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第3章ー14「イキリオタクの憂鬱」

「さあ、観念しろアン・コーク…」

「くっ…」

「魂フォーム…解放…」

 卓生は魂フォームに変身した。

「ふっ…」

アン・コークは突然、険しい顔から余裕そうな顔に変わった。

「なにがおかしい?」

「お前らが敵をどんどん倒している間に、俺は本来の姿を取り戻せる力を得ることに成功した…」

「な、なに!?」

「見たけりゃ見せてやる…私の本来の姿を」

 突然、アン・コーク…が中に入った大賢者の身体は光り輝き、そして爆発した。そして、爆風の中からアン・コークの本来の身体が姿をあらわした。

「なんだよこの姿は…」

 アン・コークの本来の姿、それは黒と紫が混ざったような筋肉質な身体とまるで阿修羅とも言える3つの顔をしていた。

「これが、私の本来の姿だ…」

「き、気持ち悪…」

「なっ…!」

 卓生は率直な感想を漏らした。

「顔が3つもある人間とか普通気持ち悪いだろ…こんなのがアニメとか漫画になったら意味不明な団体に難癖をつけられて抗議されること間違いなしだな!」

「寒いことを抜かすな! こんなに舐められたのは初めてだぞ!」

「舐めてなんかない。ただ、お前は俺によってすぐに倒される。それだけだ」

「このイキリオタクがああああああああああああああああああ!」

「はあっ!」

「な…!?」

 アン・コークは襲いかかったが、卓生はそれを剣で弾き返した。

「お前が俺の挑発に乗ってくれたおかげで、簡単に攻撃を仕掛けられたぜ!」

「くっ…」

「はあっ!」

 卓生は更に攻撃を仕掛けた。

「とどめ行くぜ! ヴァルキュリア・ソード・スラッシュ!」

 卓生はアン・コークを斬りつけようとした。しかし

「ふっ…甘かったな」

「な!?」

「私はソウル様の配下だぞ。お前のようなソウル様を模った技程度は効かない」

 アン・コークは剣で斬られたのにも関わらず、傷1つついていなかった。

「さぁ? どうする? 無意味な攻撃を続けるか?」

 アン・コークは挑発するような口調を卓生にぶつけた。そして、卓生はその直後スピリット・スパーダを捨てるように投げた。

「サーニャ! この剣を大賢者にぶっ刺してくれ」

「え?」

 卓生はただ剣を捨てただけでなく、サーニャに渡すつもりだったのだ。そして、サーニャの側にはアン・コークの憑依が解け、抜け殻のように動かない大賢者がいた。

「タクオ…? どういうつもりだ?」

「恐らく大賢者の魂はその剣の中にある。それを大賢者の身体に戻すんだ。上手く行くか分からんが、やれるだけはやってくれ」

「分かった! やるよ!」

 サーニャは倒れた大賢者の胸に剣を突き刺した。

「蘇ってくれ…!」

 サーニャは念じるように剣に力を込めた。

「タクオ君! 剣なしで大丈夫なの!?」

「タクオ、素手では危険過ぎる…」

「他になにか武器はないんですか?」

 ラファ、ヴァジラ、キョウは卓生の身を心配していたが

「大丈夫だ。俺にはまだ、こいつがある」

 卓生は拳を握りしめた。彼は格闘スキルでアン・コークを倒すつもりなのである。そして、彼は倒すため、王座へ向かって進んで行った。

「行くぜ!」

「ふっ…接近戦で私に叶うとでも?」

 アン・コークは3つの顔からそれぞれ炎、氷、闇の技を口から吐き出した。

「3つの技を同時にか…一筋縄ではいかないな…」

 そして、卓生は…

「はあっ!」

 これらを全て手で防いだ。

「な…手で防いだだと!? 馬鹿な…」

「だが、これはどうだ!? 暗黒光線!」

 アン・コークは、手の平から禍々しい光線を繰り出した。

「ガードナックル!」

 しかし、卓生はこの技を拳で跳ね返した。

「何!? があっ!」

 アン・コークは弾き返された攻撃が当たってしまった。

「な、なんだこの男は…」

 アン・コークは卓生の強さに恐怖していた。そして、卓生は王座の目の前に着いた。

「俺は、イキリオタクの桐井卓生…そして、最強の男だ!」

 卓生は拳を握り、それをアン・コークにぶつけた。

「ぐはっ…」

「まだまだ行くぞ! 今度はこいつだ!」

「があっ…!」

 次に卓生は蹴りをお見舞いした。

「てめぇ…こいつを喰らえ! 暗黒スプラッシュ!」

 アン・コークは卓生に黒い雨のような技を浴びせた。

「この雨は浴びるとダメージを受ける他、力が弱くなる! こいつには勝てまい!」

しかし、卓生は全く受けてなかった。

「誤算だったなアン・コーク。俺は手にお前の技を纏ったらしい」

「な!?」

「喰らえ! 暗黒ナックル!」

 卓生は黒色のオーラを纏った拳をアン・コークにぶつけた。

「ぐああああああああああああ!」

 アン・コークは大幅なダメージを受けた。

「とどめだアン・コーク!」

「くっ…」

「お前の上司の能力と俺の能力を合わせた技…ソウル・ダーク・キック!」

 卓生の足は紫色のオーラを纏い、アン・コークを思いっきり蹴りあげた。

「があああああああああああああ!」

 そして、アン・コークは卓生のとどめの攻撃により、力尽きた。

「よっしゃ!」

 卓生はガッツポーズをした。

「やっぱり、俺と言えば格闘スキルだよな」

 卓生は自分の手の平を見ながら、得意げな顔をしていた。そして、彼はサーニャの元へ行き

「サーニャ、調子はどうだ?」

「タクオ。大賢者の心臓が動いている…結果は目覚めるまでは分からないが、もしかしたら…」

「そうか…多分、そろそろ大丈夫だ」

 卓生はスピリット・スパーダをを賢者の胸から抜いた。

「よし」

 その時

「まだまだだ…」

「!?」

 サーニャの後ろから、アン・コークが現れた。

「あ…ぁ…」

 アン・コークはサーニャの腕を握り、彼女を王座まで連れ去った。

「さぁ、キリイ=タクオ! 少しでも私に近づいてみろ! こいつを今すぐにでも殺してやる!」

 今まで冷静だったアン・コークは、サーニャを人質に取り、声を荒げた。

「…は?」

 卓生はその様子を見て、強張った声を出した。

「てめぇ…俺の仲間に手を出して…ただで済むと思ってるの…?」

(やばい…タクオがまた…)

 サーニャは卓生が暴走寸前ということを察していた。実際、彼の両目は赤くなっていた。

「どうした? 抵抗もできないのか?」

「やめろ! アン・コーク! これ以上タクオを挑発するな!」

「は? 何言ってるんだおま…」

 アン・コークはサーニャの言葉を理解することができなかった。その直後、彼は瞬間移動のようにやって来た卓生に思い切り殴られた。

賢者と剣者編、クライマックスです

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