第3章ー11「ミラー・インザ・ダンジョン」
「…で、作戦とはなんですか?」
「すまないが私は思いついていない…」
「おいおい…」
3人はサーニャの闇魔法が出した暗闇の中にいた。
「だが私が思うに、ここは辺り中にミラーがあるのではないかと思ってる」
「ミラ―…鏡の世界…つまり龍」
「どうして、周りにミラーがあると思ったのですか?」
キョウはサーニャのボケを遮るような形で賢者に聞いた。
「あのモンスターは身体中が眩くなっていた。そして、あれは私の動きを止める魔法が通用しなかった。つまり、あのモンスターは鏡の反射を利用して、身体を輝かせていたわけだ」
「そういうことか…」
サーニャは賢者の話を聞き、納得した。
「あっ、分かりました!」
ここでキョウがなにかを思いついた。
「僕の作戦なんかが上手く行くか分かりませんが…」
「取り敢えず言ってくれ」
「もしもここがミラーだとしたら僕達もミラーを使って、相手を倒すことが出来るかも知れません」
「つまり、どういうことだ?」
「つまり、あのモンスターは光の反射を利用して身体を輝かせている。つまり、僕達も鏡を使い、光を反射させ煙が少し出た時にサーニャさんが炎魔法を打つ。という作戦です」
「光を集めて相手を燃やすか…よし、その作戦乗ったぜ」
「私も、乗りました。ですが、反射魔法なんてどうやって使えば…?」
「それは、僕が鏡を生産しますので大丈夫です」
「「了解!」」
こうして、3人の作戦が始まった。
※
「サーニャさんはモンスターに悟られないように、隠れながら近くへ行ってください! 賢者さんはあのモンスターの動きを止めてください!」
「了解!」
「任せろ!」
サーニャは闇を纏った状態でモンスターの近くに移動した。因みに彼女は闇を纏っていたため、光は受けつけない状態になっていた。
「動きよ止まれ…ストップ・ボールII!」
賢者は魔法を繰り出し、モンスターの動きは止まった。
「はああああああ!」
そして、キョウは鏡を3つ生産した。
「あなたも…この眩しい光をくらいなさい!」
「ぐぎゃあああああああああああああああああああ!」
モンスターは光によって苦しんでいた。さらに、モンスターは動けない状態になっていたため、目を塞ぐことはできなかった。(それ以前にヒトデだから手とか短いし)
「よし! どんどん効いている!」
「後は煙が出てくるのを待つだけだな…」
サーニャはチャンスをうかがっていた。
「くっ…中々煙が出ないな…」
キョウは中々煙が姿を現さないことに険しい顔をしていた。
「くっ…」
賢者も険しい顔をしていた。
「ストップ・ボールIIは持ち時間こそは長いが、その分体力をかなり消費してしまう…私が力尽きる前になんとか倒さなければ…」
「賢者さん! 大丈夫ですか!?」
「私は大丈夫だ…それより、煙が出てくれないと…」
キョウはどんどん体力を消耗している賢者の心配をしていた。
「ん…?」
その頃、サーニャは何かに気づいた。
「もしかして…この場所そのものが光程度で燃えない素材でできているのでは…?」
サーニャはそう思い、辺りを触った。その時
「か、鏡…? 辺り中にミラーがあると思ったが、このエリアそのものが全て鏡に覆われていたというのか…?」
サーニャは今自分たちがいるエリアの造りに気づいた。
「ならば、あのモンスターを倒すにはこれしかない…作戦として成立はしないから、あいつらには後で謝るとして…」
サーニャはパーカーを脱ぎ、中に着ているTシャツの腹部に当たる部分を破った。そして
「…炎魔法発動!」
サーニャはTシャツの切れはしに火をつけた。そして、それをモンスターに向かって投げつけた。そして、数秒経つと…
「ぎゅあああああああああああああああああああああ!」
炎が光の反射を受け、それによりモンスターは全身が燃えた。
「あれ!? モンスターが燃えている…!?」
「サーニャさん、もしかして何か思いついてしたんでしょうか…?」
そして、モンスターは全身が燃え尽き、消え去った。
「ふーっやっと終わったか…」
サーニャはパーカーを手で振り回しながら、一息ついた。サーニャの今の状態はTシャツの腹部が破れていたため、へそが露出した状態になっていた。
「サーニャちゃん、大丈夫か…うわぁ!?」
賢者はサーニャの状態を見て、手で顔を覆った。
「あ…気にするなよ。この格好している女子、普通にいるからさ…」
サーニャは軽く笑った。
「それよりも、悪かったな。作戦を無視してしまって」
「いえいえ、大丈夫ですよ! 寧ろ、あの時サーニャさんが火を投げつけなかったらモンスターは倒せていませんでしたから!」
謝罪するサーニャに対し、キョウは寧ろ感謝をしていた。
「でもなサーニャちゃん、自分の服の切れはしを無駄にするのはどうかと思うなっ!」
賢者はサーニャの服がファッションではなく、破れていたことに気づき、彼女を咎めた。
「だって、切羽詰まってどうしようもなかったから…」
サーニャは子供のようにいじけた。
「でも、ありがとう」
そして、賢者もサーニャに感謝した。
「さて、次のエリアに急ぐか!」
「はい!」
「そうだな。さっさと大賢者倒さなきゃな」
サーニャ、キョウ、賢者は次のエリアへ行った。




