや、これはただの制服だ! それにサーニャからしたらかっこいいかもしれないが、俺からしたらカスみたいにダサいぞ」

「うーん。案内したいのは山々なんだけど…そこ、まだ準備中なんだよな」

「マジかよ」

 卓生はがっかりしていた。

「でも、武器屋なら案内できるぜ」

「ありがとう!」

「でもいいのか? 金足りないかも知れないぜ」

「いいよ。どんな武器があるだけなら見たいし」

「よし! なら話は早いな! ついて来て!」

 サーニャは卓生の案内を始めた。


                ※


「ここが武器屋だ! 御免下さい!」

「し、失礼します…」

 2人は武器屋に入った。

「色々あるな…」

 卓生は辺りを見回していた。そして、彼はある剣が目についた。その剣は紫色に輝いていた。彼はその剣に惹かれたのか、とりつかれたかのようにずっと見つめていた。

(なにこれ…初めて見る武器なのに何故か強いと確信している…そして、身体が勝手に引きつけられる…)

 そして、卓生は流れるかのように値札を見つめた。そこには『30000G』と書いてあった。

「俺には贅沢過ぎたかな…ただでさえお金ないし…」

 卓生は少し苦笑いしていた。

「おーいタクオ。お気に入りの武器は見つかったかい?」

 サーニャは卓生に声をかけた。

「あー…見つかったと言えば見つかったんだけど…」

「ん?」

「ちょっと高いかな…」

「そ、そうか…」

 卓生に流されるかのようにサーニャは苦笑いをした。

「でも、俺はこの武器が欲しい。だから、金がたまったら絶対買うぜ」

「そうか」

「だから、買う武器はもう決まった」

「じゃあ、もう見なくて大丈夫か?」

「ああ」

 こうしてサーニャと卓生は店を出た。


                ※


「次はここだ」

「ここは?」

「ここは回復薬を売っているところだ。最も、私にはこれがあるから必要ないけどな」

 サーニャは白色のリングを取りだした。

「これは?」

「私が持っている魔法指輪のうちの回復リングだ。これは仲間と自分の体力の回復ができる」

「へー…でも、行く必要ないのになぜ案内したんだ?」

「回復薬以外も取り扱っているからだよ。とりあえず着いてきな」

「ああ…」

 卓生はサーニャに案内されるがままに、彼女の後についてきた。

「取り敢えず、この薬草と赤い草から薬を作ってくれ」

「分かった。少しかかるから待っててくれい!」

「了解!」

 こうして、サーニャと卓生は薬ができるまで待つことになった。

「サーニャ、一体なにを作るつもりなんだ?」

「お前のための回復薬と…」

「と?」

「こ、香水…」

 サーニャは恥ずかしそうな顔をしながら、顔を背けた。

「え? 香水?」

「私も一応女の子だから、手入れとかしてるんだよ! 悪かったな。似合わなくて」

 サーニャはムキになっていた。

「いや、別にそんなことは思ってないよ。ただ香水とかつけなくてもサーニャは言い匂いしていると思っただけかな…」

「は?」

「い、いやなんでもない…」

 卓生はサーニャの威圧に恐れをなしていた。

「できたぞ!」

「ありがとう!」

 サーニャは店員から香水と回復薬を受け取り、そのうち回復薬を卓生に渡した。

「で、なんで回復薬を俺にくれるの?」

「私がいなくても回復できるようにってことだよ」

「あ、ありがとう…」

 卓生はサーニャに感謝の言葉を伝えた。


                ※


「そろそろ腹も減って来ただろ。ここが飯屋だ」

 次にサーニャは飯屋の案内をした。

「ここで食うか?」

「いいけど、不安だな…」

「大丈夫だ。私に任せろ。なんなら私のお勧め頼んでやるから」

「すまんな」

 そして、卓生とサーニャは飯屋に入って行った。

「店員さん、いつも2つで」

「はーい。いつものね」

 店員はサーニャの注文を聞き、厨房へ行った。

「それにしてもサーニャ」

「ん?」

「お前って色んな人達とも知り合いなんだな」

「知り合いっていうか…この国は狭い分、仲のいい人が多いってことだな。そもそも私の父がみんなと知り合いだったから」

「お父さんが?」

「ああ。私の父さんはとんでもなく友好的で、初対面の人に対してもまるで前から知り合いだったかのように話しかけるからな」

「そうか…(俺と大違いだな…)」

 卓生はサーニャの父に劣等感を感じ、俯いた。

「お待たせしました!」

「あっ、来た来た!」

 サーニャは料理が届き、嬉しそうにした。その料理はカエルや蛇、モンスターのしっぽを揚げたようなものと米のようなものであった。

「さぁ、食おう!」

「う、うん…」

 サーニャと卓生はご飯を食べ始めた。

「…ま、まずは米から食おう」

 そして、卓生は米を食べた。

「ぐっ…」

 そして、卓生は具合が悪そうな顔をした。

(なんだよこれ…米なのにまずい…)

 米は卓生の口には合わなかったようである。

「タクオ!? 大丈夫か?」

「大丈夫大丈夫…」

 そして、卓生は次に揚げ物を食べた。

「あっ、おいしい…」

 揚げ物の方は卓生の口に合ったようだった。

「な? 旨いだろ?」

「ああ。ありがとうサーニャ!」

「ああ。じゃんじゃん食えよ!」

 卓生は満足そうな顔をし、サーニャは嬉しそうな顔をしていた。

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