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第3章ー13「洗脳賢者組み手」

「待ってくれタクオ! こいつらは洗脳されているとはいえ、私の仲間だ! だから…」

「そんな甘い考えであの大賢者を倒せると思っているのか?」

「…」

「なんてな。倒したら全員まとめて回復させてやるよ」

「タクオ…」

「サーニャが」

 卓生はサーニャに指をさした。

「ぅおい!」

 サーニャは抗議した。

「まあいい。さっさとこの軍団を倒すぞ!」

「ああ」

 卓生達は5000体ほどいる敵に囲まれていた。そして、敵は手から黒い玉を放った。そして、その玉が地面に当たった途端、地面から更に新しい敵が浮き出てきた。

「なんですかこれ…」

 キョウは衝撃のできごとに戦慄していた。

「敵が増えるなんて、キリがないよ…」

 ラファは怯えていた。その時卓生が

「ヤンキーニカラマレタケドカエリウチニシテヤッタゾ」

 謎の呪文を唱えた。その時、周りにいた敵が怯え始めた。

「くらえ!」

 卓生は手を地面につけ、回し蹴りを食らわせた。そして、その攻撃を受けた敵が倒れた。

「ふっ…」

「今のはなんだ…?」

「俺の得意技だ」

 卓生は得意げに賢者に言った。

「私達も行くぞ! 風魔法発動!」

 サーニャは風のリングをつけ、風魔法を発動した。そして、風は数体の敵を巻き込み、そのままなぎ倒して行った。

「行くよ! アタックシールド!」

 ラファは影との戦いで身に付けた防御を攻撃にする技を敵に当てた。タクオとサーニャに比べると、倒した数こそ少ないが、それでも仲間に貢献していた。

「はああああああああああああああ!」

 キョウは生産した鎖を使い、10体ほどの敵を結びつけた。そして

「うおりゃあああああああああああああああああ!」

 そのまま地面に敵を叩きつけた。

「はぁ…はぁ…僕もやれるようになったかな」

「みんながこんなに必死でやっているんだ…私だって、なにかできることをしなければならない…」

 その時…

「賢者! 危ない!」

「はっ!?」

 卓生が声をかけた時、敵が放った玉が賢者に向かって飛んで来ていた。

「くらえ…ライトニングボール!」

 賢者は光輝く玉を放ち、それを敵の禍々しい色の玉にぶつけた。そして、ぶつかりあった玉はお互いに爆発した。

「よし! …上手く行ったな…」

「やるじゃねえか…」

 卓生は感心していた。

「だが、これだけ敵がいたらキリがないな…お前ら! もっと敵を多く倒せる技はないか!?」

「言われなくてもやってやるよ!」

 サーニャは風のリングと加え、光のリングと闇のリングをつけた。

「3つのリングよ! 我に力を!」

 サーニャは呪文を唱えた瞬間、3つのリングが光り輝いた。

「シャイニングダークサイクロン!」

 サーニャから黒く禍々しい台風が放たれた。その台風が多数の敵を包み込んだ瞬間、台風が光輝きそのまま爆散し、敵は散って行った。

「私だって!」

 ラファは再びシールドを纏った。

「シールドアタックブレイク!」

 ラファは自らシールドを壊し、その破片を不特定多数の敵に放った。そして、その破片に当たった敵は全て力尽きた。

「僕だって! はあっ!」

 キョウは10本ほど鎖を生産し、それを敵に結び付けた。しかし、縛り付けられた敵達はなぜか余裕そうな笑みを浮かべていた。

「さっきみたいにただ叩きつけると思わないで下さいよ!」

 その瞬間、鎖から電流が流れ、敵達はそれにより攻撃を受けてしまった。そして、敵達は倒れた。

「よし! 私も!」

 賢者も攻撃を構えた。

「ギガ・ストップ・ボール!」

 賢者は巨大な玉を作り、それを敵にぶつけた。そして、それにより生き残った30体くらいの敵の動きは見事に止まった。

「動きを止めるだけじゃないよ!」

 賢者が指を鳴らした途端、敵が段々と苦しみ始めた。そして、次々と敵が倒れて行った。

「私のギガ・ストップ・ボールは動きだけじゃなくて、体力もストップするんだ…」

 こうして、卓生達は見事に敵を倒した。

「よし、みんな疲れたみたいだし…私の回復魔法を使おう」

 サーニャは闇のリングをしまい、左手に回復リングをつけた。そして、卓生達の体力は回復した。

「さて、次は…」

 サーニャは回復リングを右手につけかえ…

「3つのリングよ! 我に力を!」

 サーニャは呪文を唱えた。

「ヒーリングピュアサイクロン!」

 サーニャの放った風は、倒れた敵全てに命中した。そして、命中した後…

「…あれ? 俺は一体なにをしていたんだ?」

「なんか、大賢者様になにか言われたところまでは覚えているんだが…」

「なんかソウル様ソウル様うるさかったな…」

 次々と洗脳された賢者が立ち上がった。彼らはサーニャの魔法によって、洗脳が解けていた。

「みんな! 大丈夫か?」

 卓生達と一緒にいた賢者が彼らの元へかけつけた。

「お前! どうしたんだよ!」

「急にいなくなったから心配したぞ!」

「俺が逃がしたんだよ。大賢者の魔の手から逃れるためにな」

「そうだったのか!」

「それで、俺達は一体なにをしていたんだ?」

 賢者達は次々と質問した。

「私は、大賢者を倒せる仲間を連れてきた。そして、私達がここに来た時、あなた方は大賢者によって洗脳されていたのだ」

「せ、洗脳!?」

「それはヤバいな。もし、お前を攻撃していたのなら申し訳ない…」

「それで、仲間達とは?」

「彼らです。キリイ=タクオ、サーニャ=スアちゃん、ラファ=クアーちゃん、キョウ=キリイです」

 卓生の仲間の賢者は卓生達を見ながら、紹介した。

「あのさ…賢者?」

「「「「「「「「「「「「「「「はい、なんでしょう?」」」」」」」」」」」」」」」」」

「いや、俺達といた賢者…」

「はい、なにか?」

「見分けとかつかないから、本名を教えてくれないかなって…?」

「私か。確かに名前を言わないと見分けがつかないな。よし。私の名前はヴァジラだ。よろしく」

「ああ。今度からそう呼ばせてもらうぜ。ヴァジラ」

 卓生とヴァジラは握手を交わし…

「よし、後はあいつを倒すだけだな」

「ぐぬぬ…」

 卓生はいつの間にか戻ってきたアン・コークを見つめた。アン・コークは心底悔しそうな顔をしていた。

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