第3章ー10「闇は光の中で輝く」
「ここは…どんな場所なんだ…?」
サーニャ、キョウ、賢者が入ったところはとても明るい場所だった。
「明る過ぎて眩しい…」
賢者の目は半開きになり、腕で顔を覆った。
「ここは眩し過ぎる…目を開けられるのも時間の問題だ…」
「いや、ここは私に任せろ! 2人は目を瞑っていてくれ!」
サーニャは黒色のリングを指にはめた。
「闇のリングよ! 我に力を! ダークフィールド!」
サーニャの闇魔法は辺りを包み込み、眩しい場所は一気に暗くなった。
「これで前に進めるな」
「そうだな。一件落着!」
サーニャと賢者はお互いにハイタッチをした。
「いや…まだ分かりません」
キョウは怯えた顔をしていた。
「どうしたんだキョウ?」
「もしかしてこの眩しいくらいに明るいのは、仕掛けではない可能性があるかも知れません…」
「それはどういう意味だい?」
「サーニャさんが魔法を発動している間、ラファさんからこんなのが届きまして…」
キョウはパーティウォッチのチャットアプリを起動した。そこにはラファからのメッセージが届いていた。そのメッセージにはこう書いてあった。
『タクオ君が…影のモンスターに殺された…そのモンスター、暗闇に化けて、私達を襲ったの…』
この文章はラファの心の痛みが表現されていた。
「タ、タクオが殺された!?」
賢者はその事実を知り、驚いていた。キョウが怯えていたのは、タクオが殺されたと思ったからである。しかし、サーニャは無反応だった。
「そうか…さっきの明るい奴もモンスターの可能性があるってことか」
「ちょっとサーニャちゃん! 何落ち着いているんだ! タクオが…あなたの仲間が殺されたんだぞ!」
賢者はそんなサーニャの態度に憤慨していた。それに対しサーニャは
「バーカ。タクオがあの程度のモンスターに負けるはずがねぇよ。それにあの時、『お前が大丈夫なら、俺も大丈夫だ』ってアホみたいにでかい口叩いてたからな…あいつは大丈夫だ」
サーニャは自信を持って卓生の安全を確信していた。
「そ、そうだよね。タクオさんはきっと大丈夫ですよ!」
「あなた達はよほどタクオを信用しているんだな…」
「当たり前だ!」
3人がそんな会話をしている間…
『パキ…』
サーニャのダークフィールドにヒビが入った。
「!?」
3人はヒビが入る音に反応した。そして
「ぐらあああああああああああああああああああああああ!」
ダークフィールドが割れ、中からモンスターが出て来た。そのモンスターは大きなヒトデを模した姿となっており、鋭い牙をしていた。そして、全身が眩しいほどに光り輝いていた。
「やっぱり、あの明るいのはモンスターだったのか…!」
サーニャ、キョウ、賢者は険しい顔をした。
「光には闇の技がよく効く。だが、逆に闇には光の技も効くからお互い相殺する。しかも、さっきの私の技は弾かれてしまった…」
サーニャは闇属性の技を出すことに躊躇した。
「一回やってみましょう! さっきは一時期封印できましたので、完全に効かなかったわけではないと思います!」
「そうだな…やってみるぜ! 闇のリングよ! 我に力を! ダークフィールド!」
サーニャは再び闇魔法を発動した。
「ぐらああああああああああああああああああああ!?」
暗い闇は再びモンスターを包み込んだ。
「次は封じるだけじゃないぜ…!」
サーニャが指を鳴らした途端、モンスターを包んでいる暗い闇から衝撃波が数回に渡って繰り出された。
「ぐらあああああああああああああああああああああああああああああ!?」
「よっしゃ!」
モンスターはかなりの大ダメージを受けた。しかし
「があっ!」
モンスターは更に強い光を放った。そして、それによりサーニャの闇魔法は消え去った。
「うっ…強い…」
「私の闇魔法は確かに効いているかも知れない。だが、これ以上にやつの力が強過ぎる…」
「なら…私の魔法で!」
賢者は技を繰り出した。
「これで相手の動きを止めれば、技は出せないはず…」
しかし、賢者の思惑とは裏腹にモンスターの光は静まるどころか、更に輝いた。
「な、何!?」
賢者は予想外だったのか、困惑していた。
「く、くそ…相手が眩しいと他の魔法も出せやしない…」
サーニャは目を腕で覆いながら、魔法が出せないことに悔しがっていた。
「…もしかして、あのモンスターが輝いているのは技ではなく、体質なのではなにのでしょうか…?」
「た、体質!?」
「はい。さっきの賢者さんの相手の動きを止める魔法は、相手の動き…つまり、『相手の能力を発動するのも止める』ということです」
「それが、どうしたんだ…?」
「つまり、あのモンスターは特に技などは出していない。更に身体が輝いたのは、何かわけがあるはず…」
キョウはモンスターについて考察した。
「わけか…私はあのモンスターの存在は知らなかったし、もっと言えば、マグマのエリアの後に2つもルートがあることも知らなかった。だから、もしかしたらモンスターの他、このエリアに仕掛けがあるのかも知れない…そもそも私達はあの眩しい光が仕掛けだと勘違いしていたから、大賢者があのモンスターを足止めだけじゃなく、フェイクのために利用した可能性だってある…」
賢者はモンスターの他、エリアにも仕掛けがあると考えた。
「サーニャちゃん! 今度は私達に闇魔法を打ってくれ! できればサーニャちゃん自身にも自分に打ってほしい!」
「ど、どういうことだ!?」
「暗闇の中なら、落ち着いて作戦が立てられる! だから、頼む!」
「分かった! ダークフィールド!」
サーニャは自分とキョウと賢者に向かって闇魔法を打った。そして、3人は暗闇の中に消えた。
翼沢零です。
最近課題が片付き、大学も2ヵ月ほど休みになりますので、投稿ペースがかなり上がります。
最高で毎日投稿になります。




